唐川侑己(31)のカットボールがチームをクライマックス・シリーズ出場へと導いた。

11月8日、120試合制の119試合目だった。西武とCS進出をかけた大一番。
「7回の男」唐川が、3-2と1点リードの6回2アウト満塁で、5番手としてマウンドに上がった。
打席には2回にタイムリーを放った西武の9番・呉念庭(27)。絶体絶命のピンチだ。

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初球、143キロのカットボールがインコース低め、呉の懐をえぐる。空振り。「初球だけ良かった」という納得の1球だった。

2球目も143キロのカットボールで2ストライクとし、141キロのストレートのボール球で外に1球外す。最後は外角にズバッと145キロのカットボールで空振り三振。満塁でバットに当てられたくない状況を、当てさせず切り抜けた。ストライクを奪ったのは全てカットボールだった。

女房役のキャッチャー・田村龍弘(26)はガッツポーズを見せるも、マウンドの唐川はポーカーフェイスを貫く。「本当はガッツポーズとかする場面なんですけど、初球以外はあまり良い球ではなかったので…」とクールにベンチへ戻った。ベンチは大盛り上がりだった。

唐川について、吉井理人投手コーチ(55)はこう評する。

「唐川の代名詞は、カッターです。速球より球速が速く、威力があります」
(吉井理人投手コーチ8月10日ブログ)

カットボール(カッター)の割合が今季は実に70%。ストレートより球速が速く、球威がある唐川の最大の武器だ。
左打者の懐にクイッと食い込む。その特徴は「それほど曲がらないところ」と言う。あえてストレートの球速のまま、ほんの小さな動きで軌道を外す投球で好リリーフを続けてきた。

「侑己」という名の通り、「己」を信じて一番自信のあるカットボールでピンチを脱すると、その裏に味方打線が3点を追加した。今季2位に躍進したチームの成長を象徴する試合だった。

(フジテレビ・加藤忍)