2026年7月21日、フランスで、15歳未満のSNS利用を禁止する法律が可決されるなど、世界的に子供のスマートフォン・SNS利用を規制する動きが加速している。
専門家によると、スマートフォンの使いすぎによって、成長期の脳の約3分の1が3年間ほとんど発達しない可能性があるという。
子供のスマートフォン使用と悪影響

街で子供たちにスマートフォンの使用時間を尋ねると、確実に子供たちの日常生活に入り込んでいるその実態が見えてくる。
「休みの日は6時間以上使っています。TikTokを見たり友だちと連絡を取ったり」(小学5年生)
「1日10時間以上は使っているかもしれない。無いと生きていけない」(高校3年生)
東北大学応用認知神経科学センターの榊浩平助教は、スマートフォンの使いすぎが子供の脳の発達を深刻に阻害すると指摘する。
東北大学応用認知神経科学センター 榊浩平助教:
脳の前頭前野は思考の中枢であり、何かを考えたり理解したり覚えたり、勉強で使うような働きがスマホの使いすぎで育たない。

脳の前頭前野は、学習機能だけでなく、感情のコントロールや相手の気持ちを推し量る力など、人が社会で生きていく上で欠かせない機能を担う部位だ。研究によると、3年間毎日スマートフォンなどのインターネット機器を使い続けた子供では、脳のおよそ3分の1に及ぶ領域が3年間ほとんど発達していなかったという結果も得られている。
東北大学応用認知神経科学センター 榊浩平助教:
脳は使えば育つし、使わないと育たないというシンプルな性質。デジタル機器を目的なくぼーっと見ている状態は、前頭前野は働いていない。
使用時間が長いほど成績は下がる傾向

東北大学加齢医学研究所が仙台市内の小中学校を対象に行った調査では、スマホの使用時間と学力の関係が明確に示されている。使用時間が長いほどテストの成績が低くなる傾向があり、「1時間以上の使用」が学力に悪影響を与えることが見て取れる。
興味深いのは、スマホを全く使わない子供よりも「1時間未満」使用する子供の方が成績が高い点だ。これは、自律的に使用時間をコントロールできる子供たちが含まれているためと考えられる。

ただし、たとえ使用時間が1時間未満であっても、「ながらスマホ」は学力に悪影響を及ぼす。
スマートフォンをいじりながら3時間勉強した子供の成績は、いじらずに30分勉強した子供の成績とほぼ同じだったというデータがある。
脳は原則として一度に1つのことにしか集中できないため、勉強中のスマホ操作は学習効果を著しく低下させてしまう。
親の使い方が子供を変える

では、どうすれば子供のスマホ使用を改善できるのか。榊助教が強調するのは「親のスマホの使い方」が鍵を握るという点だ。
東北大学応用認知神経科学センター 榊浩平助教:
家庭で親がたくさんスマートフォンを使っていれば、子供もたくさん使うという関係が見えてきています。
親のスマホ使用時間が長くなるほど、1日の使用時間が2時間未満の子供の割合が減ることがデータからも示されている。子供のスマホ問題は、子供単独の問題ではなく、家族全体の問題として捉える必要がある。
東北大学応用認知神経科学センター 榊浩平助教:
未就学児の親はまず子供の前でなるべく触らないことを徹底していただきたい。小中学校に上がって使い始めるときは、子供の問題として切り分けるのではなく、使用時間を一緒に制限する『家族のルール』を一緒に守る取り組みが求められます。
今日からできる3つの具体策

榊助教が提案する、すぐに実践できる対策は以下の3つだ。
・アイコンを削除する ホーム画面のアプリを必要最低限に絞り、すぐにアクセスできない状況をつくる
・通知をオフにする 通知を気にしながら勉強すると成績が下がるという研究もある
・目覚まし時計を使う スマホを寝室に持ち込まないようにし、就寝前・起床直後の使用を防ぐ
家族のルールとして、1日の使用時間を一緒に決める、使わない時間帯を設ける、寝室への持ち込みを禁止するといった取り組みも効果的だ。
また、「夜9時以降はメッセージを返さない」といったルールを学校や自治体レベルで大人が責任をもって発信することが、子供を仲間外れなどのいじめから守り、メンタルヘルスを守ることにもつながると榊助教は指摘する。
フランスでの法規制のように世界的な動きは広がっているが、日本での法整備には時間がかかる。だからこそ、まず家庭でできることから始めることが重要だ。スマートフォンとの付き合い方を親子で一緒に考え、毎日少しずつコントロールしていくことが、子供の脳と未来を守る第一歩となる。

