鉄道の魅力を熱くお伝えする野川キャスターの「てつたま」です。
これまで3週にわたってお届けしてきた岡山・津山の旅も最終回です。
【塚本恋乃葉さん・野川アナ】
「この色遣いは急行色っていうね!」
「あー、そうなんですね。急行の?」
「急行列車に使われる車両」
岡山県津山市にある津山まなびの鉄道館は、国鉄時代の遺構を活用した鉄道博物館で、前回は近代化遺産に認定された扇形機関庫や転車台を見学。
特別な体験をさせてもらうことができました。
そして最後に、驚きと感動が待っていたのです。
汽笛♪
蒸気機関車D51の汽笛を使った、その名も『旅立ちの汽笛』。
正午と午後3時の1日2回、希望者を募り、選ばれた人だけが鳴らすことができる特別な体験です。
【津山まなびの鉄道館 高田宜嗣支配人・塚本恋乃葉さん・野川アナ】
「すごかったですね、思った以上」
「思った以上に」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました。お腹に来るような音で」
「いやー、響きました。全身に染み渡りました」
「こんな体験は中々できないんじゃないですか?」
「中々できない」
旅立ちの汽笛に見送られ、鉄道のまち津山で、旅の締めくくりに私たち二人が向かったのは、津山駅から歩いて10分ほどの場所にある居酒屋、上屋です。
ここで、かつての国鉄マンたちも食し、疲れた体を癒したであろう、伝統の郷土料理をいただきます。
【居酒屋「上屋」店主 上原知弥さん・塚本恋乃葉さん・野川アナ】
「お待たせしました。津山名物の干し肉」
「干し肉」
「と、ヨメナカセというものですね」
「ヨメナカセ?もはやどこの部位なのか」
「これが当店の名物ですね」
「ネギですか?」
「見た目はネギだけですけど、食べてみたら分かります」
「これらは全部、津山の名物ということですか?」
「そうですね。江戸時代、牛肉を食べるのが禁止されていた時代に津山市と彦根市っていうところがあるんですけど。そこだけ『養生食い』と言ってちょっと体が疲れたり、病気の人に牛肉を食べていいよって許されていた町なんですね。津山にお肉を食べに行こう、とかそういう文化があったみたいですけどね」
江戸時代、津山藩では、あくまで滋養強壮ために肉を食べる『養生食い』が黙認され、独特の牛肉文化が古くから定着していたそう。
津山のソウルフードともいえるお肉をいただきましょう。
まずはこのネギの山から。
【居酒屋「上屋」店主 上原知弥さん・塚本恋乃葉さん・野川アナ】
「謎を解明しましょう!」
「謎をね…」
「なんかネギじゃないものが…」
「ネギじゃないものがあるのは確かです。お肉ですか?」
「お肉ですね」
「これもお肉…」
「これはね、そずり肉っていう津山でいうもので…」
「そずり肉?」
「そずりですか?」
「(あばら)骨の周りのお肉で、津山の方言で削ることを『そずる』と言うのです。昔の人は、もったいないので骨の周りに残ったお肉も削って大事に食べていたっていう…そずる。そずり肉っていう」
津山の郷土食材、そずり肉を使ったこの料理は、津山市で開催される牛肉料理の祭典『牛魔王選手権』で第1回大会から3連覇を果たした、ご主人自慢の名物料理です。
【居酒屋「上屋」店主 上原知弥さん・塚本恋乃葉さん・野川アナ】
「3連覇!」
「3連覇すごい!」
「もう殿堂入りでね、もう出さんみたいな」
「なるほど、強すぎて」
「混ぜてもらってね、もうこのまま大根おろしとポン酢と山盛りのネギでね」
「いやもう最高!私たちお腹ペコペコですもんね」
「ねー」
「ネギと一緒にいただきます。んー!おいしい。歯ごたえが本当に想像以上に。噛めば噛むほど脂が出てきて、すごくおいしいんですけど。ポン酢とやっぱり大根おろしとネギがあう。無限に食べられます」
