JA福井県が8月19日、今年の新米を初出荷した。集荷時にコメ農家に支払う「内金(概算金)」は去年より1万2000円下がり農家が不安を抱える中、店頭価格は2024年と同水準まで下がった。JA福井県は政府に備蓄米の買戻しを要求し「需給バランスを整えていく」としている。
「1円でも高く」備蓄米の買戻しを政府に要求
8月19日午前8時。福井市にあるJAの低温倉庫では、初出荷に向け、今年収穫された早生のハナエチゼンがトラックに積まれていく。
今年のハナエチゼンは収穫量が例年並みからやや多い見込み。

集荷時にJA福井県が農家に前払いする「内金」は60キロ1万6000円と、去年の2万8000円から1万2000円下がった。
JA福井県中央会の宮田幸一会長は「コメ余りの状況なので仕方がないと思う。全国的にもそのような価格になっている」とする。

背景にあるのは、2025年産米の販売の遅れだ。
JA福井県では、2025年産米の約3分の1が卸売業者に引き渡す前の状態で残っている。多くは販売先が決まっているものの、市場での需要が減少しているため、引き渡しが例年より遅れているのだ。

宮田会長は「農家にとっては不安な面もあるかもしれないが、備蓄米の買戻しを国に要求しながら少しでも需給バランスを整えていく。1円でも高く販売していくのがJAの務め」と力を込める。
JA福井県では、コメの販売状況に応じて農家への支払いをあとから上乗せする「追加精算」も検討している。

関係者らが見守る中、今年のハナエチゼンの新米を載せたトラックが出発していった。
コメ離れ解消なるか…店頭価格は2年前の水準に
ハナエチゼン初出荷の日、福井市のAコープみゆき店を訪ねると、さっそく店頭に並べられていた。
新米のハナエチゼンは5キロ税抜き2980円。去年の新米と比べ1500円ほど安くなった。

「令和の米騒動」と叫ばれ始めた2年前、同店で取材した際の新米のハナエチゼンの価格は10キロで4980円(税抜き)だったが、去年は7880円(税抜き)に一気に上昇。そして今年は去年より2400円下がり5480円(税抜き)と、2年前に近い価格に戻った。
Aコープみゆき店の山上剛店長は「内金が下がったということで、店頭価格も下げさせてもらった。少しでもお客様に手に取ってもえる価格に設定したつもり」と話す。

新米を前に買い物客は「新米5キロでこれくらなら安いねと価格が下がったことを喜ぶ声や「安い!でもちょっとだけ心が痛む…農家の人に対して」と心配する声も聞かれた。
去年は高値のため買い控える動きがあったが、今年は一転の価格が下がりで、店も売れ行きの回復を期待している。
「パンやそばを食べていた方もまたおコメを食べていただけるのでは」(山上店長)

去年より買いやすくなった、今年の新米。価格が下がったことで、買う動きはどこまで戻るのか。この先、販売が進み、農家への支払いをどこまで上乗せできるのか。今年の売れ行きは、来年のコメ作りにもつながることになる。

