能登半島地震で熊本から多大な支援を受けた石川県。今度は震度7の揺れに再び襲われた熊本へ「恩返し」の支援の輪が広がっている。輪島市と能登町は、能登半島地震での被災経験を教訓に導入したトイレカーを派遣。また、自身も地震と豪雨で二重に被災した料理人は、再建途中の店を置き、炊き出しのために現地へ向かう。
能登からの恩返し 被災経験を支援の力に

27日午前4時の輪島市役所。職員たちが集まり、震度7の揺れに見舞われた熊本県宇城市へ向かう準備を進めていた。派遣されるのは、市が2025年11月に購入した大型のトイレカーだ。

能登半島地震では断水でトイレが使えない状態が続き、避難生活での衛生面の課題が浮き彫りになった。その教訓から購入されたトイレカーには、温水洗浄機能付きの便器5台のほか、おむつの交換台なども備え、車椅子でも利用できる。

輪島市の坂本修総務課長は「能登半島地震の際にですね、輪島市も全国の皆さまから多大なるご支援いただいております。少しでも恩返しができるようにということで、今回トイレカーを熊本のほうに持っていきたいというふうに考えております」と語った。
熊本・氷川町からの畳の支援に「恩返し」

その約6時間後、能登町でも2026年4月に購入したばかりのトイレカーが出発の準備を整えていた。こちらは熊本県氷川町に向かう。

能登半島地震の際、能登町は氷川町から避難所で使用する畳の支援を受けていた。今回はその恩返しだ。町では今回、トイレカーのほか、簡易トイレ4000セット、給水袋600枚、飲料水240本を氷川町と八代市へ届ける。

吉田義法町長は「余震も今出てますけれども、被害が拡大しないっていうところを願っておりますし、多くの皆さんが今、支援に入られると思います。今は大混乱だというふうに思いますけれども、必ず支援の手、全国から来ますので、一緒に頑張っていただきたいなと思います」とエールを送った。

二重被災の料理人、熊本へ
支援の輪は民間でも広がっている。熊本に炊き出しに向かうため、食料を積み込んでいるのは輪島市町野町の料理人、冨成寿明さんだ。

冨成さんは能登半島地震と奥能登豪雨の二つの災害に見舞われた。それでも地元の為にと、当時、炊き出しを続けてきた。冨成さんはその時、「料理人なので、自分の店の再建に集中したい気持ちはあるんですけど、でもやっぱり困ってる人がいると、なんとかしたいなっていう思いはあるんで」と話す。その炊き出しの際、熊本から駆けつけたボランティアに助けられたという。

再建中の店はまだ営業再開のめどは立っていない。それでも熊本へ向かう決意をした。「熊本の皆さんにもすごく助けていただいたので、その皆さんに恩返しがしたいなっていう思いです」

冨成さんは今回、10年前の熊本地震をきっかけに結成したボランティア団体「北陸チャリティーレストラン」の一員として現地に向かう。現地では能登で支援を受けた熊本のボランティアと協力し、避難所で1日約200食の炊き出しを行う予定だ。

冨成さんは「避難所の皆さんは栄養バランスがすごく悪くなるので、その栄養バランスをちゃんと整えてあげれる、野菜たっぷりで、薄味で、なおかつおいしいっていう料理を、そういった料理を作って、皆さんに喜んでいただきたいなと思ってます」と意気込みを語った。

石川県も支援体制を構築
こうした中、石川県は熊本地震に対応する災害対策本部会議を開いた。山野知事は、DMAT(災害派遣医療チーム)とDPAT(災害派遣精神医療チーム)について、派遣する体制が整っており日程を調整中だということを明らかにした。

また県は、7月31日から災害義援金の受け付けを開始する。場所は県庁1階や金沢城公園、兼六園、奥能登総合事務所など県内6カ所で、銀行への振込もあわせて受け付けている。

義援金の宛先
名義:令和8年熊本地震災害義援金
振込先:北國銀行県庁支店
口座番号:普通預金 36211
※北國銀行各店の窓口、ATM、インターネットバンキングでの振込・振替は手数料免除
※上記以外の金融機関からの振込・振替は手数料がかかりますのでご注意ください。
震度7の揺れに襲われた熊本に対し、同じく2年半前に震度7に襲われた能登から支援の動きが広がっている。能登半島地震の教訓から生まれたトイレカー、かつて受けた支援への「恩返し」として届けられる物資、そして自らも被災しながら「助けてもらった恩を返したい」と現地に向かう料理人。それぞれの立場から、今できる支援を届けようとしている。県も医療チームの派遣準備を進めるなど、官民一体となった支援体制が動き出した。災害を通じて結ばれた絆が、今、熊本を支える力になろうとしている。
(石川テレビ・7月30日放送)
