富山県高岡市が議会への提出をいったん見送っていた市庁舎の整備案が、2日の市議会特別委員会に出された。市側は資料に不備はないとして、修正せずに提出した。一方で、この比較表を市民アンケートに同封しない方針を示したため、議員からは質問が相次いだ。委員会は3時間半に及び、3月の設置以降で最長となった。

修正せずに提出、7つの「整備パターン比較表」

2日の高岡市議会、公共施設のあり方検討特別委員会。市側は高岡市庁舎の「整備パターン比較表」を提出した。
この資料は、今月15日の委員会で提出される予定だった。ところが議会側への事前説明の際に資料の不備を指摘され、市側は委員長が審議にかけられないと判断したとして、いったん提出が見送られていた経緯がある。
市側が示した整備パターンは7つである。新築、移転、免震、耐震という整備手法を組み合わせ、それぞれの費用や耐用年数、主なメリット、デメリットなどが記されている。
候補地は4か所、いずれも新たな土地の取得は不要
候補地として挙げられているのは、次の4か所である。

・現在の市庁舎の敷地
・中心市街地にある複合商業施設「御旅屋セリオ」
・高岡駅の北側にあり、民間企業や市立図書館、県立高校などが入る「ウイング・ウイング高岡」
・去年3月に市の土地開発公社が取得した、高岡駅南側のダイエー跡地
いずれも新たに取得する必要のない土地だ。
建て替え・分散・改修、7つのパターンの中身

1つ目は「新築」である。 現在の本館や議会棟を解体し、同じ敷地で建て替える。7階建てと4階建ての2棟が計画され、費用は7パターンで最も高い256億円となっている。

2つ目は「移転」と「新築」の組み合わせである。 御旅屋セリオとウイング・ウイング高岡の空きスペースを活用し、現在の敷地にも新庁舎を建てる。行政の簡素化による床面積の縮小などに柔軟に対応できる一方、分散型の庁舎となる。

3つ目も分散型である。 御旅屋セリオとウイング・ウイング高岡の空きスペースを活用し、さらに高岡駅南側のダイエー跡地にプレハブの簡易庁舎を建てる。
残る4つは、現在の市庁舎に地震対策を施すパターン。

・4つ目:免震改修。耐震性が不足している本館に、地震の揺れを吸収する装置を設置する。費用は97億円。耐用年数は2040年頃までで、その頃を目途に再び整備が必要となる。

・5つ目:免震改修に長寿命化の改修を加え、耐用年数を2080年頃まで伸ばす。費用は162億円。

・6つ目:耐震補強。本館の外に鉄骨の筋交いを設置して耐震性能を補う。費用は最も安い36億円だが、耐用年数は2040年ごろまでと最も短い。

・7つ目:耐震補強に長寿命化改修と浸水対策を加える。整備費は152億円。
「調査事業は何のために実施したのか」議会側が疑問

議会側が問題視したのは、比較表の扱いである。市側はこれまで、整備パターンの比較表を今月実施予定の市民アンケートに同封すると議会に説明してきた。
ところが、市側はこれまでの方針から一転し、比較表を同封しない考えを示した。これに対し、委員長の本田利麻議員は次のように述べた。

「アンケートのための調査検討業務の結果である比較表がアンケートに使用されなくなった。大きな方針転換。調査事業は何のために実施したのか、意義も問われかねない」
議会は先月9日の事前説明の際にも、このままでは市民がアンケートに答えるための判断材料が乏しいと指摘していた。あわせて、7つの案を年間コストや機能で比較するなどの追加資料の提出を求めている。市側は、この追加資料をなるべく早く示すとしている。
市側「市民の考え、ニーズを客観的に把握したい」
市側の考えを説明したのは、総務部の山本真弘部長である。市民アンケートについて、次のように位置づけた。

「(市民アンケートは)調査整備の方向性を固めていくプロセスの第一歩。市庁舎整備に対する市民の考え、ニーズを客観的に把握したいと考えている」
議員から相次いだ質問、副市長は「真摯に答える」
アンケートで市民はどう判断すればよいのか。議員からは、アンケートの方法について市側の考えを問う質問が相次いだ。

梅島清香議員は「お金をかけて調査した、しっかり市民に提示して(整備パターン比較表を)アンケートの判断基準にしていただきたい」と求めた。
水越進一議員も「十分な資料が出なかったらアンケートをしても無駄になる。しっかりやっていただきたい」と訴えた。
これに対し、竹内延和副市長は「アンケートだけで市民に決めてというつもりもない、もっと判断材料があるべきという指摘については真摯に答えさせていただきたい」と答えた。
白紙撤回から1年あまり、仕切り直しの第一歩に必要なこと
築45年以上が経過し、耐震性が不足する高岡市庁舎。その整備方針が白紙撤回されてから、1年あまりが経った。

仕切り直しの第一歩となるのが、今回の市民アンケートだ。より良い結果を得るためには、何より市民に分かりやすい説明が欠かせない。比較表を同封しない方針のもと、市が追加資料をどのような形で示し、市民が判断できる環境を整えられるか。今後の対応が注目される。
(富山テレビ放送)

