札幌市南区の「ノースサファリサッポロ」に無許可建築物の完全撤去が命じられてから7か月あまりが経ちました。
まだ残された動物がいる中、札幌市はより強い処分の検討も視野に入れています。
「今、札幌市の職員が除却命令を伝えに、ノースサファリの代理人弁護士の事務所に入っていきます」(水上孝一郎記者)
今から7か月半前。
札幌市が「除却命令」という行政処分をノースサファリの運営会社「サクセス観光」に出しました。
サクセス観光は、都市計画法で原則開発が禁止されている「市街化調整区域」でノースサファリ開園前の2004年から獣舎や宿泊施設などを無許可で建て続け、その数は183棟まで増えました。
20年以上にわたって建築物の撤去を求めてきた札幌市。
行政指導の数が21回に達した3月、残された37棟を10月末までに完全撤去するよう命じたのです。
春と夏が過ぎてゆき、秋も終わろうという、撤去期限2日前の10月29日。
「建物の除去状況につきましては、前回の10月9日に立ち入り検査を行っておりまして、その段階で25棟残っております。一番ネックになったのは、動物の移送ということだと思いますので、動物の移送も含めて早期に対応をするように行政指導を続けていく必要があるかなと」(札幌市 秋元克広市長)
そして迎えた、撤去期限の10月31日。
巨大な白いライオンのオブジェがなくなっていました。
しかし、除却命令による完全撤去は実現しませんでした。
撤去されなかったのは、今も220匹が暮らす獣舎などです。
ベンガルトラと2頭のツキノワグマ。
人気を集めていた動物たちは活発に動き回り表情はおだやかでした。
ノースサファリは2025年9月末に閉園し、その後動物たちの引き取りを表明したのが東京の会社「ビーチキャピタル」の赤沢芳樹さんと浜野薫子さんです。
2人が設立した会社「北海道アニマルワールド」が動物の体調管理を続けています。
「このエリアとかも基本的には暖かい所に生息している動物たちなので、お部屋は温度を常に計測していて、夜間とかも冷えてくるのでふさげる隙間をふさいで、お部屋の空間の密閉性を気密性を上げたりとかしている」(飼育スタッフ)
閉園してからまもなく2度目の冬を迎えます。
寒さに弱い動物たちのために地面に草を厚く敷くなどして、動物の健康を守っています。
「寒いと代謝が上がって痩せやすくなったりとかもするので、エサを食べている時は触りやすかったりするので、そういう時に体形も一緒にチェックしたりとかしています」(飼育スタッフ)
6月、サクセス観光から約20人の従業員がアニマルワールドに移籍しました。
新しい施設のコンセプトも固まってきています。
「現状まだ決まっていないのですが、札幌近郊の3つの候補地と慎重にお話を進めている段階です。規模に関しては『世界基準の動物福祉』というところを考えた上で、2万坪以上の広さを想定。動物本来の身体能力ですとかそういったものを身近に感じられるように、動物の隣で人間が体験できるような場所を考えているという感じです」(北海道アニマルワールド 佐藤郁弥さん)
理想を描く一方で、動物園の移転は予想以上に厳しいのが現実です。
「思った以上に移転には時間がかかってしまうので、建物が撤去されている中で動物たちの飼育スペースというのが限られて狭くなってしまっている現状ですので、本当に1日でも早く、広いところに連れて行ってあげたいという思いです」(佐藤さん)
11月2日、札幌市は改めて立ち入り検査を実施。
無許可建築物がまだ22棟残っていたことを確認しました。
命令を早く実行するようサクセス観光に行政指導を行うことにしています。
「『新しい動物園を開園するのに合わせて』ということなんですが、それについては具体的な担保もありませんので、それとはやはり連動しない形になるかなと思います。我々とすればサクセス観光に対して、引き続き除却を指導していくという形になろうかと思います」(札幌市開発指導課 坪田修一課長)
札幌市は今後の状況次第では、刑事告発や行政代執行などより強い処分も検討することにしています。
一方、サクセス観光は…
「安全や飼育環境を確保しながら作業を進める必要があることから、撤去の完了には至っておりません。今後も動物の安全と福祉に十分配慮しながら、関係者との調整を進め、可能な限り速やかに建築物の撤去を進めてまいります」(サクセス観光のコメント)
人間たちはどんな”答え”にたどり着くのでしょうか。
