老朽化したマンションを直すために行われる大規模修繕工事。
この工事をめぐり複数の会社が談合していたことが先週、明らかになりました。
背景には一体何があるのか、談合を繰り返していた業者に接触すると、見えてきたのは長年、業界にまん延する悪しき習慣でした。
■公正取引委員会が42社を独占禁止法違反と認定
先週、公正取引委員会は設計コンサルタント会社や施工業者の合わせて42社に対し、マンションの大規模修繕工事で談合を繰り返していたとして、独占禁止法違反を認定しました。
その談合の手口とは…
マンションの管理組合から大規模修繕工事を委託された設計コンサルタント会社が、入札をせず、受注する施工業者をあらかじめ決定。
各社で見積もり価格を事前にすり合わせるなどして、決められた業者が受注できるようにしていたのです。
さらに、設計コンサルタント会社は受注した施工業者から見返りとして5%程度のバックマージンを受け取っていたといいます。
談合が認定された大阪の設計コンサルタント会社は、関西テレビの取材に対して文書で次のように回答しました。
【談合が認定された設計コンサルタント会社】「弊社は排除措置命令を受けましたことについて、厳粛に受け止め深く反省をしております。再発防止に全社として取り組み、コンプライアンスを徹底する所存です」
■「管理組合と話に行くだけ。ボロいですよね」過去に談合に加担していた施工業者
過去に談合に加担していた施工業者の男性は、当時の実態を明かしました。
【過去に談合をしていた施工業者】「ずっと昔から(談合は)あったんでね。もう当たり前のこと当たり前のようになってましたね。とりあえず管理組合と話をしに行くだけなんで“ボロい”ですよね。慣れたもんで、もうシステムみたいなのができ上がってるんでね」
価格の水増しについても、罪悪感はほとんどなかったと話します。
【過去に談合をしていた施工業者】「当然です。適正価格が1億円としたら1億4500万円という形になりますね」
罪悪感はないのかという問いに対し、男性はこう答えました。
【過去に談合をしていた施工業者】「それが普通なんですよ。常識というか、それでないと仕事はもらえない。
みんなやめられないんじゃないんですか。営業マンも設計事務所から年間5~8億円絶対もらえるとなれば、自分の地位が安泰なんですよ」
男性は会社の指示のもとで談合に加わり、裏金をコンサルタント会社に持参したこともあったそうですが、現在は、談合をしない会社で仕事をしているといいます。
当時を「これはもう犯罪やな」と感じながらも、「会社を辞めない限りは続けざるを得なかった」と振り返ります。
■「キックバックで稼いでこい」元コンサルタントが証言
また、悪質な設計コンサルタント会社で働いていた別の男性も、当時の内情を明かしました。
【元設計コンサルタントの男性】「『キックバックで稼いでこい』って言われて。業界の中はキックバックが当たり前だった」
男性が当時勤務していた会社の資料には、業者ごとにキックバックの割合が記されていました。さらに目標設定シートにはキックバックのノルマまで設けられていて、不正は会社ぐるみの構造になっていました。
【元設計コンサルタントの男性】「もうかるというか、それでもうけるのが、たまらなく楽しいと思っている人が一定数いる。会社に裏金を持ち込んだら、ほめられる」
住民の立場からすれば、こうした不正を見抜く術はほとんどないと男性は指摘します。
【元設計コンサルタントの男性】「住民がコンサルに頼らないで自立してできるかといったら、どこに頼んでいいのか、全く手も足も出ないのが現実。おまかせしたら大体カモられる。ちょっとは勉強しなきゃ、思うがままに誘導されるに決まってる」
■「氷山の一角」業界全体への危惧
マンション修繕を手がけるツヅラノフロンティアの黒葛野勇斗社長は、今回の問題を「氷山の一角」とし、業界全体への影響を危惧しています。
【ツヅラノフロンティア 黒葛野勇斗社長】「日本は地震もあって災害大国なので、修繕に関してはトップクラスなんですよ。談合することによって、技術の向上をしなくてよくなる。それが僕は一番怖い。真っ当な競争社会に戻っていただきたい」
「マンションの大きさや状態はそれぞれ異なるため、同じ見積もりがない。居住者からすると何が適正価格なのかが分からない」という特性があると説明します。
■住民自ら動く 神戸・ポートアイランドのマンション
一方で、設計コンサルタントや管理会社に頼らず、住民側が主体的に行動している管理組合もあります。
築30年以上になる神戸市ポートアイランドのマンションでは、管理組合の高柳章二さんがマンション管理士の資格を活かし、設計コンサルタントや管理会社に頼らず、組合自ら修繕工事の見積もりを取って業者を選定しています。
【ポートアイランド住宅管理組合 高柳章二さん】「管理組合が素人だと、どこまでもつけ込まれるというのが常態化している。管理組合がいかに主体的に仕事をするか」
高柳さんはマンションの外壁などを定期的に点検し、劣化箇所を早期に把握したうえで修繕計画を立てています。
【ポートアイランド住宅管理組合 高柳章二さん】「劣化で修繕せざるを得ない。そのために修繕積立金は、ある程度余裕を持って、あるようにしておかないと」
■設計コンサルタントへの規制強化を求める声
マンション管理士の土屋輝之さんは、「分譲マンションだけでなく賃貸や戸建ての修繕についても注意が必要」と指摘し、「客観的な第三者の検証など、住民が自分たちの資産・財産を維持・管理する意識を持つことが重要だ」と述べています。
一方、住民側の専門知識の乏しさを踏まえると、設計コンサルタントへの規制強化こそが根本的な解決策だという意見もあります。
マンションは人生で最も高い買い物のひとつ。今回の問題をきっかけに、修繕積立金の使い方に目を向ける必要がありそうです。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月5日放送)
