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※執行役員 マーケティングDX本部 本部長 永松 拓土(左)、同本部 カスタマーサクセスプロデューサー 齊藤 歩(中央)、同本部 カスタマーサクセスプロデューサー 篠﨑 正暉(右)
株式会社メンバーズは、大手企業を中心にデジタル人材の伴走によるDX現場支援事業を展開しています。
AIの急速な進化に伴い、あらゆる業界・職種において「人間の介在価値」や「仕事のあり方」が根本から再定義されつつあります。
こうした大きな転換期の中、メンバーズでは、展開するマーケティングDXの領域において、長年の現場支援で培った“顧客理解やプロセスの暗黙知”をAIエージェント化する「AI Readyプロジェクト」を始動しました。目指すのは一時的な効率化ではなく、お客さまと共にAIを育て、組織そのものを「変革・高度化」させていくことです。
プロジェクトを牽引する執行役員 本部長の永松 拓土、カスタマーサクセスプロデューサーの齊藤 歩と篠﨑 正暉の3名に、実用性にこだわり抜いた舞台裏、ナレッジを「お客さまとの共有資産」にする思想、そして組織を「変革・高度化」へ導くパートナーシップのあり方について話を聞きました。
まずは、ご自身の自己紹介と、本プロジェクトでの役割について教えてください。
永松:マーケティングDX領域の責任者であり、本プロジェクトにおいては起案者・全体統括を務めています。プロジェクトは現在、いくつかの取引先支援チームを厳選し、各チームで培われた暗黙知のAI化にトライしているPoC(概念実証)の段階です。
秋口に向けて、この検証が「本当にお客さまのビジネスの成果に繋がり、本質的な価値を提供できるか」を厳しく見極め、実用的なサービスとして本格提供・本格展開していくための意思決定を担っています。
齊藤:普段は、AIを活用した業務改善を中心に取引先支援チームをバックアップする横断部署の所属です。
本プロジェクトにおいては、全体の推進役として、進め方の設計や技術選定、各現場との連携統括を担っています。プロジェクトは、現場の7つの支援チームと、横串で支援するエンジニア・テクニカルチームが一体となって推進しており、総勢30名超が参画する体制となっています。
篠﨑:不動産デベロッパーの経営企画部門を経て中途入社し、現在は大手企業のSNS運用・リスクモニタリング支援を担当しています。本プロジェクトには、「めちゃくちゃ困っている現場の代表」として参画しました。これまで関わらせていただいたお客さまや社内の上司に叩き込まれてきた運用の暗黙知をAIに落とし込み、実際に現場で使えるかを検証する役割を担っています。
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今回、マーケティング運用の「暗黙知」をAIエージェント化するプロジェクトを始動されましたが、そもそもなぜ今、この取り組みが必要だったのでしょうか?
永松: メンバーズは、取引先チームの一員として“あたかも社員”のようにDX現場を支援してきました。「メンバーズは人の会社である」と見た時に、AIの台頭によって「これから人の価値をどう考えていかないといけないのか」という強い問いに向き合う必要がありました。
メンバーズのような労働集約型ビジネスにおいて、「AIによって人は要らないんじゃないか」というジレンマは確かに存在します。その中で、私たちが持っている絶対的な競争力の源泉は何か。それは、お客さまの現場に“あたかも社員”として入り込み、共に培ってきた「顧客理解や業務理解の中にある暗黙知」です。この暗黙知にAIを掛け合わせ、自社の内部構造を変革しながら、支援サービスの競争力を飛躍的に高める。そうした挑戦として本プロジェクトをスタートしました。
このプロジェクトの背景には、これまで私たちがお客さまの現場で積み上げてきたAI活用支援の実績があります。お客さまから「業務が属人化し、プロセスが複雑」「顧客理解を組織に組み込みたい」というご相談をいただき、この1年半ほど、独自データと担当者の暗黙知を掛け合わせたAIマーケティングプロセス作りをご支援してきました。この現場での成功体験が、今回のプロジェクトの強力なベースになっています。
ご支援を重ねる中で改めて確信したのが、「ナレッジをお客さまとの共有資産にする」という思想の大切さです。当社は昔から、自社にノウハウを囲い込むのではなく、お客さま側にナレッジを蓄積して自走を助ける支援を行ってきました。今回構築するAIエージェントも社内利用にとどめず、不確実な時代を勝ち抜くための「お客さまとの共有資産」にしていくことを目指しています。
篠﨑:永松と「管理職やリーダーの勘って当たるよね」という話をしていたのですが、その“勘や着眼点”こそがまさに暗黙知です。誰よりもお客さまの視点を理解している専任プロデューサーや現場リーダーの暗黙知をAIに落とし込むことができれば、組織の属人化を防ぎ、若手でもスピーディに高品質なアウトプットを出せるようになります。現場の持続性を高める上でも、育成の観点でも、非常に大きな意味を持っています。
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※プロジェクトの全体統括を担う永松 拓土
業界内でもAIエージェントで業務を効率化するアプローチは活発です。その中で、メンバーズならではの設計思想やアプローチの特長は何でしょうか?
