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「助けて」という声が、聞こえないかもしれない。二つの震災を経験した私が、命を守るIDネックレスを生み出すまで
商品開発のSTORY by PR TIMES

「助けて」という声が、聞こえないかもしれない。二つの震災を経験した私が、命を守るIDネックレスを生み出すまで

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データ提供 PR TIMES
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「もし、あの時、助けを呼ぶことができていたら」

阪神・淡路大震災で感じた無力感と、東日本大震災で目にした現実が、私のものづくりの原点になりました。命を守るための備えとして"LifePendant SONA-e"を開発するまでの経緯と、多くの方々との出会いを経て、その想いを形にするまでの歩みをお話しします。

「助けて」という声は、きっと届かない

1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生しました。震災が起きたその朝、私は大阪で買えるだけの水とおにぎりをバッグに詰め、オートバイで神戸へ向かいました。神戸にいるお客様と、弊社の社員に届けるためです。神戸へ向かう道中で目にした光景は、今でも忘れることができません。道路は大きく隆起し、高速道路は倒壊していました。高速道路から今にも落ちそうになっている車や、全壊した建物も間近で目にしました。街の姿が一変していました。


その光景を見ながら、私は強く感じました。「もし、この近くで誰かが『助けて!』と叫んでいたとしても、ヘリコプターの音や周囲のさまざまな雑音にかき消され、その声はきっと届かないだろう」この時に感じたことが、後にLifePendant SONA-eを開発する原点になりました。


東日本大震災が、思いを確信へと変えた

それから16年後、東日本大震災が発生しました。報道を通して、地震と津波による惨状を目にしました。各地で多くの方が行方不明になり、遺体が発見されても身元を特定できないという報道が続いていました。阪神・淡路大震災の現場で私が感じたことと、東日本大震災の報道を通して目にした現実。


二つの震災が、私の中で一つの問いにつながりました。

「自分のものづくりの経験を生かして、何か人の役に立つものを作れないだろうか」

考え続けた末に、私は二つの機能が必要だと考えました。一つは、助けを呼ぶための機能です。電池を使うものは、電池が切れる可能性があります。機械は、衝撃や水によって壊れるかもしれません。それでは、本当に過酷な状況で使えるとは限りません。



では、生きていて、呼吸さえできれば音を出せるものは何か。たどり着いた答えが、金属製の笛でした。しかも、単に音が鳴ればよいわけではありません。災害現場のように周囲に大きな雑音がある状況でも、誰かの耳に届く必要があります。そこで私は、3つの異なる高さの音を同時に鳴らす構造を考えました。複数の高さの音が同時に出れば、そのうちのどれか一つでも人の耳に届く可能性が高まると考えたからです。



もう一つ必要だと考えたのは、身元を証明する機能です。災害や事故では、荷物が自分の手元から離れてしまう可能性があります。財布やスマートフォンを失うこともあるでしょう。「何があっても、自分自身から離れにくいものは何だろう」そう考えた時に思い浮かんだのが、軍隊で使用されているドッグタグ、つまりIDネックレスでした。軍人が、どのような状況でも最後まで身に着けているものです。


助けを呼ぶための笛と、身元を伝えるためのIDネックレス。この二つの機能を一つにしたものを作ろう。それが、LifePendant SONA-eの出発点でした。


最初に完成したシルバー製LifePendant SONA-e

株式会社天正堂は、1933年の創業以来、長年にわたって貴金属製品の製造に携わってきました。そのため、最初は私たちが扱い慣れていたシルバーを使って開発を始めました。


試作を重ね、3つの高さの音が出る笛と、個人情報を刻印できるドッグタグを一つにした、シルバー製のLifePendant SONA-eが完成しました。

製品として販売を始め、一定数のお客様に購入していただくこともできました。しかし、販売する中で、いくつかの問題が見えてきました。



シルバー製のLifePendant SONA-eは、二つのパーツをロー付けという方法で接合していました。内部には3つの高さの音を出すための隔壁があり、複雑な構造になっています。そのため、二つの部品を正確に接合するロー付けの作業は非常に難しいものでした。


