医療従事者を対象とした新型コロナウイルスのワクチンの先行接種が始まり、いよいよ日本でもかつてない規模のワクチン接種が進められる。今どんな対応が必要なのか。ワクチンによるコロナ対応のみを考えていてよいのか。今回の放送では、与野党のコロナ対策担当者と感染症の専門家をスタジオに招き、今後の課題について伺った。

先行接種に治験・調査的な意味合い

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竹内友佳キャスター:
政府が想定する新型コロナワクチンの接種計画では、医療従事者への先行接種の対象はおよそ4万人。その後医療従事者への優先接種。4月から65歳以上の高齢者、そして基礎疾患がある方、高齢者施設の職員など。その後に一般へ拡大となっています。

佐藤正久 自民党ワクチン対策プロジェクトチーム副座長:
先行接種に協力していただいている医療従事者の方々に感謝を申し上げたい。ただ日本は世界第3位の経済大国なのに、ワクチン接種開始は83番目というのは厳しい現実。国内でウイルスが変異する可能性もあり、変異ウイルス対応という観点からもできる限り早く進めたいと思っています。

逢坂誠二 立憲民主党 コロナ対策本部長:
今回先行接種を受ける4万名のうち半分の方は、接種後に28日間の健康観察をする。データは厚生労働省に報告され国民にお知らせする。先行接種とは言いながら調査的な側面がある。本当に感謝したい。

反町理キャスター:
4万人の先行接種、2万人の健康観察は事実上第3相の治験にあたるのではないかという点。

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
数万人規模の日本人を対象としたデータはどうしても必要。ただ海外でもデータは出てきている。観察期間はある意味スキップして、その後のワクチン接種を早く行える体制を整えていってもよい。

佐藤正久 自民党 PT副座長:
医療従事者については、ワクチンがあるのなら3月中旬と言わずに前倒して柔軟に対応することも大事。河野大臣も言っている。

ワクチンの確保はまだ不透明

逢坂誠二 立憲民主党 コロナ対策本部長

逢坂誠二 立憲民主党 コロナ対策本部長:
問題はこの後。4万人はクリアできるだろうが、次の370万人のワクチン量が確保できるのか。日程がどうなるのか。河野大臣の答弁も不確か。

佐藤正久 自民党 PT副座長:
毎週コンスタントに入ってくるのか、ワクチンの確保が不透明。欧州委員会の許可がどう下りるかという不確かさがある。370万人の医療従事者の都道府県別内訳データと掛け合わせて配分しなければならない。今はまだ供給スケジュールを説明できず、非常に申し訳なく思う。

反町理キャスター:
ワクチン外交において、持たざる国は弱い立場に立たざるを得ないということが目の前に突きつけられている。

逢坂誠二 立憲民主党 コロナ対策本部長:
実は政府は、ファイザーとの契約内容を明らかにしていない。今年中に7200万人分というのは義務なのか努力目標なのかわからない点が弱い。
それから、自治体は接種会場、医療従事者の確保など準備が必要。スケジュールが明確にならず現場では頭を悩ませている。接種クーポンについての問い合わせも増えるでしょう。とにかくワクチンについては、量の確保と安定供給。

佐藤正久 自民党ワクチン対策プロジェクトチーム副座長

佐藤正久 自民党 PT副座長:
反省としては、ワクチンは戦略物資であり、国家安全保障の一環として考えなければならないということ。民間のメーカーは、開発しても流行が収まってワクチンが売れなくなると困る。それは国が買い取るというぐらいの覚悟でやらなければならない。

逢坂誠二 立憲民主党 コロナ対策本部長:
同意見。日本がワクチンを開発する力は相当落ちている。国がお金を出してきちんと確保しておかなければ。ここに税を投入することは10年前にも確認されていた。そのときPCR検査の拡充も言われていたができていない。与党も野党も関係なく、予算を確保してこの分野をしっかり応援しなければ。

