新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、これまでの日常が大きく変化している。
特に、重症化リスクが高い高齢者施設では「いつも通りの面会」が難しくなっているのが現状だ。
面会そのものを禁止する施設もある中、ガラス越しでも会いに訪れる家族の思いを聞いた。
「手を温めてあげたいが…」面会に訪れる家族
マスクに消毒液、そして、ソーシャルディスタンス。
新型コロナの感染拡大は、私たちの生活を大きく変えた。
「1秒でも長く家族の時間を共有したい」と、館内への立ち入りが禁止されている高齢者施設には、年末年始、家族がガラス越しの面会に訪れていた。

1組目の家族は、母との面会に訪れた息子。
母親:
みんな元気しちょる?

息子:
元気しとるよ
母親:
良かった、私も帰りたい
2組目は、姑に会いに来た嫁。
嫁:
お義母さん、来ましたよー。元気?ご飯、しっかり食べてますか?おいしい?よかったね。また来ますよー。はい、タッチ、ターッチ

面会に訪れた家族:
こういった時期なので、来ても直接は会えないので、それは仕方ないんですが、やはり顔だけでもと思って来るようにはしてますけど。手だけでも温めてあげたいなとは思うけど、なかなかね
孫から祖母へ…スマホ越しの三味線
施設の母親に会いに来た1組の夫婦。
東京に住む娘が、スマホ越しに「あばあちゃんに三味線を聴かせたい」と訪れた。
孫娘は三味線を習い始めたばかりという。
早速、スマホを耳に当て調子をとる。

孫娘:
おばあちゃんに合わせて(孫娘は)弾きたかったけど、できなかったの
祖母:
もう忘れちょうよ
孫娘:
だから今度は、ちゃんと歌詞を渡して一緒に歌わないと
祖母:
そうね
「会いたい」思いを、スマホ越しに伝えあう孫と祖母。
会話は10分ほど続いた。

祖母:
三味線を習っていたのは、全然知りませんでした。きょう初めて聞きました。もう1年ぐらい会ってない。東京から帰って来て欲しいですね。一緒に夕食を食べたい
再会がいつになるか分からないが、三味線に合わせ一緒に歌うことをこの日、約束した。
認知症の父と ガラス越しの面会は…
4組目の家族は、軽度の認知症を患った父と娘。
父親:
もうやめてしまえ、要らん

娘:
歯医者さんに明日行く
父親:
歯医者もなんもやめてしまえ、要らん!
軽度の認知症の父を見つめる娘。
カメラの存在が気になってしまったのか、いつも通りとはならなかった。
施設に入ったのは8月。自由に出歩くこともできないコロナ禍の生活は、父親にとってストレスになっているに違いないと娘は話す。
娘:
いつもは普通に会話します。お部屋でゆっくり父と話したいと思うが、それが今できないので…

父親と母親、両親ともに入所している娘も面会に訪れた。
娘:
寒いね
父親:
だいぶ弱ったね
娘:
なかなか大変かろう。ぬくくなってからね。帰られるならね。用心しとかなよ。しっかりご飯食べてね

父親:
食べる、食べる
娘:
お母さんもね!風邪引かないよう
面会に訪れた家族:
会いたい人には、やっぱり会いたいと思います、できるだけ。ここからやっぱり出したい。出したいというか、自宅に戻すとかではなくて、連れて一緒に散歩や買い物に行くとか、そういうところには行きたいなと思います。一緒にいるだけでいいかな。何かをするとかではなく、一緒にそこで過ごせたらいいかなと思う
人との距離感を意識せざるを得ないコロナ禍。
例え“ガラス越し”でも、家族に触れたいと願う人たちがいる。
(テレビ西日本)