新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。
シリーズで連載する「名医のいる相談室」では、各分野の専門医に病気の予防法や対処法をわかりやすく解説してもらう。今回は、「コロナとの向き合い方」について、内科・統合医療の名医・工藤孝文先生に話を聞いた。

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リズム運動で「セロトニン」を増やす

質問:
家に居ながらできる子供達に対する健康法はありますか?

工藤孝文先生:
お子さん達にオススメしたいのはダンスです。
脳内で働く神経伝達物質のひとつで、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっている「セロトニン」を増やす必要があります。
リズム運動が「セロトニン」を増やすと言われているので、ダンスをオススメします。

僕らの世代になるとダンスは結構恥ずかしいのでできないのですが、今の子供達はYouTubeとかで簡単にダンスできますので、ダンスが一番いいです。

単なる運動よりダンスは自律神経を整えてセロトニンを増やすと言われているんです。

ラジオ体操がまさにそうなんです。リズム運動じゃないですか。
毎朝朝日を浴びてリズム運動をするからこそ、休みの間も子供達は退屈しないし、良いスタートが切れる。ラジオ体操は今になって医学的根拠が出てきているということになります。
 

朝起きたら10分間のウォーキング

質問:
コロナで不安な思いをしている人々に先生からメッセージはありますか?

工藤孝文先生:
非常に難しいところです。
こういう時はアドバイスをしても身体が動かないんですよね。

僕も以前、忙しすぎて鬱っぽくなったり、自律神経が狂った時があったので、少しずつでいいので、何か行動を起こすことが一番ですね。

「行動」と「思考」は両立できないんです。
例えば、息ハーハーしながらランニングしている時は、心配事とか考えられないじゃないですか。なので僕がオススメしているのは、朝起きたらどんなに気持ちが億劫でも10分間のウォーキングかランニングをしなさいと言います。

そうすると、副交感神経から交感神経に自律神経が切り替わるので、走り終わった後、スッキリします。走っている間は無心になって走れますので、悩みが消えますね。

グーグル社員も実践…毎日の「マインドフルネス」

後は、例えば膝が悪いとか、実際に走るのがきついという方に関しては、マインドフルネスというのがあります。
俗に言う「瞑想」みたいなものですが、一番簡単なのが「呼吸瞑想」で、目を閉じて呼吸に集中するという感じです。

鼻から息を吸って、鼻に入った空気が喉を通って肺に入って、また肺から出ていって喉に来て、口か鼻から出す。呼吸に集中すると不安やストレスが取れてきます

GAFAですね。グーグル社の社員とかが全員やっていることです。

それでもはじめは不安が襲ってきます。
瞑想していても、呼吸に集中していても、ああいった不安があるとか、友人関係が上手くいっていないなどと不安が出てくるんです。それでも呼吸に戻す。呼吸に集中するんだと何回も繰り返すと、悩みが消えていきます

理由は、不安は脳の扁桃体というところで作られているんです。
(扁桃体:ヒトを含む高等脊椎動物の側頭葉内側の奥に存在するアーモンド形の神経細胞の集まり)

この扁桃体とか前頭葉というところで不安は作られているんですけど、毎日のマインドフルネスで、呼吸に集中する→雑念が入る→呼吸にまた戻す→雑念が入る→呼吸に戻すということをやっていくと、脳の筋トレと僕は言っていますが、萎縮していた、鬱の原因になっている前頭葉が、元のサイズに戻るというか、ちゃんと機能しだすので、瞑想を毎日続けていくと、自然とマイナス思考とか不安な気持ちが消えていきます

騙されたと思って是非やってみてください。脳は鍛えられるんですね、不安を消すために。
 

名医のいる相談室
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