上下両院ともトランプ大統領の共和党が歴史的な敗北となったアメリカの中間選挙について、最新情報と日本への影響について見ていきます。
安宅晃樹キャスター:
前ワシントン支局長でフジテレビ外信部の千田淳一デスクにも話を聞いていきます。
まず率直に今回の結果どうみますか?
フジテレビ外信部・千田淳一デスク:
共和党がこの中間選挙で上下両院の多数派を同時に失うというのは2006年以来20年ぶりのことで、当時はブッシュ政権、イラク戦争への批判が非常に高まっていた時期。
今回もイランとの戦争がトランプ大統領への大きな逆風になったといえると思います。
山崎夕貴キャスター:
今回の結果についてトランプ大統領はどう見ているのでしょうか。アメリカ・ワシントンからFNNワシントン支局・林英美支局長に伝えてもらいます。
FNNワシントン支局・林英美支局長:
複数のアメリカメディアは民主党が上下両院で過半数を奪還したと報じ、民主党のシンボルカラーである青にちなんで「ブルーウェーブが全米を覆った」と民主党の勝利を大きく伝えています。
この2年間のトランプ大統領の政策や政治姿勢にアメリカ国民から厳しい評価が下された形で、トランプ大統領にとっては惨敗といえる結果です。
こうした中、トランプ大統領は先ほどFOXニュースの電話インタビューに答え、「少し驚いている。もっと良い結果が出ると思っていた」と述べました。
また、敗北の理由について問われると、「一因はイランだったと思う」と述べ、自身が踏み切ったイランへの軍事攻撃が、共和党の敗北に影響したとの認識を示しました。
イラン情勢を受けた燃料価格の高騰にアメリカ国民の不満は広がっていて、ロイター通信の最新の世論調査では、半数以上のアメリカ人が「軍事攻撃は価値がなかった」と答えています。
山崎夕貴キャスター:
さすがのトランプ大統領も落ち込んでいる様子というのはみられますか?
FNNワシントン支局・林英美支局長:
トランプ大統領本人はまだ姿を見せていないので直接表情を伺うことはできませんが、早速、SNSに「拒否権」と書かれた赤い帽子の画像を投稿しています。
議会で民主党から法案が提出されれば拒否権を行使して対抗していく姿勢を示しています。
対する民主党も、トランプ一家の事業をめぐり利益相反の疑いなどについて調査を進める考えで、今後、トランプ政権との激しい対立が予想されます。
安宅晃樹キャスター:
林さんのリポートの中にもありましたが、トランプ大統領は今回の選挙結果を受け、このような発信がありました。
日本時間の午後2時前、拒否権という意味の「VETO」という文字が刺しゅうされた赤色のキャップの写真を投稿しました。コメントは一切なかったというところで真意は不明です。
さらに、その3分前には「私は政治評論家になり、共和党の候補者が勝った・負けた理由について、良し悪しを問わずに分析していくつもりだ」と投稿しています。
三宅さん、トランプ大統領らしい発言ですかね?
三宅正治キャスター:
また不正があったとか言ったりするんじゃないかと心配していたんですが。
「拒否権」というのは気になるけれども、全体的には冷静なコメントのように僕は感じましたけどね。
安宅晃樹キャスター:
そして、今回の選挙では9つの激戦州と言っていましたが、このうち6つの州の上院議員について、アメリカメディアは民主党が勝利したと伝えています。
千田さん、激戦州でかなり民主党が攻めたと。
フジテレビ外信部・千田淳一デスク:
民主党が大躍進といっていい、「ブルーウェーブが起きた」といってもいいと思いますが、9つの接戦州の中でも注目していきたいのが、中西部のカンザス州です。
カンザス州で共和党が上院選で議席を奪われるというのは実に94年ぶりのことです。ですので惨敗を象徴する結果になったといえると思います。
安宅晃樹キャスター:
カンザス州もそうですが、同じように共和党の牙城と言われていながら民主党が勝利したテキサス州があります。
現在の様子を松浦武司記者に伝えてもらいます。
松浦武司記者:
こちらは先ほどまで民主党の支援者らが集まっていたテキサス州オースティンの開票イベントの会場です。
いまは静まり返っていますが、会場のスクリーンに上院選での民主党候補の勝利が伝えられた時には大きな歓声が沸き、会話の声が聞こえないほどでした。
ここテキサスでは、2年前の大統領選挙でもトランプ氏が大差で勝利し、まさに「共和党の牙城」だった訳ですが、そのテキサスで民主党のタラリコ候補が38年ぶりに勝利したということで、多くの支援者が涙を流して喜んでいました。
榎並大二郎キャスター:
「共和党の牙城」が崩れたわけですが、それほどトランプ政権への市民の不満が大きかったということなのでしょうか?
