焼き芋屋さんは憧れだった

この記事の画像(6枚)

埼玉県戸田市に住む村田洋子さん。調理師として働いていたが、「いつか自分の店を持ちたい」との思いから、15年前に地元戸田市で焼き芋の移動販売を始めた。 

冬の街に響くおなじみのあの歌。漂う甘い香り。

幼い頃の村田さんは、そんな焼き芋屋さんに憧れを抱いていたという。しかし家が貧しかったこともあり、焼き芋を買ってもらえることはなかった。 

高校生になり、アルバイトで貯めたお金で、初めて焼き芋を買った。

憧れだった焼き芋。しかし、その思い出を尋ねると「小さくて、高くて全然おいしくなかったんです」と意外な答えが。

「こんなはずじゃない!」という思いは、開業時から今の「自分ならきっともっとおいしく安くできるはず!」との信念になっている。 

リヤカーで営業開始 お客さんの反応は…

リヤカーで焼き芋の移動販売を始めた当時、「自分ならおいしく出来る」と思っていた村田さんだったが、実際はまだまだ研究不足。「おいしくない」「あなたからは買えない」「もうこのあたりで売らないでくれ」などと厳しい言葉を浴びせられることもあったという。

それから研究に研究を重ね、おいしさを追求する日々が続く。

たどり着いたのが、200度ぐらいの温度で1時間、じっくりしっかり焼くこと。今では自信を持っておいしい焼き芋を販売していると話す。 

子供たちに冬の思い出を 

この仕事をやっていてよかったと感じる瞬間は?と尋ねると「小さな子供が親御さんに焼き芋を買ってもらって喜んでいるのを見るとき」だという。

「まるで小さい頃、買ってもらえなかった自分が喜んでいるようにも見えるんです」と嬉しそうに語る村田さん。 

冬にしか出会えない焼き芋の移動販売。「自分との出会いやその味が、子供たちの冬の特別な思い出になってほしい」 これから始まる本格的な冬、この時期にしか出会えない、温かく特別な思い出を届けるため、村田さんは今日も街を走る。 

取材後記1

村田さんに憧れ「焼き芋屋をやりたい」と集まったスタッフも居る。旦那さんも結婚前に客として訪れていたそうだ。

焼き芋を買っていく親子連れに向けられた笑顔が本当に印象的だった。

そんな笑顔で冬のひとときにぴったりな温かい空間を作り出す村田さん。

おいしい焼き芋だけではなく、人柄や雰囲気に多くのお客さんが惹きつけられているのではと感じた。 

撮影中継取材部:市川敏史 

取材後記2

小学生の頃、家でおやつによく焼き芋を食べていた。

今回取材をしていて、芋が焼けたときのあの香りが当時の記憶を思い出させてくれた。それはまさに村田さんがいう「特別な思い出」。

テレビでは香りを表現できないのが残念だが、VTRを見て懐かしいあの頃を思い出してもらいたい。 

撮影中継取材部:楠瀬琴美 

店舗情報:焼き芋 阿佐美や (戸田市内を中心に埼玉県内で平日営業)

撮影中継取材部
撮影中継取材部