また、シルバーに対して金属アレルギーを持つ方もいらっしゃいます。私は考えました。「もっと丈夫で、長く身に着けられ、より多くの人が安心して使えるものにしたい」そこで、次の素材として選んだのがチタンでした。チタンは丈夫で錆びにくく、金属アレルギーも起こりにくいとされている素材です。命を守るために、常に身に着けてもらう製品には適した素材だと考えました。ところが、ここから本当の苦労が始まりました。


「チタンでは、その構造は作れない」

チタンは、弊社が専門的に扱ってきた素材ではありません。そこで、チタン加工ができる工場を探し始めました。多くの工場に相談しましたが、シルバー製と同じ方法では作れないことが分かりました。


私たちが考えたLifePendant SONA-eは、内部に複数の音を出すための隔壁を持つ、非常に複雑な構造です。しかも、接合部分のない一体構造で作りたいと考えていました。

相談した工場から返ってくる答えは、厳しいものばかりでした。「チタンでは、その構造は作れません」何社に相談しても、なかなか実現の可能性が見つかりません。

正直に言えば、私自身も諦めかけていました。


チタンに詳しい博士との出会い

そんな時、ある工場の方が、チタンに詳しい博士を紹介してくださいました。その博士にLifePendant SONA-eの構造と、私が実現したいことを説明しました。


博士は、私の話を聞いたうえで、こう提案してくださいました。「チタンの粉末積層造形であれば、作れるかもしれません」

粉末積層造形とは、金属の粉末を一層ずつ積み重ね、立体的な形を作っていく製造方法です。従来の加工方法では難しい複雑な内部構造も、一体で造形できる可能性があります。


博士から、チタンの粉末積層造形ができる工場を紹介していただき、開発を再開しました。その工場には非常に技術力の高いエンジニアがおり、ついにチタン製LifePendant SONA-eを形にすることができました。しかし、形ができたからといって、それで完成ではありませんでした。



次に立ちはだかったのが、表面の研磨という問題でした。

粉末積層造形で作られた製品の表面は、そのままでは身に着ける製品として十分な仕上がりではありません。首から下げ、肌に触れるものですから、滑らかに美しく仕上げる必要があります。


ところが、この複雑な形状のチタン製品を研磨できる工場が、なかなか見つかりませんでした。何カ月もかけて研磨を引き受けてもらえる工場を探し、ようやく製品として完成させることができました。


手探りで挑戦したクラウドファンディング

チタン製LifePendant SONA-eが初めて完成した時、私はクラウドファンディングに挑戦することを決めました。LifePendant SONA-eを紹介した方から、以前にクラウドファンディングという仕組みがあることを教えていただいていたからです。


ただ、当時はクラウドファンディング自体が、まだ今ほど一般的に知られていませんでした。私自身も初めての経験で、何をどのように進めればよいのか、まったく分からない状態でした。まずはクラウドファンディングを運営する会社に連絡を取り、大阪事務所を訪問しました。その大阪事務所は開設されたばかりで、当時対応してくださったのは、大学卒業を目前にした一人のスタッフの方でした。ちなみに、その方は現在も同社で活躍され、事業部長兼執行役員を務めていらっしゃいます。


クラウドファンディングのページをどのように作ればよいのか。どのような写真が必要なのか。動画はどのように撮影すればよいのか。分からないことが多く、運営会社に何度も問い合わせました。商品の写真や動画を撮影し、クラウドファンディングのページへの掲載まで支援してくださる方を探すことにも苦労しました。



さらに、プロジェクトを公開した後も簡単ではありませんでした。当時はクラウドファンディングそのものが広く知られていなかったため、サイトに掲載しただけでは、多くの人に見てもらえません。LifePendant SONA-eの存在を知ってもらい、プロジェクトを応援していただくために、私たち自身で周囲へ知らせ、宣伝していく必要がありました。


