7月28日夕方、熊本県で最大震度7を観測する地震がありました。南海トラフ地震に備える私たちはいま、何を考え、どう行動すべきなのか考えます。
28日午後4時27分に起きた地震。
マグニチュード(M)はM7.1で、熊本県の2つの市と町で震度7を観測しました。
九州から東海まで広い範囲で揺れましたが、静岡県内で揺れは観測されませんでした。
それでも県は発生直後から情報収集を開始しています。
熊本県とは「災害応援協定」を結んでいて、要請があれば職員を派遣する方針です。
2016年にも震度7を2度観測した熊本県。
今回の地震について専門家は。
静岡大学防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
10年前(2016年)の地震の時、布田川断層と日奈久断層。2つの断層が1日おきに活動したところがあって、南側の断層帯の残ってる部分が今回活動したところ
地下で断層が横ずれを起こした痕跡は一部、地表にも現れています。
こうした活断層が引き起こす地震は過去に静岡県内でも起きていて、今後も起きるおそれがあります。
静岡大学防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
最大の活断層は駿河トラフから南海トラフにかけてのプレート境界、ある意味大きな活断層だが、延長で、例えば富士川河口断層帯や伊豆半島にいくつか活断層がある。1974年の伊豆半島沖地震とか1978年の伊豆大島近海地震だったり、伊豆半島を切る活断層が動いて大きな被害を出した
では、プレートが連動して起きる南海トラフ巨大地震について影響はあるのでしょうか?
静岡大学防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
(Q.南海トラフ巨大地震との関係は?)直接は関連はないと思いますね。プレートの境界で起きる南海トラフ地震と、今回の熊本は比較的地表に近いところの活断層が動いている。直接プレート運動に影響するような関連はないと思う
能登半島地震に続いて、また新たに国内で観測された震度7の揺れ。
引き起こされた激しい揺れや衝撃によって、住宅の倒壊、高速道路や橋の損傷が数多く確認されています。
静岡大学防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
直下で比較的浅いところで断層が動くと、直近では本当に大きな震度になる。大元はやはり耐震性。建物そのものの耐震性と、いろいろな設備の耐震性が本当にきちんとできているかどうかで、大きな事故を防げるかどうかの瀬戸際になる
今回、熊本県で震度7を観測したのは2つの市と町。
しかし、南海トラフ地震で震度7の揺れが想定されている地域は13の市区町に及びます。
そして、もう1つ、この時季ならではの脅威が“猛暑”です。
各地で停電や断水が続いています。
2016年の地震は4月、今回は事情が違います。
そして、南海トラフ地震で断水は県内の90%で発生すると想定されています。
静岡大学防災総合センター・岩田孝仁 客員教授:
こまめに水分補給をしたり塩分補給するというのは基本の原則。物資が途絶えてしまうと、なかなかできなくなる問題を抱える。自分にもう1度置き換えてみて、いま何を自分たちは準備するべきか、対策をしておかなければいけないか、もう一度、家族や地域の人たちと一緒に考えていただきたい
本谷育美アナウンサー:
ここからは、防災担当の加藤解説委員とお伝えします。今回の地震、どんな印象を受けましたか?
加藤洋司 解説委員:
もともと地震の多い地域ではあります。ただ、直下で起きる衝撃、被害の大きさに改めて脅威を感じました。岩田教授も指摘していたように、今回は断層がずれ動くことで地震が発生。メカニズムの南海トラフ地震には直接影響しません。活断層は県内にも多くあり、その警戒は必要です。
加藤洋司 解説委員:
また、今回の被害の中でやはり注目すべきはイオンモール。爆発について、岩田教授はこう指摘しています。
嘉島町の震度は6強。揺れによって推定されるのが、ガス管に穴が開いたり破断が起きた。そしてガス漏れが起き充満、爆発したのではないかと。さまざまな検証が入ると思うが、岩田教授としては大元の“耐震性”に着目したいと話していました。救出救助のあと原因究明と責任論にはなるが、地震でこうした事態が起こるというのは大きな事と感じました。
本谷育美アナウンサー:
熊本の地震を受けて、私たちが考えなくてはいけないのは?
加藤洋司 解説委員:
想定される南海トラフ地震は規模が違う。さらに大きな被害が想定されるということ。今回の地震で震度7を観測したのは熊本県の宇城市・氷川町の2つの市町。一方、南海トラフ地震では西部から中部まで、13市区町で最大震度7となる地域が想定されています。
加藤洋司 解説委員:
続いて、停電。九州電力によりますと、熊本県は28日時点で4万8500戸あまり、29日朝の時点では3万5000戸あまりで停電が起きています。一方で、南海トラフ地震が起きた時の被害想定は、県内では直後に最大 約160万軒。これは県内全体の90%にあたります。翌日にも約140万軒・82%で停電が続くことが予想されます。
加藤洋司 解説委員:
さらに断水の問題もあります。今回の地震、熊本県の人口は約167万人ですが、29日朝の時点で約8万4000戸で断水が起きました。酷暑でもちろん深刻な事態。ただ南海トラフ地震で影響を受ける人はケタ違いになります。上水道で影響を受ける人が約340万人・97%、下水道は約334万人・93%と、ほぼ全員が影響を受ける想定です。
本谷育美アナウンサー:
どんな備えを進めておけば良いでしょうか?
加藤洋司 解説委員:
水は1日1人3リットルが目安とされますがさらに多めでも良いかもしれません。加えて体を冷やす保冷剤、直射日光を防ぐものも必要で熱中症対策が大切。家庭や地域で話し合い、行動に移すことが重要です。
本谷育美アナウンサー:
ここまで加藤解説委員でした。
