血液中の免疫細胞・リンパ球が悪性の腫瘍となる悪性リンパ腫は、一般的な「がん」とは異なり、最も進行したステージ4でも治癒や長期生存が見込めます。その症状や最新の治療法を医師に聞きました。
最近では毎年、県内で220人ほどの患者が出ているとされる悪性リンパ腫。福井県済生会病院の中山俊医師は「血液の中のリンパ球から発生した悪性の腫瘍」と説明します。
リンパ球は白血球の一種で、病原体を攻撃するなど体を守る免疫として重要な役割を果たします。そのリンパ球がなぜ悪性腫瘍となるのでしょうか。
中山医師は「多くのがんと同様にその原因は特定されておらず、高齢者に多い傾向にある」と話します。
リンパ球は病原体を排除するために体中の血管やリンパ管から様々な臓器に出入りしています。このため、悪性リンパ腫はリンパ管をつなぐリンパ節だけでなく、臓器で発生することもあります。
初期症状については「リンパ節から腫瘍が発生した場合、首、わきの下、股関節などにしこりができることがあるが、臓器などの体の中から腫瘍が発生した場合は、初期症状はみられない」と言います。
しかし、症状が進行すると―
「発熱、だるさ、寝汗、さらには臓器の症状が出現することが多い」(中山医師)
例えば、胃で腫瘍ができた場合は胃の痛みなどの症状が現れます。
治療はステージに関わらず手術は行わず、薬剤治療が中心となります。
悪性リンパ腫は一般的ながんとは異なり、早い段階から血管やリンパ管を通して転移しやすいのが特徴です。そのため、腫瘍を取り除くだけでは再発しやすく、基本的に手術は行いません。
「悪性リンパ腫は、たとえ最も進行したステージ4でも治癒や長期生存を見込んで治療する」といい、悪性腫瘍の中でも薬の開発が最も進んでいます。
その一つが、分子標的薬です。腫瘍だけでなく正常な細胞も攻撃してしまう抗がん剤と異なり、腫瘍細胞がもつ特徴を見分け、正常な細胞が標的になりにくいのが特徴です。
このほか、正常なリンパ球を活性化させて腫瘍細胞を攻撃させる免疫療法もあります。
こうした治療法で体中に広がった腫瘍が消え、再発しなかったケースも非常に多くみられます。
治療薬の進歩に伴い、悪性リンパ腫は現在、種類によってはステージ3や4でも10年後生存率が80%を超えるとされていて治癒や長期生存も大いに期待できます。
では、気になる症状が出たらどうすればいいのでしょうか。
「悪性リンパ腫に特徴的な症状はないので、症状に応じた診療科をまず受診し、相談してほしい」と中山医師。
しこりがあれば皮膚科、発熱があれば内科など、症状に応じた科を受診し、早めの原因の特定に努めましょう。
