部屋で虫が出ても安心…救世主となるアイテム登場

部屋に虫が出たら、あなたはどのような行動を起こすだろうか。虫が苦手な人は、家族を呼んで取ってもらったり、捕まえるまで寝られなかったという人も多いのではないだろうか。

たとえ虫が苦手でなくても、虫を殺すことに抵抗のある人もいるだろう。

そんな“部屋の虫問題”を解決するため、簡単に部屋の外へ逃がすことができる「BUG ROCKET(バグロケット)」というアイテムが登場した。

Bug Rocket(開発中モデル)
Bug Rocket(開発中モデル)
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「BUG ROCKET」は家の中にいる虫を殺さずに、捕獲して外に逃がしてあげるための製品で、使い方は3ステップと簡単。

1. 壁にいる虫に向けて製品を被せて、筒の中へ誘導する

2. 虫を捕獲して部屋の外に運ぶ

3. 部屋の外で虫を逃がす

家でクモや羽虫などを見かけると、すぐにティッシュペーパーで潰してしまいがちだが、この3ステップだけで虫の命を奪うことなく、外に逃がすことができる。

「BUG ROCKET」は、実はまだ商品化されておらず、クラウドファンディングサイト「Kibidango(きびだんご)」で販売プロジェクトが開始された。

12月12日から2月8日の間に2200円(送料込み)で販売され(早割りやセット割引プランあり)、2021年6月下旬に発送される。購入数が合計100台以上に到達したら、商品化が実現する。

そして、「BUG ROCKET」の特徴としては、

1.殺虫剤と異なり、空気を汚さず安全に使える

2.クモのような跳ねる虫や羽虫は、小さめの漏斗を被せると容易にその中へ入っていくため簡単に捕まえられる

3.漏斗の端面を弾力のあるシリコン素材にすることで、凹凸のある壁でも虫を捕まえらることができる。また、捕獲部分は四角形のため、端にいる虫も捕まえられる。

4.使われていない時間の方が長い製品だということを考慮し、無色半透明な素材を使用して、どのようなお部屋にも馴染む外観を目指した。

5.この製品は縦に長く、先端で虫を捉えることができるため、虫が苦手な方でも虫との距離を保って使うことができる。

と5つの特徴が挙げられている。

今回なぜ「BUG ROCKET」を開発しようと思ったのか。開発の経緯などを試作設計を担当した飯島祥さんとデザインを担当した水野諒大さんにお話を伺った。
 

開発メンバー(左: 飯島祥さん 右: 水野諒大さん)
開発メンバー(左: 飯島祥さん 右: 水野諒大さん)

部屋に出る虫を簡単に外へ逃したい…

ーー「BUG ROCKET」を開発の経緯は?

飯島祥さん:
きっかけは、一人暮らしで部屋に出てくる虫を簡単に外へ逃したいという思いからです。

開発メンバー2人の出会いは、ファブラボ太宰府という、福岡にあるモノづくり工房でした。大学生だった私たちはアルバイトスタッフとして、そこで知り合うことになりました。 3Dプリンターやレーザーカッターといった、デジタルな最新の工作機械の使い方を利用者に教える業務の傍らで、水野さんは3Dプリンターである制作を行いました。工房内にある水槽の魚を、苦しまずに水槽の外へ運ぶ「Hotel for Fish」という作品です。

ファブラボ太宰府
ファブラボ太宰府

その後、広告制作会社に就職した飯島は、3Dプリンターを用いてBUG ROCKETの前身となる試作を作りました。それは、一人暮らしで部屋に出てくる虫を簡単に外へ逃したいという思いがきっかけです。これを使ってみた時、そして普段退治していたはずの虫を逃がすことで、罪悪感が弱まるのを感じました。

この試作器をより使いやすい形にデザインし直すことで、より多くの人にこれを使ってほしいと思いました。その時、水野さんの「Hotel for Fish」を思い出し、同じ気持ちで制作に取り組めるのではないかと考え、2人で改めて開発と企画を行えないかご相談しました。また、以前からこれに限らず多くの凄い作品を制作されてきた水野さんと、いつか一緒にコラボレーションをさせてもらいたいという思いもありました。

第一試作器
第一試作器

ーー開発に約1年かけたということだが、一番大変だった部分やこだわりの部分は?

水野諒大
さん:
(一番大変だった部分)
学生時代のファブラボや授業、デザインコンペ等でアイデアを考えても、それが製品化されて多くの人の生活に役に立つということはありませんでした。卒業後、プロのエンジニアやデザイナーになっても、会社から出す製品はありますが、会社と関係ない自分たちのアイデアを製品化できるわけではありません。

しかし、クラウドファンディングという方法であれば、大企業でなく個人でもメーカーとして製品を多くの人に届けられるかもしれないと思い取り組みました。そして、個人で少量であっても、金型で製造して頂ける工場もあることがわかりました。フルタイムで会社員として働きながら、それらの方法を一から模索し、実際に値付けやPR方法の検討、動画制作等まで一つずつ取り組み、一年かかってようやくクラウドファンディングをするところまで来ることができました。

(こだわりの部分)
虫を覆って容器内に誘導する漏斗の形状を最もこだわりました。第一試作の段階で、ある程度捕獲はできたものの、より幅広い環境、虫の種類にも対応して捕獲ができるよう検証とモデルの改良を重ねました。その検証レポートは20ページを超え、改良を重ねたモデルの数は50回に渡りました。はじめに様々な形状をスケッチし比較した結果、虫がスムーズに登れるために直角の壁を設けたのち、緩やかなカーブを持たせた傾斜をつけて穴へ誘導する構造を採用しました。そして、その壁の高さと傾斜角度、傾斜の高さを、実際に室内で発生したクモを使って比較検証しました。

コバエからカメムシ程度のサイズまで捕獲可能

ーー虫の大きさはどれくらいの大きさまで入ることができる?

飯島さん:
虫を覆う漏斗には、直径18mmの穴が設けられています。そのため、コバエからカメムシ程度のサイズの虫まで捕獲することができます。

ーー開発メンバーの飯島さん、水野さんは虫が嫌い?

飯島さん:
虫は嫌いではありませんが、少し大きめのクモが家に出ると少し怖がってしまいます。ただそういう虫は触れなくても愛着を感じるので、殺さずに外へ逃したいとずっと思っていました。

水野諒大さん:
自然豊かな沖縄で育ったからか、虫が大好きな虫取り少年でした。しかし、大人になるにつれて、虫に恐怖心を感じるようになってしまいました。特に自分のテリトリーである自室に虫が出るのがとても嫌いです。

子供の頃の水野さん
子供の頃の水野さん

ーー購入数が100台以上なら商品化だが、現在予約などはきている?

飯島さん:
予約受付は承っておりませんが、公開3日間で、プロジェクトのフォローが30件に達しました。 また、事前に共有した友人、家族、同僚などにも好評で、大半の方に、開始したら是非買いたいと言ってもらっています。

ーー今後開発してみたいものは?

飯島さん:
最初の回答で触れた「Hotel for Fish」は、今回のコンセプトに関連するものとして、今後開発したいと思っています。

「Hotel for Fish」
「Hotel for Fish」

部屋に出てくる虫を簡単に外に逃がしたいという思いから生まれた「BUG ROCKET」。開発者の飯島さんと水野さんの出会いについても話してもらったが、2人のモノづくりに対する共通の情熱があったからこそ「BUG ROCKET」が誕生したのだろう。

そして、クラウドファンディングのページでは「この製品を通じて、日頃の生活における、身近な命に対する考え方が少しでも変わるといいなと思っています」としている。
 

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プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。