凄まじいスピードで進化する人工知能『AI』。いま就職の現場でも活用される動きも出ている。その最前線を取材した。
相次ぐ職場との“ミスマッチ”
転職を希望した人の数が、国の調査(2025年)で1000万人を超える現代。その人数は10年前と比較して200万人も増加している。

流動化が進む労働市場だが、いま最新技術を駆使した採用法が注目されている。人間の面接官による直感や印象ではなく、客観的な分析を元に採用に繋げようという取り組み。人工知能を持ったAI面接官の導入だ。

9月12日、北九州市で開かれた就職説明会。転職などを検討している約200人が参加し、企業の説明に聞き入っていた。

この席で、参加者の多くが語ったのは職場とのミスマッチだ。
「いまの会社は、聞いていたと話と乖離というか、ギャップというか…。未経験で入って営業のやり方とか、そういう指導もなく、1人で飛び込んで失敗すれば怒られて」(30代・男性)

「事務処理の速度が遅くて、会社から雇い止めになりまして。私もあんまりパソコンを速く打てないと言っていたんですけど、そのときは『全然大丈夫です。あなたのスピードなら大丈夫です』と言われてたんですが、全然、思っていたのと違った」(30代・女性)

企業側にとっては社員の定着が課題となるなか、ミスマッチを防ごうと新たに導入したのが、対話型AI面接官『MIRAI』。

住宅メーカー悠悠ホームの関連会社『AINO』が、事業の多角化の一環で開発したサービスだ。AIが対話を通じて就職希望者の適性や隠れた才能を導き出す。

要領を得ない回答には厳しいツッコミ
その実力を調べるため今回、住宅メーカーの営業マンに転職するという設定で転職経験のある記者が採用面接を受けてみた…。

▼AI面接官・MIRAI 「明日からこれまで経験のないお仕事のチーム、例えば新しい部署やアルバイト先になどに入ることになったとしたら、最初の1週間はどのように過ごされますか」

▼記者 「まず人間関係を構築する必要があるので、仕事が終わった後に上司や同僚と一緒に飲み会に行って…」
面接は一問一答形式で進む。

質問テーマは『現在の職場に導入したいツール』

▼AI面接官・MIRAI 「そのツールが、一番、何に役立つものなのかを整理したいのですが、どのような方のどのような場面で役立つのかを含めて、一文で表現して頂けますか」

▼記者 「ちょっと考える時間を下さい」

▼AI面接官・MIRAI 「もちろんです。ゆっくり考えて下さい」
しばらく考えた記者が―。
▼記者 「AIを使って、原稿に誤りがないかどうか、事実関係のファクトチェックをしてもらうと同時に、原稿の助詞に間違いがないかを調べてもらったり…」
と早口で答える。すると―。

▼AI面接官・MIRAI 「二文以上に聞こえました。一文にまとめ直して頂けますか」

要領を得ない回答には、厳しいツッコミを入れてくるAI面接官。

面接は40分ほどで終わり、僅か15分ほどでAIの分析結果が出る。

AI面接を受けた記者の判定は…
『AINO』の北島靖隆CEOは「このAI面接で見ているのは、職種や会社が変わっても通用するようなビジネススキルと言うか、いわゆる地頭や行動特性をAIは見ている」と解説する。

レポートでは、受験者の能力を推進基礎力やストレス耐性といった9種類に分けて可視化。受験者が社内で活躍できるかどうかの見極めをAIに任せ、人事担当者は“自社の魅力のPR”に専念できるという。

『AINO』は今後、AI面接官などを普及させることで「採用のミスマッチをなくし、社会全体の生産性を向上させたい」としている。

▼記者 「私の今回の面接は合格なんでしょうか?不合格なんでしょうか?」

▼北島CEO 「結論からいうと今回は不合格です」

一方でAIには、懸念も出ている。アメリカのIT大手『アンソロピック』のCEOが「AI開発を遅らせなければならない」と警鐘をならした。その理由として「AIの進化が劇的に加速し、人間の理解や制御する能力を上回るおそれがあるため」と言及している。

AI面接官。しかし最後に採用の判断をするのはあくまで生身の人間。「ヒトの考えや意思を組み合わせながらAIと向き合うことが重要だ」と“不採用”となった記者は感じたという。
(テレビ西日本)

