去年4月、府中町の公園で会社員の男性が殺害された事件をめぐり犯行を主導し強盗殺人の罪に問われている17歳の少年の裁判で広島地裁は少年に懲役20年の判決を言い渡しました。
ここからは取材した向井記者に伝えてもらいます。
■事件の相関図
【向井記者】
まずは、今回の事件相関図について整理します。
犯行を主導したのが17歳の少年です。
少年は、交際していた女が援助交際していたことに腹をたて援助交際の相手である男性から金を奪うことを計画し、女に男性を呼び出させ、少年らが暴行を加えたことで男性は死亡。その後、現金8万円余りが入った財布を盗んでその場から逃げたという事件です。
■裁判の争点
17歳の少年は「強盗殺人」の罪に問われていますが、裁判の争点は、「殺意があったかどうか」と「少年の処分」です。
少年は初公判で殺意の部分は違うと起訴内容を一部否認しています。
また「強盗殺人罪」は刑法上では「死刑または無期懲役」が科されますが、被告は少年であるため少年法が適用され、刑が減軽される可能性もありました。
■検察側と弁護側の主張
そのうえでこれまでの裁判での検察側と弁護側の主張がこちらです。
【検察側】
まずは、犯行態様について検察側は、人が死ぬ危険性の高い暴行で卑劣かつ残虐で悪質と指摘。
当時の被告人の状態ついては、計画通りではなかったものの殺害後も臨機応変に対応し適切に認識できる精神状態だったとしています。
そして、犯行への関与については、犯行を主導し被害者に致命傷を加える暴行をするなど最も重要な役割を果たした。
以上のことなどを踏まえて、保護処分にする特段の事情はないとして、少年法を適用した上で、有期懲役刑の上限である懲役20年を求刑していました。
【弁護側】
一方、弁護側は…
犯行態様について、暴行は加えたが殺意はなく死亡は想定外であったと指摘。
当時の被告人の状態はパニック状態であったため行為の危険性を認識できる状態ではなかったとしています。
また、被害者の死因などから致命傷を与えたのが被告人かどうかはわからないと主張。
被告人の成育歴や精神症を踏まえたうえで「更生には適切なアプローチが必要」として保護処分を求めていました。
■広島地裁の判決
29日の判決で広島地裁は…犯行態様については「危険かつ悪質」。
当時の状況は「金品を奪うために合理的な行動をとっていて殺意はあったと認められる」と主張しました。
関与については「本件犯行を主導し、共犯者間で最も重要な役割を果たした」。
その上で、本件の重大性や悪質性は高いとして刑事処分が妥当と判断。そして少年法を適用した上で、求刑通り有期懲役刑の上限である懲役20年が相当であると結論づけました。
この裁判所が下した判断について、刑事法犯罪学などがご専門の広島大学吉中信人教授に見解を伺いました。
【広島大学法学部長・吉中信人教授】
「今回の場合は、招いた結果が、それが当初から意図していたものであったかどうかはわからないにしても、招いてしまった結果があまりにも重大である。
そして動機も非常に未熟な思考から来ていいうことになると、まずは責任を取っていくべきだということで、16歳であっても刑事処分を選択するということは、強盗致死、強盗殺人という重大な犯罪を目の前にしては、この選択、刑事刑罰の選択というのは致し方ない。
刑罰になって刑務所に行くと改善更生が全くできないということではありませんし、少年の場合、仮釈放も早くなりますので、刑務所の中で改善更生の努力ができる」
今回の判決を受けて弁護側は「控訴するかどうかはまだわからない」とコメントしているということです。共犯者の徳永被告は既に地裁の判決を不服として控訴しています。
今後の裁判が注目されます。
