福井県内各地に深刻な被害をもたらした記録的大雨。大野市では、地区のシンボルである山が崩れ、周辺の田んぼが泥にのまれるなどの被害で、住民が大きなショックを受けています。
大野市大矢戸地区にある標高572メートルの天子山。今回の大雨により山の中腹がえぐられるように崩れました。
周辺の道路に土砂が流出し、斜面からは1週間がたっても水が流れ出しています。麓に広がっていた田んぼにも大量の泥が流れ込み、収穫間近の稲を飲み込みました。
8月30日早朝、地域を見回っていた住民の齊藤政治さんが、山が崩落していることに気付きました。
「(地区内で)水があまりにもひどいので、山の方もひどいだろうと見に来たらあの状態。もう大変なことだと。(雨が)ひどかったのだろう」
山の真下にある田んぼだけでも約5000平方メートルの被害を受け、そのほかにも地区内のあちらこちらで水田ののり面が崩壊しました。
同じく住民の高尾一郎さんも「もうげっそり。本当にどうなるのか。これからもきっと、田んぼは作れんと思う」と肩を落とします。
天子山は大矢戸地区のシンボルともいえる山で、山頂近くには「行人岩」という古くから修行の場として伝わる岩があり、多くの人が登山を楽しむ場所でした。
登山客の癒やしの場として利用されてきた休憩所が、大量の土砂で20メートルほど押し流されて壊れました。
高尾一郎さんも「あれは私たち先輩の有志が建てた建物だった。いままでの姿がないんや。一変してしまっている」と話します。
地域の誇りでもある山が崩れ、親しんできた景色が大きく変わってしまった大矢戸地区。行政の支援を受けながら、住民ら総出で土砂の撤去に当たっています。
大矢戸地区の田んぼは、全戸が協力して農業法人として運営しています。今回の大雨では農業被害だけでなく、地域の宝も大きな被害を受けました。
美しい田園風景、そして古くから伝わる行人岩に続く山道が一日も早く元の姿に戻ることを住民たちは願っています。
