新米のシーズンが始まりましたが、スーパーの店頭では、新米と古米の価格が“逆転”する異例の事態となっています。一体なぜなのでしょうか?
■新米価格が下落…ご飯”食べ放題”も復活
三重県桑名市にある「とんかつ みそ家」。「令和の米騒動」真っただ中の2025年5月、コメ価格高騰の影響で一時、ご飯のおかわりを中止していましたが、今は再開し、一時減った客足も戻ってきました。

店が期待するのが、新米シーズンを迎えたコメの価格です。
愛知県岡崎市にある「お米のオカリョウ」には、1週間ほど前から新米が店頭に並び始めました。

高知県産「よさ恋美人」の新米は去年、1キロ900円から1000円ほどで販売されていましたが、1年で200円ほど値下がりし、21日は1キロ680円で販売されていました。
農水省によりますと、銘柄米5キロ当たりの平均店頭価格は、2025年の年末には4400円ほどでしたが、この日は3220円と、2年前と同じ水準まで下がっています。

お米のオカリョウの佐藤敦さん:
「新米がお求めやすくなった分、価格抜きにしても、いろいろな銘柄を試していただきたい」
■新米が古米より安く…”コメ余り”の余波
スーパーでは、コメの価格に異変が起きていました。
名古屋市緑区にあるスーパー「ウオダイプラス」に運び込まれていたのは、三重県産・あきたこまちの新米です。店頭に積まれた新米の横に並べられるのは、令和7年産の古米です。

ウオダイプラスのコメ担当:
「例年だとかなり価格差があるんですが、今年に限って言えば、古米と新米の価格差はそれほどないスタートとなっています」
銘柄は違いますが、ものによっては古米の方が高い価格で販売されていました。
新米の方が古米よりも安い「価格の逆転現象」。その背景にあるのは、いわゆる「コメ余り」です。
農水省によりますと、6月末時点でのコメの民間在庫量は、過去最大の243万トン。適正水準とされる180万トンから230万トンを大幅に上回っています。
令和の米騒動の「不足」から一転、今度は「過剰」へ。この原因について、農業政策に詳しい専門家は…。
宇都宮大学農学部の松平尚也助教:
「2025年産米の高騰で、国産米の消費が減りました。一方で2025年は増産で生産量が多かった。さらに昨年、政府の備蓄米100万トンのうち59万トンを放出して、市場への供給が増えたことも大きな要因とされています。2026年産も、需要見通しを上回る生産が見込まれていて、在庫過剰が強まっている状況です。この“コメ余り”は来年まで続く見通しになっています」
■「作っても赤字」今後のコメ価格はどうなる?
「令和のコメ騒動」から一転、コメの価格がどんどん安くなっています。
新米と古米の逆転現象も起きているといいますが、一体なぜでしょうか?そのカギとなるのが「概算金」です。
概算金は、JAが農家からコメを買い取る際に農家に支払う「前払い金」のことで、この金額が販売価格に大きく影響します。

この概算金が、コメ余りの影響で大幅に安くなっています。複数の関係者によりますと、愛知県でJAが農家に示した概算金は、2025年がコシヒカリ60キログラムあたり2万8500円でしたが、今年は1万6800円と4割近く安くなっています。

三重県では地域ごとに価格がやや異なりますが、去年は3万円台だったのが、今年は1万7000円~1万8000円台とほぼ半額になっています。このままでは作っても赤字で、農家がコメ作りをやめてしまいます。
JAは農家を支援するため、追加の支払いを検討するとしていますが、宇都宮大学の松平尚也助教によりますと、価格の下落傾向は今後も続きそうだということです。それを防ぐには、政府が備蓄米の買い戻しをする。価格高騰で加速した「コメ離れ」をいかに食い止めるかがカギになると話しています。

