8月17日、長野県警察の警務部長に就任した大竹智子氏(45)が着任会見を開いた。前任の警察庁で犯罪被害者への経済的支援や心身の回復を図る施策の策定に携わったことから、「犯罪被害者支援の推進に取り組みたい」などと述べた。被害者支援にあたっては「県や市町村、民間の支援センターとも連携を強めたい」としている。趣味は温泉巡りで、これまで県内の温泉を訪れたことがあるといい、「休日は長野県内の温泉を巡ってみたい」と話した。

置かれている立場で役割を果たす

会見での質疑応答は以下の通り。

ーー長野県警の警務部長就任にあたっての抱負、初の女性部長となることへの意気込みは?

大竹警務部長:
警務部部長ということで着任をさせていただきました。警務部は、組織を支える屋台骨としての面と、部門横断的な業務を担う面と、両面ございまして、いずれも警察署各部門がしっかり仕事をできるようにするためにある、要となる組織でありますので、その部長という重責に身が引き締まる思いでございます。県民の皆さまのためにある警察ということで、運営指針でもございます「日本一安全・安心な信州」の実現を目指して、私も力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

大竹智子警務部長
大竹智子警務部長
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女性初ということでおっしゃっていただきました。この長野の地で責任ある立場をお任せいただいたこと、大変光栄に思っております。けれども、女性初ということにつきましては、これは個人的には、警察組織の部門ですとか役職において、性別を問わないことの一例に過ぎないというふうに思っております。当県警察におきましても、私よりも長く務めていらっしゃる女性職員、たくさんいらっしゃいます。その方たちは、これまでいろんなところで目に見えない女性初ということを経験されながら、それはあくまで勤務を一生懸命やってきた、汗をかいてきた結果、経過として受け止めてこられたと思っておりますし、私もそうした諸先輩方に敬意を払いつつ、今、私の置かれている立場で、しっかり役割を果たしてまいりたいというふうに思っております。

前任では犯罪被害者等施策に携わる

ーー前任地の警察庁長官官房犯罪被害者等政策推進課で携わってきた政策立案は?

大竹警務部長:
前任の部署では、課長補佐として約2年半在籍をしておりました。在任中は、政府における当面取り組むべき犯罪被害者等施策を総合的に取りまとめた第5次犯罪被害者等基本計画の策定事務に主に関わっておりました。犯罪被害者等のための施策の立案には、ご遺族などの被害者の方の声を聞くということが大変重要でございまして、計画の策定におきましても、パブリックコメントですとかヒアリングを通じて、また、ご遺族の方も入っておられる有識者会議などを通じて、被害者の方のニーズを受け取って、そのための施策をどうしていくかということを関係省庁と協議をして検討していくという、地道な作業でございましたが、これが1年半ほどかけて行っておりました。これらの業務を通じて、改めて様々な被害者の方の声を聞き、その置かれている状況ですとか、事件の裁判が終わったとしても、中長期的に生活とか心身に非常に大きな影響が生じるということを垣間見て教えられたことは、今後常に被害者と共にある警察の仕事をしていく上で、大変意義深いものになったというふうに考えております。

着任会見
着任会見

ーー警務部長ご自身がご遺族の方と面会された中で印象に残っているような出来事は?

大竹警務部長:
第5次計画の策定に際しまして、ヒアリングと申し上げましたけれども、これは被害者支援の団体の方ですとか、あとは当事者の方で構成された団体の方からのヒアリングというのがございまして、それには私も課長補佐となると、実際の事務の直接の担当になりますので、直接にお会いをしてお話を聞くということがございました。そこでどこまで深掘りをした話ができるかというところは別にあるとは思うんですけれども、やはり被害者支援の関係を関わっていく上では、やはりご遺族の方の事件の中身を知って、その過程の中でその方がどういうふうに生きてきたのか、生活をしてきたのかっていうことを知っていくことが大変重要でありまして、そういう意味では長野県でもやってらっしゃると思うんですけども、ご遺族の方の講演などを聞くということがとても大きな意味があることでありますし、5次計画のヒアリングに合わせて、そういったご遺族の方の講演会などにもたくさん足を運びましてお話を聞きました。どれが印象に残ったというのはなかなか言いづらい、皆さまいろんな思いを抱えていらっしゃるんですけども、すごく皆さん共通してらっしゃるのは、本当に何十年たっても決して終わることのない思いを抱えていらっしゃるということ、それが生活にも家庭との家族関係にも大変な影響を及ぼしているということですね。そのための施策がどれだけ必要なのかっていうのは、なかなか難しいところではあるんですけども、そういったニーズを1個1個丁寧に組み取ってやっていくということが大切だなということを考えた次第です。

