盛岡南と不来方、岩手県の高校バレー界をけん引してきた2つの名門校が統合し、2025年に誕生した南昌みらい高校男子バレーボール部。統合初年度の2025年は春高岩手県大会で決勝まで勝ち進みながらも、あと一歩で頂点を逃した。両校の伝統を受け継ぐ“最後の世代”の3年生たちは、それぞれの学校で過ごした時間と思いを胸に刻みながら、「最初の優勝」を目指している。
名門統合、悲願への挑戦
2025年春、盛岡南と不来方が統合して誕生した南昌みらい高校。
春の高校バレー岩手県大会では、盛岡南が10回、不来方が14回の優勝を誇り、県内バレー界をリードしてきた。
統合初年度となった2025年、チームは決勝までストレートで勝ち進んだが、あと一歩及ばず準優勝。悲願の「初出場初優勝」はならなかった。
野崎裕翔主将(3年)は、「絶対優勝したいという気持ちが強かったので、逆転されたのがとても悔しかった」と振り返る。
現在の3年生は、入学後の1年間を盛岡南と不来方、それぞれの学校で過ごした最後の世代。
合わせて19人が2年生からチームメイトとなり、今は9人が残り後輩たちとともに頂点を目指している。
多彩な攻撃を支える力
チーム最大の武器は、スピードと多彩さを兼ね備えたコンビバレーだ。
司令塔は、元不来方のセッター・佐々木友優選手(3年)。
相手の動きを見極めながら、速攻や時間差など幅広い攻撃を組み立てる。
佐々木選手は「(相手の)ブロックを見てブロックを振り、スパイカーにストレスなく打たせることを一番意識している」と話す。
守備では、元盛岡南の瀬川颯太選手(3年)が存在感を発揮する。
2026年1月にスパイカーからリベロへ転向し、持ち前の読みと反応の良さでチームを支えている。
瀬川選手は「相手が嫌がるような(粘りで)ボールを拾って、味方に決めさせるよう頑張りたい」と目標を語った。
受け継がれるキャプテンの覚悟
チームを率いるのは、スピードある攻撃を武器とするアウトサイドヒッターの野崎裕翔主将(3年)だ。
しかし、当初キャプテンを務めていたのは石塚陽翔さん(3年)だった。
石塚さんは2025年12月に大けがを負い、主将の役割を野崎選手へ託した。
石塚さんは「頼もしくなってきたので、引き継ぐとなっても心配なく『野崎ならできるな』と思いながら託すことができた」と振り返る。
一方の野崎主将も、「前のキャプテンがちゃんと声を出して引っ張る人だったので、自分がその後、引き継げるか心配だったが『周りの2年生にも支えられながら頑張ろう』という気持ちが強かった」と話す。
元不来方のリーダーから元盛岡南の大黒柱へ渡されたキャプテンの覚悟。
そして夢舞台への決意も受け継がれた。
歴史を刻む「最初の優勝」へ
全国大会への強い思いを持つのはマネージャーも同じだ。
3年生マネージャーの大坊陽花さんの兄2人は、不来方高校バレー部で活躍し、全国大会の舞台を経験した。
兄たちに憧れ、中学までプレーヤーとしてバレーに打ち込んでいた大坊さんは、不来方高校でマネージャーの道を選んだ。

大坊さんは「(おにぎりを)大体60個ぐらい目安に握っている。一個一個 みんながこれから頑張っていけるように思いを込めて握っている」と話し、選手たちと同じ夢を追いながら、陰でチームを支える存在だ。
盛岡南と不来方。歩んできた歴史は二つだが、目指す場所は一つ。
野崎主将は「先輩方がつくり上げてきた歴史があるので、それに恥じないプレーで優勝したい」と意気込む。
かつてのライバルは今、心強い仲間になった。
その絆を力に変え、南昌みらいは悲願の「最初の優勝」へ挑む。

