パソコンなどを使って学習を進める「GIGAスクール構想」

小中学校でパソコンなどのICT端末を児童生徒が1人1台使って学習を進める「GIGAスクール構想」。広島県内の一部の学校では、すでに端末を活用した授業が始まっている。

令和の学びのスタンダードとも言われる新たな学習スタイルで大きく変わろうとする教育現場を取材した。

広島県内の自治体の中でも「GIGAスクール構想」の取り組みが進む府中市では、2020年12月に市内小中学校の全生徒にタブレット端末が行きわたった。

府中市立南小学校では2021年に入り、朝のホームルームの時間から端末を利用している。

この記事の画像(9枚)

端末上に共有される情報で1日のスケジュールを確認したら、児童たちが取り組むのが朝読書。読むのはもちろん紙の本ではなく電子書籍だ。

府中市では今、新型コロナウイルスの影響で図書館が休業になった反省などから、デジタル上で書籍を貸し出す電子図書館の整備を急ピッチで進めている。

書籍の中にはデジタルならではの読み聞かせ機能がついた絵本もあり、文字を読むのが苦手な児童にとっては読書に取り組むきっかけになるという。

府中市の電子図書館は、今年度中に県内トップレベルとなる1万コンテンツの所蔵が予定されていて、校内の図書室と比べると児童たちの選択肢も格段に増えることになる。

児童:
動く絵本とかあって音が鳴るから楽しい

児童:
いつも読めない本とかが読めるのがめっちゃいいです

府中市立南小学校 渡部光昭校長:
読書から遠慮して遠ざかっていた子供が、本に親しむという形で、自分にあった読書に入っていけるというのはすごく大きなことだと思います

授業でも動画を確認したり、分からないことを調べたりして端末が活用されている。
特に効果的なのが、教室のモニターと連動した使い方だ。児童の端末とモニターはネットワークで繋がっているため、教師の質問に対し1人1人の意見がリアルタイムで全員に共有される。

モニターと連動させることで、手を挙げづらい児童でも周りに意見が伝わり、全員が主体的に授業に参加することができる。

府中市立南小学校 渡部光昭校長:
みんながどう思ってるんだろうというのがあるので、小さいクラスはクラスで、小さい社会で暮らしてるので、僕はこう思ったけどみんなはどうかなと。自己決定の場が授業の中であるというのはすごくいいと思います

一方、効果的な端末の活用に向けては教師側が情報通信の知識を学ぶ必要があり、それが1つの課題となっている。

教師たちも使い方を勉強

尾道市の浦崎小学校では、タブレットの効果的な活用に向け、教師同士で使い方を学ぶ勉強会を2020年から定期的に開催している。

講師:
このマイドライブっていうのが要するに自分のドライブ、共有ドライブっていうのが共有できるドライブを作る場所、要はNASですね。ただ作っただけでは共有できないんです

長年教壇に立ってきた教師たちも、デジタルの専門用語や最新機器の扱いには苦戦気味。端末を利用した授業ではネットワークを通じて、児童と様々なファイルを共有するため個人情報の管理にもこれまで以上に注意が必要だ。

勉強会に参加した教師:
難しいです。私自身がタブレットを触ってみて、子どもたちに授業で活用できるようになりたいです

勉強会に参加した教師:
覚えるまでがなかなか難しくて、繰り返し繰り返し練習していかないといけないなというのはあります

勉強会の場では、モニターと端末を連動させた効果的な活用方法について、教員同士で意見交換も行っている。

尾道市立浦崎小学校 小川咲子校長:
教師の力量によって使える子供と使えない子供ができてはいけないので、子どもたちが学ぶ方法を選択して学んでいけるように、誰もが使えるようにと思っています

県の教育委員会によると、今年度中には県内全ての自治体で端末が納品される見込みとなっていて、効果的な活用に向け各学校に準備が求められている。

1人1台の端末を利用するこの「GIGAスクール構想」。元々は2023年度の実現が目指されていたが、新型コロナウイルスによる臨時休校で学習の機会が失われたことから、政府が急遽、今年度中の実現に計画を前倒したという背景がある。

将来的には、各児童が端末を家に持ち帰ることも想定されていて、これにより課題をオンライン上で配布や提出ができるほか、学校が臨時休校となってもオンライン授業が行えるようになる。

ただしそこに向けては、各家庭のネットワーク環境の整備であったり、多くの情報が詰まった端末を守るセキュリティ面の問題が課題として残っている。

(テレビ新広島)