「ギュっとちゃん」とともに

ーーこれまでの経歴の中で、深めてきた分野や力を入れて取り組まれてきたこと、その経験の警務部長の仕事での生かし方は?

大竹警務部長:
1つはやはり被害者、犯罪被害者等支援の関係でございます。被害者の方に最初に接するのが県警察でありますので、その県警察による被害者支援の推進にしっかり取り組んでいくということと、中長期的な支援をも見据えて、県や市町村、そして民間の被害者支援センターとの連携の強化に努めてまいりたいというふうに思っております。また、不幸にも、突如として犯罪被害に遭った方に寄り添う、そうした方々を支える社会の機運というものも、ここに置いてございますが、シンボルマークが「ギュっとちゃん」というキャラクターがございまして、このキャラクターとともに、県民の皆さまにもぜひ広めていきたいというふうに考えております。

「ギュっとちゃん」
「ギュっとちゃん」

このほかで、警察庁での勤務経験の長い分野といいましたら、地域警察関係となります。当県警察でも、全警察官の3割が地域警察部門に所属をしております。地域警察は、地域警察は初動警察活動を担っておりまして採用などにおける警察のイメージですとか、職場における教養とか人材育成の要衝にもなっております。県警における働きやすさの確保ですとか、業務の合理化、装備資機材や職場環境の改善、整備などにおいて、警察の原点である地域警察の視点を踏まえて考えて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

ワーク・ライフ・バランス等の推進を

ーー長野県警内での女性活躍推進の取り組みなどについてのお考えは?

大竹警務部長:
当県警察の女性警察官の数は、本年4月1日現在で14.3パーセントでございまして、これは全国的に見ても高い割合にあるところです。また、今後の目標として、長野県警察におけるワーク・ライフ・バランス等の推進のための取り組み計画というものが策定されておりまして、そこで全警察官に占める割合を令和13年度までに15パーセント以上にするということを目標としているというふうに承知をしております。女性職員には、警察組織内のあらゆる分野において必要とされているということはもとよりですけれども、性別にとらわれることなく、個人の資質や能力に応じて登用されることが健全な組織のあり方だというふうにも考えております。

長野県警察本部
長野県警察本部

そのために、女性が働きやすくなる職場環境を作るという視点も大切だと思っておりますけれども、これは勤務ですとか、各家庭においてパートナーとなる男性においても同じことが言えるというふうに思っております。この点につきましては、本年度に年次休暇の取得の促進、時間外勤務の縮減のほか、勤務時間と勤務場所などの働き方の柔軟化ですとか、あと仕事と生活を両立できる勤務制度の確立などに取り組むということを、先ほど申し上げました計画にも盛り込んでいるというところでありますので、これをしっかり推進をしていきたいというふうに考えております。

ネガティブすぎるイメージ解消は重要

ーー警察に限らないが、採用難、人手不足なども課題。今後、警察という職場として、若者や転職希望者をどのように引きつけていこうとお考えか。また、働きやすい環境づくりについてはどのように取り組まれるのか。

