2020年も残すところ、あと数日。今年は新型コロナウイルスの影響で、生活から働き方までもが変化したが、人々はどう受け止めたのだろう。この記事では分析ツールを活用して、SNSの反応から激動の1年を振り返ってみたい。

「新型コロナ」投稿数は1年で激減…

今回はビッグデータの解析ツール「Social Insight」を使い、Twitterの公開投稿を参考にコロナ禍の反応を探ってみる。そうしたところ「新型コロナウイルス」というキーワードを含む投稿は、2020年1月ごろから見られるようになった。

最初は数百件程度だったが、1月下旬ごろから急激に増え始め、1日で10万、20万以上の投稿がされるようになり、3月30日は49万860件もの投稿を記録した。2020年1月1日~3月31日までの投稿数のグラフを見ると、日本にも影響が出てきた時点から関心がぐっと高まっている。

「新型コロナウイルス」を含む1月~3月末までの投稿数などのグラフ
「新型コロナウイルス」を含む1月~3月末までの投稿数などのグラフ
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それでは、現状はどうだろうか。10月1日~12月25日の期間で調べたところ、1日の投稿数は2~3万件程度で安定し、最も多かった日でも11月19日の5万4427件という結果となった。

「新型コロナウイルス」を含む10月~12月25日までの投稿数などのグラフ
「新型コロナウイルス」を含む10月~12月25日までの投稿数などのグラフ

2020年1月当時はウイルス自体が未知の存在だったこと、今は多くの情報が共有されていることもあるだろうが、少し慣れてしまっているのだろうか。

2020年前半は「クルーズ」や「緊急事態」などが多く投稿

続いて、「新型コロナウイルス」という言葉と同時に投稿された単語を、出現回数や重要度などからスコア化して順位付けした。こちらは2020年を通じて、ランキングの上位に大きな変動はなく、名詞で「感染」「拡大」「感染症」など、動詞で「受ける」「伴う」「いたす」など、形容詞で「詳しい」「怖い」「多い」などの言葉がみられた。

「新型コロナウイルス」と同時に投稿されたキーワードを可視化したもの
「新型コロナウイルス」と同時に投稿されたキーワードを可視化したもの

実際の投稿だと、名詞の「感染」や形容詞の「多い」などは感染者の増加を伝えるために、動詞の「受ける」はPCR検査を受けるという意味などで、使われていた。

そして、「新型コロナウイルス」と一緒に投稿された名詞を詳しく見てみると、話題の言葉が数多くランクインした。時期ごとにみていくと、2020年1月~3月では「クルーズ」という言葉が17位に入っていた。これは集団感染が発生し、横浜港に停泊したクルーズ船のことで、乗客や検査体制などを心配する投稿がみられた。

クルーズ船を下船した乗客を心配する声もあった(画像は2020年2月当時)
クルーズ船を下船した乗客を心配する声もあった(画像は2020年2月当時)

4~6月では「緊急事態」が6位、「宣言」という言葉が9位に。これは文字通り4月7日に発出された「緊急事態宣言」のことで、首相官邸が緊急事態宣言の疑問点を説明した投稿が、よく拡散されていた。

4月7日の政府対策本部会議の様子
4月7日の政府対策本部会議の様子

「ワクチン」に期待や不安を抱く投稿も

7~9月で新たに上位となったのは、13位の「東京都」という言葉。東京都の感染者数をニュースサイトが投稿して、それがリツイートで拡散されることが多かった。現状の10月~12月25日を見ると、急浮上していたのが6位の「ワクチン」という言葉。開発への期待だったり、一部で報じられたアレルギー反応を心配したりする投稿がみられた。

米国の製薬大手「ファイザー」のワクチン
米国の製薬大手「ファイザー」のワクチン

2020年を通してみると、前半はクルーズ船での感染拡大や緊急事態宣言、後半は東京都での感染者増加、そして今はワクチンへの期待や不安に関心が向いたのかもしれない。

感情はネガティブ投稿が若干多い

このほか、10月~12月25日の投稿を分析したところ、ポジティブな投稿は2.8%、ネガティブな投稿は4.85%、中立が92.35%だった。

円グラフの表記は92.4%だが、計算上は92.35%
円グラフの表記は92.4%だが、計算上は92.35%

ポジティブと判断された投稿で、よくみられた言葉は「感謝」「対策」「防止」など。実際の投稿では、感染予防対策を呼び掛けたり、その実践に感謝を伝えたりしていた。

そして、ネガティブと判断された投稿で、よくみられた言葉は「お知らせ」「中止」「申し訳ない」など。実際の投稿では、コロナ禍でイベントが延期や中止になったことを報告したり、感染者が感染したことを謝罪したりもしていた。

SNSを分析したところ、この1年でコロナ関連でも時期ごとに話題が変わっていた。一時期より「新型コロナ」の投稿が減っているのは、情報が増えたからなのか油断なのか…しかし現状は感染者数は収束の兆しをみせておらず、2021年もwithコロナの生活は続いていく。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。