でも同時に、「才能の意味を取り違えたまま放っておくと、本物の素質が埋もれていく」という、構造そのものへの警告でもあるのです。
だからどうか、自分の中にある「ほんの少し動きやすい場所」を「才能じゃない」と否定しないでください。その、無理なくスッと動ける感じこそが、才能の最初のサインなのです。
レズリーらの分析をさらに読み込むと、もう1つ大事な発見が見つかります。
「成功には生まれつきの才能が必要」と信じる強さと、各分野の女性博士号比率が逆向きに動く関係は、その分野の研究者の労働時間の長さでも、入り口の選抜の厳しさでも、その分野が「体系的・抽象的に考える力」をどれだけ重視するかでも説明がつかなかったのです。
つまり、女性が離れていく理由は、長時間働かなければいけないからでも、選抜が厳しいからでも、論理的に考える力に男女差があるからでもありませんでした。残ったのは、その分野に流れている「才能観の文化」そのものでした。
統計の上で、女性比率の低さと最も強く結びついていたのは、これだったのです。
堀田秀吾
明治大学法学部教授。言語学者(法言語学、心理言語学)。著書に『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード…科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)など多数。