大竹警務部長:
警察組織の基盤はやはり人でありまして、優秀な人材をいかに確保していくかというのが大変重要だと考えております。県警察におきましては、SPI検査による受験区分の増設ですとか、南信エリアを対象としたエリア採用枠の新設、またスポーツキャリアアピール選考の開始など、新たな取り組みを進めておりまして、これらを通じて警察官採用試験の受験者のさらなる確保に努めていきたいというふうに思っております。また、警察官となる以上、公私における規律の維持ですとか、一定の有事即応体制が必要な勤務であるということは前提でありますけれども、これまでの生活からの激しいギャップですとか、警察の勤務や学校教養などに対するネガティブすぎるイメージの解消は重要であるというふうに考えておりまして、この点は宿舎や独身寮の居住環境の整備ですとか、入校中におけるルールの見直しなど、できる見直しを既に行ってきていると承知をしております。

大竹智子警務部長
大竹智子警務部長

これらは前任の永瀬部長も非常に注力をしていた分野でありまして、やれることは全部やるという気持ちで進めてこられたというふうに聞いております。さらにできることがないかということも含めて、不断の検討をしながら、しっかりご意思を引き継いで推進をしてまいりたいというふうに思っております。ご質問をいただきましたように、こうした採用募集活動の強化と働きやすい職場環境の整備、これは持続的に警察組織を運営していく上で車の両輪となると思っておりますので、先ほど申し上げました働きやすい職場づくりのための組織、取り組みを内部で推進していくだけではなくて、SNSなどを通じて情報発信もしっかりしていくことで、県民の方に警察の仕事への魅力を感じてもらえるようにしてまいりたいというふうに思っております。

趣味は温泉巡り

ーー着任するまでの長野県との関わりと、実際に着任後の長野県の印象は?

大竹警務部長:
長野県は東京からも交通の利便がいいので、趣味の温泉巡りで何度か訪れておりまして、自然豊かで魅力的な観光地が多い県という印象を元々持っておりました。このたび、生活の拠点となってからはですけれども、まだ長野市内を動いているだけではありますが、それだけでもどこを見ても山並みがとても美しくて、川の水がとてもきれいで、何気ない風景にも県道の広大さですとか雄大さを感じております。また、県民の方はとても落ち着いている方が多いなという印象でございます。着任してから、特に長野の豆知識みたいなものをよく耳にするようになりましたけれども、信号機のない横断歩道の一時停止率が全国で1位だという記事を目にしまして、なるほどなと納得をしたところでございます。こうした県民のマナーの良さも県民性の表れかなと思ったところです。

大竹智子警務部長
大竹智子警務部長

ーー趣味や休日の過ごし方、プライベートで長野でこれからやってみたいことは?

大竹警務部長:
温泉巡りが大好きでありますので、県内の未開拓の温泉地をできるだけ訪れてみたいなというふうに思っております。皆さまのおすすめの場所があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。できれば公共交通機関で行ける場所をお願いしたいと思います。また、美術館ですとか博物館の数も日本一だというふうに聞いておりますので、この週末は長野県立美術館に行きまして、年間パスポートを買ったんですけれども、ぜひ県内をいろいろ巡ってみたいというふうに思っております。

ーーこれまでに行ったことのある温泉地は?

大竹警務部長:
1つは湯田中温泉、渋温泉、上諏訪温泉、扉温泉、蓼科温泉、あとは七味温泉ぐらいでしょうか、今思い当たる限りでは。はい、個人的には七味温泉がとても良かった記憶がございます。母も温泉が好きなので、家族旅行といえば温泉でありまして、そういう意味では長野県は本当に温泉地も豊富で、まだまだ行けるところがありそうなので、大変楽しみにしております。

大竹智子警務部長(提供:長野県警)
大竹智子警務部長(提供:長野県警)

【新警務部長 略歴等】(長野県警より)
警視正 大竹 智子 (45歳)
・出身:東京都
・学歴:中央大学法学部 卒業
・略歴:2003年4月 警察庁採用
    2017年4月 警察庁生活安全局地域課付
    2018年7月 警察庁長官官房総務課付
    2021年7月 奈良県警察本部刑事部捜査第二課長
    2023年2月 警察庁生活安全局生活安全企画課課長補佐
          兼生活経済対策管理官付課長補佐
    2024年2月 警察庁長官官房犯罪被害者等施策推進課課長補佐

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