慢性疲労や下痢の原因は「食物不耐症」かも

よく「牛乳を飲むとお腹がグルグルしてしまう」とか、「お酒に弱くてウイスキーボンボンでも顔が真っ赤になる」と言う人がいますよね。
多くの人が「体質の問題」と考えていると思いますが、実は「食物不耐症」という病気なんです。

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「食物不耐症」の原因は、特定の酵素の不足ないしは欠如です。
人は食べ物をエネルギーに変えるため、消化、吸収、分解など一連の代謝を必要としますが、この代謝に必要な「酵素」は、食べ物ごとに決まっています。
ですから、この酵素が欠如や不足していると、食べ物を消化できません。 
一方、身体はそれを消化あるいは排除しようと、日中も睡眠中も膨大なエネルギーを消費します。
そのため、慢性疲労などの様々な症状が出てしまうのが、「食物不耐症」という疾患です。
アレルギーのように「免疫」に問題があるのではなく、「分解力」に問題があるのです。

実は、あなたも「隠れ不耐症」?!

「食物不耐症」という疾患は耳慣れないかもしれませんが、世界的には20%程度の人がなんらかの「食物不耐症」を持っていると言われています。
しかし、「何か体調が悪いな」「ずっと疲労感があるな」と思っても、症状がアレルギーほど重篤になることが少ないため、本人が自覚していない「隠れ食物不耐症」が多いと思われます。
「食物不耐症」には、不足や欠如している酵素ごとに、多くの種類があります。
症状としては、下痢・胃痛・胸焼け、慢性疲労・頭痛、皮膚の乾燥や発疹など、食品や人によって様々です。

ジョコビッチ選手は「グルテン不耐症」克服で大記録達成!

日本では、遺伝的にアルコールを分解する酵素が弱い人が5%程度存在し、 これは他の人種と比較しても多くなっています。
また、「牛乳でお腹グルグル」…の乳糖不耐症の有病率は75%もあります。
乳糖不耐症は、なぜそんなに多いんでしょうか?
ほとんどの人間は、離乳してから2歳になる頃までに乳糖を分解する酵素;ラクターゼの産生がなくなります。したがって、明らかな症状が出ていない場合でも、大多数の成人は乳糖不耐症と言えます。
グルテン不耐症と診断されたテニスのジョコビッチ選手が、グルテンフリーの食事を徹底して、2011年に3つのグランドスラム大会を制覇したことは大きな話題となりました。(ジョコビッチ選手については、別の疾患;セリアック病の可能性を指摘する専門家もいます)

少量の摂取なら問題ない場合も

採血などの一般的に行われている検査方法では、「食物不耐症」を正確に診断することは非常に難しいと言えます。
そこで以下のような流れで診断に至ります。
①食事日記
以前に何を食べていたのか把握することで、どの食物が影響しているのか特定する手がかりにします。
②除去期間(2週間)

目星をつけた食物を、2週間は摂るのを一切止めます。不耐症があれば、体調がよくなるはずです。
③復食期間(1週間)
除去した食物を、次の1週間で少し口にします。症状がぶり返したら、「食物不耐症」があると確定出来ます。

「食物不耐症」には有効な治療法はなく、不耐症がある食物を食べないことが唯一の対処法になります。
とはいえ、ある食物を一生口にしないのは、大きな食生活の変化を伴い、違ったストレスも生じます。
「食物不耐症」は少量の摂取では症状が出にくいことが多くなっています。
専門医の指導を受けた上で、少量摂取なら問題ないケースもあるでしょう。


(執筆:Watanabe Chiharu)