日本のゲノム解析が遅い

反町理キャスター:
ここまではワクチンによるコロナ対策の議論を展開してきましたが、第4波への備えについて。

佐藤正久 自民党 PT副座長:
感染者が減りつつあるこのタイミングで、ワクチンを打つことと並行して第4波の対策をやる。ワクチンは打つのに時間がかかる。変異ウイルスによる第4波を想定し、4月・5月をターゲットにして備える危機管理が大事。まずはゲノム解析により全国で新しい変異ウイルスを見つけ、クラスターが小さいうちにつぶせるようにすること。この準備が遅い

反町理キャスター:
松本さん、このお話については。

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
ゲノム解析は、機械によって本当に処理能力が異なってきます。今検体が集まってくるのは感染研で、そこが相当な処理能力を持たなければいけない。しかしそうでなければ時間がかかってしまう。

逢坂誠二 立憲民主党 コロナ対策本部長:
日本の大きな課題。例えばニュージーランドではゲノム解析は最速で12時間でできる。日本の場合1週間かかっている。それではトレースができず、ほとんど役に立たない。感染研だけではなく大学などの機器も活用しなければならないが、動きが悪い。

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
うちの大学にもすごい機械がある。これをフル活用すればかなり早く出せるが、問い合わせや指示も来ていない。例えば千葉県の検体はうちで集約しますよというように、すぐに情報を出せるような仕組みができると思うのだが。 

接種に強制力を持たせることの是非

竹内友佳キャスター(左)、反町理キャスター

竹内友佳キャスター:
新型コロナワクチンの接種には、妊婦を除く16歳以上を対象に努力義務が課されています。罰則はなく、最終的な判断は個人に委ねられます。
共同通信の世論調査では、接種したいと答えた人が60代以上では7割近く。しかし若い年代になるにつれ低くなっています。河野大臣は、利益とリスクを正確に理解した上で多くの人に接種してほしいと発言。効果や副反応は官邸のホームページやツイッター、テレビなどのメディアを通じて発信するとしています。松本さん、目指す接種率は。

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
本当にワクチンがちゃんと供給できるなら、6〜7割の人たちには接種してほしい。日本ならば7000万人ほど。するとかなり世の中のコロナ感染状況は変わってくると期待しています。

佐藤正久 自民党 PT副座長:
今は重症化した時に非常に死につながりやすいという高齢者の方に重点的に接種してもらう方針。若者にいかに広げていくかが集団免疫のカギ。

逢坂誠二 立憲民主党 コロナ対策本部長:
重症化リスクの高い人を先にということには、医療を守る意味もあると思う。だから考え方としてはあり得る。でも大事なのはやっぱり、若い方にもきちんと打ってもらい、社会全体が安心できること。これは政府もしっかり広報したほうがいい。

反町理キャスター:
現在は努力義務となっているが、もう一歩踏み込むべき?

松本哲哉 国際医療福祉大学 主任教授:
罰則までは設けなくてもいいのかもしれないが、努力義務で結局は個人の判断というよりは、当然これは打つべきものであるという方向とするために、ワクチン行政も見直していくべきと思います。

佐藤正久 自民党 PT副座長:
新型コロナウイルスを有事であり大災害と位置づけ、国家安全保障レベルで考えるのか、それとも普通のインフルエンザレベルで考えるのかで全然違ってくる。

反町理キャスター:
逢坂さんはやはり、ここの部分は踏み込むべきではないという考えですか。特措法と感染症法の改正のときにも罰則について与野党でさんざん議論があった。強制力を持たせるのではなく、やはり個人の人権という権利をここは大切にするべきだという意見?

逢坂誠二 立憲民主党 コロナ対策本部長:
私は必ずしもそうは思わない。ただ今それを議論するのはちょっとまずいというところ。まさにこのコロナウイルス流行の真っ最中にこういうことを議論すると、針がどちらかへ強く振れてしまう。だからこれは、やはり平時に議論しておくべき。10年前の新型インフルエンザ後の議論が止まってしまったのはもったいなかった。

BSフジLIVE「プライムニュース」2月17日放送