仕事中に「あのね~」 癒やし系ロボット

コロナ禍で増えた“おうち時間”に、ふと癒やしが欲しくなる…そんな瞬間はないだろうか。

そんな時にぴったりの存在になってくれそうな、思わず撫でたくなってしまうようなロボットがパナソニック株式会社から登場した。

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それが、この「NICOBO(ニコボ)」

コロンとした丸い体に丸い目鼻と猫のようなしっぽがついたビジュアルがかわいらしいが、できるのはなんと、撫でてもらった時にしっぽを振ったり、ぼーっとしたり、好き勝手に喋ったり、寝言を言ったり、オナラをすること!

公開された動画を見てみると、パソコンに向かって仕事をしている真っ最中と思われる女性に「あのね」と話しかけ、思わず手を止めた女性が頭を撫でると「モンモ」と謎の言葉を発するニコボの姿が。

また、別の動画では「ニコボ」と呼ばれると「うわっ、びっくりした~」と驚きの声をあげて背中を向けてしまい、あわてて「ごめんね」と謝っても「プイッ」とへそを曲げてしまう様子も。

気ままな振る舞いにはなんとも言えないかわいらしさがあるが、どうやら一般的な「お役立ちロボット」とはひと味違うらしいことがうかがえる。

他にも、ニコボは内蔵のセンサーでなでたり抱っこしたりというアクションを認識。また、日光などの強い光にも反応するため、日向ぼっこなどもできるそうだが…

ロボットといえば、欲しい情報を検索してくれたり家事を手伝ってくれたりと、人の役に立つことが大前提のはず。しかし、クラウドファンディングサイト「Makuake」で2月16日から目標金額1000万円でプロジェクトが開始されると、なんと即日達成。応援購入の受付も終了した。

では、ニコボの使命とは一体? ロボットらしからぬ「ゆる~い」機能には何の意味が? パナソニックにお話を聞いてみた。

コロナ禍に「新しい幸せのかたちを」

――ニコボ開発のきっかけは?

2017年にスタートした、当時のテレビやレコーダーなどの商品を担当する事業部の新規事業創出活動がきっかけです。

当社は今まで生活における便利をまっすぐに考え、家電の進化を追求することで人の暮らしを豊かにすることにフォーカスしてきました。一方で多様化する人間関係で疲れている人の”心”を豊かにしたいと考え、同じ志を持つメンバーでプロジェクトを開始しました。


――ニコボは何ができるの?

しっぽを振ったり、ちょっとずつ言葉を覚えてがんばって喋ってみたりして、ユーザーに寄り添います。

ユーザーがたくさん話しかけた言葉をNICOBOが覚えてそれをカタコトで話します。話しかけた言葉に関連する言葉を自動で覚えるわけではありません。


――成長していくということ?

日常会話のようなコミュニケーションとまではいきませんが、オウム返しのようにユーザーが言ったことや、人の気を引く言葉と言われる「えっとね、あのね」などを、幼児のように喋るようになります。

「高性能・高機能なものによって暮らしは便利に豊かになったが、人の心も豊かにするライフスタイルを提案したい」と話すパナソニック。

また、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、「人と直接会わなくてもなんとかなる社会が生まれようとしているが、そんなニューノーマルの時代における新しい幸せのかたちを提案したい」として、「気ままな同居人」としてのニコボを作ったのだという。

人の心を豊かにする「弱さ」が大切

そんなニコボのベースにあるのが、豊橋技術科学大学の岡田美智男研究室(ICD-LAB)が提唱している「弱いロボット」の考え方。

岡田教授によると、例えばはさみのような「素朴な道具」には自分から何かを切るという動きはできないが、人間が使うことによってその強みを引き出して道具として役立つことができる。一方で、人間の手は硬いものを切ることはできないが、その柔らかさは「はさみを使える」という強みがある。

この「お互いの弱いところを補い合って、強みを引き出し合う」ということがポイントで、利便性を追求した機械を相手にしている時は人間側は「やってもらうだけ」になってしまい、「生かされた感じがしない」という感覚が生まれてくるのだという。

たとえば、モジモジしながらティッシュを配ろうとするロボットがそばに寄ってくると、つい素通りできずに手に取ってあげたくなる……そんな「頼りないけれど、どこかかわいくて放っておけない、ついつい手を貸してあげたくなる」存在が、人のやさしさや思いやりを引き出し、幸せな気持ちにつながるのだという。

(関連記事:あえてモジモジ…ティッシュ配りする「弱いロボット」に共感集まる

こちらをチラチラと伺いながら「あのね…」と話しかけてくるニコボを見れば、思わず「どこかに連れて行ってほしいのかも…」と考えたり、話し相手になったりと、ついつい反応してしまうはず。

特別「何かをしてくれる」わけではなく、寝言を言ったりオナラをしてみたり……と、ロボットらしくないふるまいをするニコボだが、その頼りなくかわいい行動には、人間の心の中に潜んでいるやさしさを自然に引き出してくれる、大事な役割があったのだ。

なお、クラウドファンディングの受付は終わったが、今後、一般販売の検討に入るという。

コロナ禍で知らずのうちに溜まっているかもしれないストレス。ちょっと不思議なこんなロボットとふれ合って、ほっと一息つく時間を作ってみるのもいいかもしれない。