手探りの挑戦でしたが、多くの方に応援していただき、クラウドファンディングを成功させることができました。「これでようやく、LifePendant SONA-eを多くの人に届けられる」私はそう思っていました。しかし、その矢先に、再び大きな問題が起こりました。


完成したと思った矢先、再び振り出しへ

粉末積層造形後の研磨には、想定以上のコストがかかりました。さらに、製造を支えてくれていた工場のエンジニアが退職することになりました。


LifePendant SONA-eの複雑な構造を理解し、実際に造形を実現してくれた技術者がいなくなったことで、安定して製造を続けることが難しくなりました。クラウドファンディングに成功し、これから製品を広めていこうと思った時に、計画が再び振り出しに戻ってしまったのです。


私は、以前紹介していただいた博士にもう一度相談しました。博士は、新たな工場を紹介してくださり、私と一緒にその工場を訪問してくださいました。現在、LifePendant SONA-eを製造している工場です。


そこで見積もりをしていただきましたが、当初提示された金額では、製品として販売できるコストに収まりませんでした。ほかの工場にも相談しましたが、解決方法はなかなか見つかりません。時間だけが過ぎていきました。

一年以上経って届いた、思いがけない連絡

それから一年以上が経過した頃、突然、現在の製造工場の研究員の方から連絡がありました。「コストを下げる方法が見つかりました」その知らせを聞いた時、私は胸が熱くなりました。最初の見積もりから一年以上が経っていました。私は、その間に研究員の方がLifePendant SONA-eのことを忘れず、どうすればコストを抑えて造形できるのかを考え続けてくださっていたのだと知りました。製品を作る方法が見つかったことはもちろんですが、一年以上も諦めずに考えてくださっていたことに、何より感動しました。


さらに、以前から問題となっていた研磨についても、その研究員の方が知っている工場を紹介してくださいました。造形と研磨、二つの大きな問題が解決し、私が理想としていたチタン製・一体構造のLifePendant SONA-eが、ようやく完成しました。


この製品は、私たちだけの力で完成したものではありません。チタンに詳しい博士、粉末積層造形のエンジニア、コストを下げる方法を一年以上考え続けてくださった研究員、そして研磨を引き受けてくださった工場。多くの方の技術と協力、そして諦めない思いがつながって、現在のLifePendant SONA-eが生まれました。

「売りたい」のではなく、「備えてほしい」

現在、LifePendant SONA-eは、サーフショップをはじめ、サーフィンを楽しむ方、登山愛好家、ロードバイクを楽しむ方など、安全への意識が高い方々に少しずつ広がっています。海や山、自転車での移動中など、万が一の時にすぐ助けを呼ぶことが難しい場所では、自分の存在を伝えるための備えが必要です。


しかし、LifePendant SONA-eを届けたい相手は、アウトドアを楽しむ方だけではありません。子どもにも、高齢者にも、災害への備えを考えている方にも持っていただきたいと考えています。


私が目指しているのは、会社の知名度を上げることや、単に販売数を増やすことではありません。一人でも多くの方に、この製品を身に着けていただきたい。そして、万が一の時に、一人でも多くの方に生きて帰ってきてほしい。それが、私の願いです。

命を守る備えを、世界中の人へ

災害や事故は、いつ起こるか分かりません。海に行く人。山へ登る人。ロードバイクを楽しむ人。子どもや高齢者。そして、地震や災害の多い国で暮らすすべての人。


LifePendant SONA-eは、単なるアクセサリーではありません。もしもの時に、自分の存在を知らせ、助けを呼び、自分が誰であるかを伝えるための備えです。今後は、より多くの方に使っていただけるよう、ECでの販売にも取り組んでいきたいと考えています。


1933年の創業以来、私たち天正堂が培ってきたものづくりの経験を、できるだけ多くの方の命を守るために生かしたい。老若男女を問わず、日本だけでなく、世界中の人にLifePendant SONA-eを届けたい。一人でも多くの方が、大切なご家族のもとへ生きて帰るための備えとして、この製品を身に着けてくださることを願っています。




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