松浦武司記者:
有権者の多くから聞かれたのは暮らしへの不満でした。「家賃も食費も高くなったのに給料は上がらない」という声が多く聞かれました。
トランプ政権に落胆し、民主党に寝返った支持者が多かったのかもしれません。
安宅晃樹キャスター:
激戦州、注目のテキサス州で37歳のタラリコ氏が勝利したということで、今回の中間選挙の象徴ともいえそうですよね。
三宅正治キャスター:
こうなってくるとトランプ大統領の今後の政権運営も相当影響があると思いますが、千田さんどうですか?
フジテレビ外信部・千田淳一デスク:
中間選挙が始まる数カ月前からトランプ政権、トランプ大統領のレームダック化が始まっているとも言われたんですが、今回の選挙を受けて、一層レームダック化が進むと十分想定されるかなと思います。
安宅晃樹キャスター:
ここまで激戦州についてお伝えしていますが、現在のトランプ政権は、まずトランプ大統領が共和党で、上院と下院ともに共和党が過半数を占めていて、党のシンボルカラーが赤ということで「トリプルレッド」と呼ばれる状態だったわけです。
しかし今回の選挙を受けて、上院と下院で民主党が過半数を占めるということが確実になったわけです。
山崎夕貴キャスター:
ここまでの敗北となると、以前のようにトランプ大統領は負けを認めないんじゃないかというような見方もありましたが、今回は雰囲気違いますよね?
フジテレビ外信部・千田淳一デスク:
トランプ大統領は先ほどニューヨーク・タイムズのインタビューに答え、「選挙結果は認める」と、そして「民主党とも協力する」とも発言していますので、2021年の連邦議会襲撃事件のような状況にはならないとみられていますが、そう話したあとも民主党との協力を拒否するようなコメントをSNSでトランプ大統領が発信しているので、新しい議会が始まる来年1月以降、どんな動きを見せるかが全く不透明な状況です。
榎並大二郎キャスター:
現状、抑制的なトランプ大統領の態度であるならば、議会は安定するということでしょうか?
フジテレビ外信部・千田淳一デスク:
ただトランプ大統領が民主党に協力をするといっても、民主党がそれに応じるかどうかというのが全く分からない状況なんですよね。
そもそも野党・民主党はこの間、トランプ大統領のさまざまな疑惑を巡って弾劾訴追をする準備を進めてきています。
トランプ大統領としては、1次政権時代に史上初となる2度の弾劾訴追を受けていて、今回3回目の弾劾訴追となれば相当なダメージを受けるので、トランプ大統領としては、野党だけではなくて与党にも気を使っていく場面が増えてくるのではないかと考えられます。
遠藤玲子キャスター:
協力していくのか、それとも対決姿勢が強まるのか不透明なことが多い中で、中東情勢だったり米中関係だったり、世界情勢的な視点で見ると今回の結果はどうなりそうですか?
