向いていない場所に居続けないための3つの判断軸
サンクコストから自由になるには、判断のものさしを変えるとうまくいきます。
「これまでにいくら使ったか」ではなく、「ここから先、一定の時間あたりに、自分の手応えが伸びているか」を基準にするのです。
かけたお金が10万円でも100万円でも、それは判断には入れません。判断の材料を、次の3つだけにしぼります。
・この1か月で自分の中にどんな変化が起きたか。
・どんなフィードバックを受け取ったか。
・その分野の中で前より動きやすくなったか。
「早すぎる撤退」を防ぐ3つの問い
アークスとブルーマーが示した17%対85%の差は、人の判断がどれほどサンクコストに乗っ取られやすいかを容赦なく教えてくれます。
それと同時にこの数字は、サンクコストを判断から外せる人だけが、才能を見つける上での「続けるか、やめるか」をちゃんと自分で決められるということも示しています。
「向いていない」「向いている」を決めるのは、これまでの投資ではなく、これから先の動きやすさなのだと、心にとめておいてください。
実際に使える小さな問いが3つあります。
1つ目は、「これまでの投資額がゼロだったとしたら、今この瞬間に同じ選択をするだろうか」。サンクコストをいったん頭から外して、まっさらな新規投資の目で同じ判断ができるか、ためしてみる問いです。
2つ目は、「この1か月で、自分の中でこの分野の動きやすさは増えたか、減ったか、それとも横ばいか」。過去の積み上げではなく、いま現在の傾きを材料にする問いです。
3つ目は、「この分野で過ごす時間は、自分にどんな副産物を残しているか」。たとえ本業として成り立っていなくても、副産物として別の才能が育っているなら、やめるかどうかの判断には、別の見方が必要になります。
この3つの問いを通してみると、「向いていない」という判定は、かなり変わってきます。サンクコストから自由になることは、過去を否定することではありません。
過去の投資を「取り返せない損失」から「未来の判断材料」や「経験値の蓄積」へと格上げすることなのです。本物の才能の発見は、過去の重みから判断を解き放てた人にだけやってきます。
堀田秀吾
明治大学法学部教授。言語学者(法言語学、心理言語学)。著書に『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード…科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)など多数。

