日本は活路を見いだせるのか
中国のこうした「流儀」に日本はどう対抗すればいいのか。言うまでもなく、アメリカとの関係は最優先だろう。米中会談の前にセットされた日米首脳会談は「国連総会の時期に35分も時間を取れるとは異例だ」(外交筋)とその調整を評価する声が聞かれる。
一方で中国問題だけでなく経済やAI、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長らへの制裁など議題も多く、全てをこなすのは困難だっただろう。多岐に渡る議題の中でトランプ氏が興味を持つテーマをうまく活用し、日本が描くシナリオに理解を得ていく必要がある。
会談後の片山財務大臣、それに続く高市総理の発言を見れば、トランプ氏の強い関心のひとつが円安であったことは間違いないだろう。中国との競争が激化するAIへのこだわりも今後続くと見た方が良さそうだ。
また「ルビオ国務長官は台湾問題を含む政策を熟知していて、茂木外務大臣が彼と直接話せることが大きい」(同)という声も聞かれた。各方面からトランプ氏に日本の立場を差し込むことが成果に繋がるのだろう。
中国に対しては「対話のドアを常に開けておくべき」(外務省筋)だとの声は根強い。ただ、最近の国会議員らの訪中は全てが中国側に準備された予定調和の舞台であり、「中国側の主張を浸透させる、分断工作のひとつ」(関係筋)との見方がある。「民間でも党でも政府でも、実のある話ができる、上に繋がるルートを見つけることが大事だ」(日中外交筋)というのが実情だろう。
仮に首脳会談を模索する場合でも「中国側に譲歩するものは何もない」「首脳会談にかけるコストが高すぎる」「ほうっておいてもいずれ日中が近づく時期は来る」(同)という様々な事情、本音もうかがえる。対話の意思を持ちつつ、相手につけ込まれる隙を見せない、細心の注意が必要なのかもしれない。
先日、中国の建国記念日(国慶節)を前にしたパーティーが都内であり、何人かの中国外交官と話す機会があった。みな穏やかで社交的、日本語も堪能で雑談も盛り上がる。
ただ、日中関係の話題になると先方は中国の立場に終始して話が進まないのが常だ。公と私を分けにくい立場にあることは理解するが、「個」や「私」が一切出ない相手と交渉する日本の外交官は骨が折れるだろうし、同情を禁じ得ない。
北京にいる大使館員からも先日「普通に会話が出来る関係に戻したい」という話があった。普通の会話すらままならない現状が、容易には動かない今の日中関係を象徴しているように思えた。

