目立つすれ違いと時間軸
だから米中首脳も、北京で行われた5月の会談の時からすれ違いが見えていた。アメリカの農産品の購入や中国によるレアアースの輸出規制緩和など現実的、即物的な対応を求めるアメリカに対し、中国はアメリカとの関係構築、位置づけを重視していたとみられるからだ。
今回の習主席の訪米も含め、中国にとってはアメリカとの対等で安定した関係を内外に示すことそのものが成果であり、少なくとも習主席にとっては個別の政策課題ではなく、トランプ氏との関係をどう見せるかが最も重要だったはずだ。
実際にトランプ氏は習主席を空港で直接出迎え、厚遇ぶりや良好な関係を繰り返しアピールした。「対等な関係を世界に発信できただけで中国にとっては十分成功だ」(外交筋)との声が聞かれる。
もうひとつは双方が見据える時間軸の違いである。
11月の中間選挙や大統領任期という数カ月、数年の期間で中国と対峙するトランプ政権に対し、選挙が事実上行われず、長期の視点でじっくりと対米関係を考えられるのが習近平政権だ。「中国は時間を味方にしている」(中国関係筋)というように、中国が台湾統一を焦る必要はない。
安全保障の議論などでは「意思と能力」という言葉がよく使われるが、台湾に当てはめれば中国は(統一の)意思を示し、能力を培い、環境を整え、時期を見定め、誰も抗えない中での“平和的統一”(同)を実現させる狙いだと言われている。

さらに中国にとってこの時間はアメリカを超えるために力を蓄える期間とも言われている。経済不安や貧富の格差、統制の強化など、中国国内の不安も指摘されるが、政治が全てに優先される今の中国では「強い中国」が善である。
「習主席は現状に問題があるとは思っていないのでは」(外務省筋)という見方もたびたび聞かれる。

