福島県内で発掘された出土品としては、最高レベルとされる大発見があった。
全国的に注目されるそのワケとは!?
山の中では“あり得ない”人骨の発見
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
第一印象はウソ。ウソだっていうのが第一印象。あり得ないので
訪れた人が食い入るように見つめる、約4,000年前の遺物の貴重な展示。
2020年1月に限定公開された、縄文時代の出土品だ。
全国的に珍しいのが、赤い漆が塗られた土器。
「第一印象はウソ」…これがその正体なのか?
発見されたのは、福島・川俣町の「前田遺跡」。
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
普通は山の中の遺跡ではあり得ません
山の中ではあり得ない発見、それが「人骨」。
前田遺跡では、40体以上が見つかったという。
しかし、なぜこれが全国的に珍しいのか?
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
内陸部の遺跡ですと、人間の骨とかは文字通り土にかえってしまうんです。その骨がちゃんと残っていた
通常、沿岸部の貝塚などでは、貝から土に溶けたカルシウムが骨を守り、人骨が多く発見される。
一方、内陸部は微生物によって、骨は土にかえってしまうのだ。
ところが、前田遺跡の土に多く含まれる鉄分が皮膜を作り、骨が偶然残った可能性があると考えられている。
この日も…
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
これ骨!骨!骨!
福島テレビ・豊嶋啓亮アナウンサー:
そんなにさらっと
足のスネらしき部分が確認できる。
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
腕をどうも曲げているらしいんだな。腕を曲げていて、横向きで膝を曲げている
すなわち、屈葬で埋葬されたと推定されている。
重要文化財クラスの出土品も
さらに、大切に保管されているのは、ほぼ完品の漆器。
重要文化財クラスの出土品だという。
そして、弓。これらの木製品も、本来は消えてなくなるはずが、状態良く残されていた。
福島テレビ・豊嶋啓亮アナウンサー:
このあたりも、かなりいっぱい土器が出てるじゃないですか?
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
出てる、出てる
福島テレビ・豊嶋啓亮アナウンサー:
こんなに、出ることってあるんですか?
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
あまりない!あまりないんだけど、前田遺跡だと、これが当たり前になっちゃう
福島テレビ・豊嶋啓亮アナウンサー:
今、壁みたいになっているところ、飛び出てるじゃないですか
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
全部、全部、全部、土器
見つかった出土品は推定100万点
国道114号線の改良工事に伴い調査されている、前田遺跡。
当初は、1年で終わる予定だったという。
調査が始まって3年だが、それでも作業は追いついていない。
それもそのはず、“出るわ出るわ”で、これまでに見つかった出土品は、推定100万点!
遺跡調査を担う福島県の拠点施設は、3,000箱のケースに埋め尽くされ、これは10年分の調査量に相当するという。
福島テレビ・豊嶋啓亮アナウンサー:
ちょっとこれ、間違って踏んじゃいそうなくらい
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
その足元の中期!
福島テレビ・豊嶋啓亮アナウンサー:
これも土器ですもんね。ちょっとこれは気を付けながら歩かないと駄目ですね
昔は田んぼだったこの場所。
仕事場の真下に大発見が眠っていたことに、元の所有者は…?
土地の元所有者 管野れい子さん:
夢にも思わなかったし、今思えば、何て幸せな時間だったんだろうと思う
福島テレビ・豊嶋啓亮アナウンサー:
何か違和感というか、何か見つかるなとかあったんですか?
土地の元所有者 管野れい子さん:
まったく感じませんでしたね
内陸部での人骨の出土という、福島県史上初めての発見。
ーー教科書に載る可能性は?
福島県文化振興財団 遺跡調査部・吉田秀享さん:
きちんと調査成果をまとめて、本ができて、もう少し掘り下げて、前田遺跡に住んでいた人たちの暮らしを解明していく中で、パーツパーツでは教科書の一部に載ることがあるかもしれませんが
沿岸部と内陸で交流は?
埋葬方法は同じだったのか?
4,000年の眠りから覚めた縄文人は、何を語るのか?
(福島テレビ)