新型コロナウイルスの影響は、ドメスティックバイオレンス=DVの相談件数にも表れている。過去10年間の全国のDV被害の相談件数は、毎年のように増加が続いているが、2020年4月から11月の時点で相談件数は13万件を超えた。
2020年度をすでに上回り、過去最多となっている。

仙台市に寄せられた相談件数も、2020年4月から10月の時点で1857件と、2019年の同時期と比べて600件近く増えている。
被害者支援に取り組む仙台のNPO団体は、新型コロナウイルスによる生活の変化が影響していると見ている。

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仙台市でもDV被害が増加傾向

ハーティ仙台 八幡悦子 代表:
オンラインの仕事で加害者がずっと家にいることが続く、お互いに非常に狭い空間にずっといることが増えて、DVを受けている人の辛さが増したということがある

1999年からDV被害者の支援に取り組む「ハーティ仙台」の代表は、生活が変わったことで、被害が深刻化する一方、被害者が現実と向き合いやすくなった面もあると感じている。

ハーティ仙台 八幡悦子 代表:
単身赴任で離れている家族が結構多い。離れている方がどれだけ安心していられるか気づいたと、それで真剣に別々に生きることを考え出すという相談もあります

女性が被害者となるケースの多いDV。暴力を受けていても被害に気づいていない例や、あきらめている人も多いという。
2018年の内閣府の調査結果では、DV被害を受けた女性のうち、実際に「相談」できた女性は全体の6割程度。
なぜ、DV被害は明らかになりづらいのか?
過去、夫からDV被害を受けていた女性に当時の心境を伺った。

15年間、DV被害にあった女性の苦悩

仙台市で暮らす77歳の女性。過去、15年にわたって当時の夫から殴る蹴るの暴力を受けた。

DV被害を受けた女性:
「やめて」と言ったけど、振り払って、ものすごく殴り続けた。居間を逃げ回ってテーブルの下にうずくまるようになってしまって、それでも手が届かないので、夫が蹴り続けて、ものすごく何回も何回も蹴り続けて

夫の暴力が始まったのは、子どもが2歳になったころ。その理由は「育児についての考え方の違い」で、暴力はどんどんエスカレートしていったという。

DV被害を受けた女性:
時々優しくされると、やっぱりこの人って良い人なのだと思う。思いたいから…

しかし、暴力が日常化しても、女性は被害を周りに気付かれないようにしていたという。

DV被害を受けた女性:
破綻している家庭だと外に見られたくなかったというか、他のママ友たちは仲良くやっているように見えたので、私がその破綻した家を持っているのは、自分の価値観というか、“自分の価値も下がる”というか

女性が夫のDVから逃れることができたのは、失明寸前まで暴力を受けたことで弁護士を交えて話し合うことができたからだった。夫と離婚した女性は今、支援団体の一員として、自分と同じように被害に遭った女性を支えている。

DV被害を受けた女性:
DVというものを社会がわかる、DVはいけないんだということが社会の常識になる。外でやってはいけないものは、家の中でもやってはいけないという当たり前のことが社会の常識になれば、気づきもするだろうし、減ると思う

女性は「『暴力だ』と思ったらとにかく相談してほしい。安心して生きていける場所はきっと見つかるはず」と、繰り返し話した。

DV被害の相談窓口

こちらは、仙台市がホームページに掲載しているDVチェックリスト。「殴ったり、蹴ったり、髪を引っ張ったりする」という身体的暴力のほかに、「何を言っても無視をする」など精神的暴力も含まれている。

こうした被害に対し、国や支援団体などが相談窓口を設けている。
「女性のための相談電話」が022-256-0965。「NPO法人ハーティ仙台」は022-274-1885となっている。
新型コロナウイルスの影響で生活環境が変化し、DVの被害相談が増える一方、まだ声を上げられない被害者がいる。私たちもDVについて知り、理解を深めていくことが必要。

(仙台放送)