「なんとまあ、はい」
「ふふふ、これは…」
「おいしいですか?」
「最高においしいですね」
「あー、そうです?」
「うーん…うなるおいしさですね」
「おいしい本当に。絶対ネギ多いでしょうって思ったんですけど、いやこの位いる!」
「ネギ大変なんですよ。切って洗って、何回も洗うのですよ。すすいで洗って、すすいで洗って、水が透明になるまで洗うので。ネギの爽やかな風味とネギの味。ネギ食べられない人もこれなら食べられるって言うんですよ。これは必ず皆さん頼まれます」
「美味しい」
【居酒屋「上屋」店主 上原知弥さん・塚本恋乃葉さん・野川アナ】
「干し肉?」
「僕はもうちょっとそずりを味わいたいんですけど…」
「収録終わってから」
「終わってから、はい。わかりました。続いてはじゃあ、こちら。干し肉ですか?」
「これはもう津山名物ですね。軽く一夜干し、もしくは1.5夜ぐらい1日半ぐらいで、陰干しで風を当てて、うっすら塩味つけて干していくっていう感じで。あとは切り分けて。なので、もも肉でもこれ位のものがギューっと」
「こうなっていたお肉がこうなるわけですからね、これは詰まってる」
「いただきます。うまみ!詰まってるどころじゃない」
「詰まってるどころじゃない?」
「なんていうの…」
「これはもう昔から食べられてきた?」
「昔からね」
「津山市民の皆さんも思い出深い味なんでしょうね」
「そうですね」
最後の肉料理が『ヨメナカセ』これは牛の心臓につながる大動脈の血管を使った料理なんだそうです。
【居酒屋上屋店主 上原知弥さん・塚本恋乃葉さん・野川アナ】
「ヨメナカセって名前を聞くと?」
「名前がまず気になりすぎますね」
「諸説あって、おいしいんで(旦那が)外に飲みに行って家に帰ってこないで、奥さんが泣いたとか。一番濃厚な説は、昔は七輪で、板状なんですよ、切る前は。それを七輪で炙って、冷めたら固くなるので、熱い時に指で裂いて、旦那さんのおつまみに奥さんが作った。指が熱いんで泣きながら、おつまみ作ったっていう説ね。これが一番あるんじゃないかなって言われてますけど」
「そうやって生まれたんだ。ちょっと味の想像が全くできないです。いただきます。あ、コリコリ!すごいコリコリ!なんていうの?」
「例えようがない感じ?」
「例え?うーん…なんだろう。おいしい!」
「はははは」
「何に例えればいいの?」
「面白い!」
「ちょっとイカに似てるとかね?」
「確かに牛ってことを忘れます」
「おー!うん。おいしいです。おいしいです。一周しておいしいですって返ってくる感じ」
「全部、おいしいって何事ですか?」
「フフフ、何事?面白い方ですね」
「絶対ビックになりますね」
「いやいやいや」
「おもしろい」
「普通に何も言ってないんですけど」
「それが面白い。狙ってやったら面白くない。狙わないから面白い」
「本当に分からなすぎて…」
「分からない方が多分いいんだろうなっていう…」
「分かったらダメ」
「このままいてくれたらね」
「そうそう。そのままいったら面白い」
「なんかこうしておいしいお肉をね、昔から色々な工夫をして食べていたんだなと思うと津山が鉄道の町だった時代は鉄道マンの皆さんも」
「そうですね。やっぱりお肉で元気になってたんだと思いますよ」
「燃料ですね」
「いいこと言いますね。機関車に燃料をくべる人たちの…」
「燃料!」
「燃料だった」
「体にお肉を入れて炊いて。石炭を入れて」
SAKU美SAKU楽に揺られ始まった、岡山県は津山への旅。
姫新線、因美線、津山線3線が交わる鉄道のまちで、発展の原動力ともなった鉄道の歴史や貴重な車両に対面し、さらにこの地に息づく郷土料理まで満喫しました。
鉄路が育んだ津山の魅力を胸に、今回の旅は幕を下ろします。