フジテレビ外信部・千田淳一デスク:
トランプ政権が上下両院を失って、法案や人事といった国内政策が今後縛られてくることが想定されますが、大統領に比較的な大きな裁量権があるのが外交や安全保障の分野で、その分野でトランプ大統領がより一層権限を強めてくるのではないかという見方が大勢です。
そうした中で、まずは議会の承認を得ずに進めてきているイランとの戦闘をどう終結させるのかということが直近の注目点かなと思います。
山崎夕貴キャスター:
外交についてどういう形でトランプ大統領が今後振る舞っていくのか読めないところがありますよね。
フジテレビ外信部・千田淳一デスク:
まず、注目されるイランとの戦闘をいつまで続けるのか。トランプ大統領は中間選挙のあとも攻撃を繰り返し行うと言及しているので、攻撃次第、戦闘の行方次第では、再び世界が混乱してしまうということも想定されるかなと思います。
山崎夕貴キャスター:
気になる中東情勢がどうなるのか、トルコ・イスタンブール支局の加藤崇支局長に聞いていきます。
FNNイスタンブール支局・加藤崇支局長:
共和党の敗因の1つともいわれるイラン情勢ですが、イランはアメリカに対し、外交と戦闘の両面で備えている状態です。
イランはこれまでトランプ大統領の思惑とは逆に、戦闘終結に向けた交渉では妥協することはせず、ホルムズ海峡の封鎖を続け、原油高に導いてきました。
そのため、中間選挙で共和党が敗北したことはイランにとって理想の展開とも言え、アメリカとの交渉では今後も強気の姿勢で臨むものと考えられます。
ただ、イスラエルではネタニヤフ首相の与党側も敗北していて、野党政権が樹立する前にイランへの攻撃を再開すべく、トランプ大統領に働きかけるとみられます。
仮にアメリカが再攻撃に踏み切れば、イランは報復の対象を米軍基地だけではなく、海底ケーブルやAI関連施設なども標的にすると警告していて、経済はさらに混乱を深める可能性があります。
山崎夕貴キャスター:
では、続いて今後の米中関係はどうなるのか、中国・北京支局から近藤雅大記者です。
FNN北京支局から近藤雅大記者:
中国外務省は4日午後の会見で「選挙結果は内政問題だ」としたうえで、「引き続きアメリカと協力し、建設的で戦略的な安定関係を構築する」と表明しました。
習近平国家主席とトランプ大統領は、11月に中国で行われるAPEC(アジア太平洋協力会議)の場で3回目の首脳会談を行う見通しですが、中国の専門家は、今回の選挙結果でも米中関係の大枠は変わらないだろうと分析しています。
一方でトランプ大統領は、外交でのレガシーを残そうと、中国との協力を深める方向に進むとの見方もあります。
また、中国にとっても、アメリカは国別では最大の貿易相手国で、関係の不安定化は低迷が続く国内経済にも影響します。
2027年、5年に一度の共産党大会を控え、4期目も見据える習主席としては、外交で最も重視するアメリカとは安定した関係を維持していきたい意向です。
榎並大二郎キャスター:
米中関係も気になるところですが、千田さん、米朝関係はどうなっていきそうですか?
フジテレビ外信部・千田淳一デスク:
トランプ大統領はこの間、繰り返し北朝鮮の金正恩総書記との首脳会談を求めたいと、年内には実現したいと繰り返し強調していますので、米朝の接近というのは十分あるかなと思います。
そうなると、やはり日本としても拉致問題の解決に向けてトランプ大統領との関係を非常に密にしていく必要があるかと思います。
山崎夕貴キャスター:
やはり中間選挙というのは世界中に大きな影響を与えますね。
三宅正治キャスター:
特に中東情勢に関して、日本は原油価格も含めて非常に関わる大きな問題であると思いますが、日本への影響もかなり大きそうですよね。
安宅晃樹キャスター:
日本への影響について、経済担当の智田裕一解説副委員長によると、今回の結果を受け、AIへの規制が進む可能性から株式市場にとっては逆風になると。
そして、為替相場はアメリカの財政悪化リスクが後退すれば円安が進む可能性があると智田裕一解説副委員長はみています。
遠藤玲子キャスター:
円安がまた進むと日本でも物価高が続くわけで、そうなった場合、物価高の一因となるトランプ関税は今後どうなっていきそうですか。
フジテレビ外信部・千田淳一デスク:
関税は本来は議会の権限なんですが、法律によりまして大統領にも一定の権限が与えられているんですね。
躍進した民主党が関税の撤廃をこれから求めてきても、トランプ大統領は法案への拒否権があります。
ただ、物価高が共和党への逆風となったことから、共和党内でも見直しを求めてくる声が強まる可能性もあります。
そうなると、トランプ大統領としては非常に悩ましい状況に追い込まれる可能性もあるかなと思います。
安宅晃樹キャスター:
今後、全ての結果が出てトランプ氏がどう反応するのか、アメリカの行く末、世界中が注目しています。
