9月入りましたが、残暑が続いています。被災地で連日続けられている大雨の復旧作業も暑さとの戦いでもあります。
生死を分けることにもつながる熱中症予防。その大切さについて、福井県内のサッカーチームが地元の大学と進めている取り組みから考えます。
北信越フットボールリーグ1部に所属する福井ユナイテッドFC。この日の練習では午前中から気温が30度を超え、選手たちは大粒の汗を浮かべています。
チームを率いる柴田峡監督は、選手の熱中症対策が最優先課題と考えています。
「この暑熱環境下で運動させようと思うと、本当に生命の危機。クラブの責任なので、万全の体制を整えて対策しなければならない。それは常に意識している」
選手の命とプレーのパフォーマンスを守る要が、練習前に補給するシャーベット状の飲み物=「アイススラリー」です。
暑い場所に出る前に細かい氷を口から摂取し、事前に体を内側から冷やす熱中症対策「プレクーリング」を取り入れています。
この取り組みは、10年以上にわたりチームの栄養サポートを担う仁愛大学の鳴瀬碧教授の発案です。(瀬のつくり右側は刀に貝)
「スポーツドリンクで水分補給をするよりも、体の状態が悪化しないアイススラリーを推奨している。東京オリンピックのサッカー日本代表が試合や練習の前に体重1キロ当たり、3グラム摂取していた。今年は2パックを提供して、選手の練習中の体力消耗がどう変わるかを研究したいと考えている」
現在は試験的な導入ですが、今後は疲労の軽減が「睡眠の質」にどのような影響を与えるかについて検証する予定です。
仁愛大学4年の大島光結さんは「将来、管理栄養士になって、スポーツ栄養士の資格も取りたいと思っているので、この経験を活かしてスポーツ選手に栄養面でサポートできる栄養士になりたいと思っている」と話します。
こうしたサポートは“現場の意識”も変えています。福井ユナイテッドFCの廣岡睦樹選手は「冷たいものを練習前に体に入れことはやっていなかったので、とても助かっている。体温が下がっていると実感するし、練習に入る前は体が楽な感覚がある。プレーの向上につなげるためにも継続していきたい」と話します。
トレーナーの岡本嵩啓さんも「プレクーリングを行うことがスポーツ現場で基準となり、小中学生の年代にも意識が広がるとありがたい」と話します。
アスリートの命とプレーパフォーマンスを守る、熱中症対策=プレクーリング。厳しい残暑を乗り切るためのヒントになるかもしれません。