齊藤:AIツールは世の中に溢れており、作ろうと思えば誰でも作れる時代です。しかし、ツールはツールでしかありません。私たちは「導入すること」ではなく「それを使って如何に現場で成果を上げるか、使われ続けられるか」を最重要視しています。かつてのRPAブームでも、ツールを導入したものの現場で管理しきれず“野良RPA”化してしまった例がたくさんありました。
マーケティング業務の基本的な共通軸はアセットとして集約し、スピーディに立ち上げつつ、残りのお客さま独自のナレッジや独特の文化に如何にアジャストしていくか。さらには独自のツール環境、セキュリティやガバナンス方針の違いにも柔軟に対応し、技術を「現場で使われる形」に落とし込んで成果を出すこと。この徹底したアジャスト力こそが、私たちの伴走の強みです。
永松:汎用的なエージェントは世の中に溢れていますし、誰でも作れます。しかし、それがお客さまにとって本当に意味のあるものになるかどうかは、全く別の問題です。
本質は、お客さま独自の業務プロセスに本当にフィットさせられるか、そしてお客さま企業固有の暗黙知や形式知を適切に学ばせられるかにあります。ビジネスにおける「文脈」はお客さまの組織や環境によって全く異なるからです。
だからこそ、私たちは一度システムを作って終わりにするのではなく、実際の業務で使いながら細かなチューニングを重ね、泥臭く「AIを育てる」というアプローチをとっています。
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では、現在進めている「専門サブエージェント」とは、具体的にどのような実務を担い、どのようなアウトプットを出すのでしょうか?
齊藤:マーケティング業務の基本的な共通軸をアセットとして集約しつつ、企画提案やコンテンツ生成、リスクモニタリング、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)支援といった機能ごとに専門のエージェントを組んで検証を進めています。
共通のナレッジ基盤の上に専門エージェントを配置し、それらが連携して現場の業務を支える仕組みです。単にAIツールを渡して終わりではなく、現場ごとの環境や特有の業務ルール・ガイドラインにアジャストさせ、実際に「使われる形」に落とし込んで成果を出すことを最重要視しています。
篠﨑: 私が関わる「モニタリング支援エージェント」では、モニタリング専用ツールから得られるブランドリスクに関する情報をもとに、即座に報告レポート化します。よく「それって普通の生成AIではできないの?」と聞かれますが、一般論として回答するのが従来のAIであり、それはお客さま自身でも対応可能です。それに対して私たちが現場で叩き込まれた「お客さまが欲しい情報のニュアンス・感度・視点」という直感を掛け合わせることで、初めて役に立つアウトプットになります。一見すると小さな差に見えても、現場から見れば「自分たちが守ってきた文化や魂が吹き込まれたアウトプット」が出てきます。ここに圧倒的な手触り感と価値があります。
実際にプロジェクトを推進していく中で、どのような「壁」にぶつかりましたか?
永松: 最大の壁は「暗黙知は、言語化ができないから暗黙知なのに、それを言語化しなければならない」というジレンマそのものでした。
当然、最初に作ったプロトタイプは完璧ではありません。現場で実際に使ってみて、「何が使えなかったのか」「どこに違和感があるのか」を丁寧に出し合い、言葉にしてAIへフィードバックしていく。そこが最も泥臭く、難しいプロセスだと感じています。
齊藤: 現場メンバーもお客さま自身も、普段は「なぜその判断をしているのか」を意識していません。だからこそ、お客さまを現場で支援しているメンバーや技術メンバーが密にミーティングを重ね、その中で生まれる「なるほど、言葉にするとこういうことか!」という気づきを一つひとつ拾い上げては、アップデートをかけています。
エンジニアだけの技術起点で作るのではなく、現場とテックが横断して泥臭く対話と試行錯誤を繰り返す。この積み重ねがあるからこそ、単なる便利ツールとは一線を画す、本当に現場で使える実用的なエージェントに育っていくのだと確信しています。
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ノウハウを蓄積していく中で、セキュリティや情報のガバナンスという点ではどのような設計をされているのでしょうか?
永松: 大前提として、メンバーズのセキュアな環境下でデータを処理しており、入力情報が一般的なAIの学習に流用されることは一切ありません。また、ある企業さまの機密データや構築したシステム環境が、他社さまへ漏洩・混在することがないよう、インフラ構造レベルで厳密に区画を分離して管理しています。
齊藤: 運用面でも、AIの精度や安全性を担保するために「暗黙知をインプットして調整する人」と、実際に「実務で使う人」の役割・権限を明確に切り分けています。これにより、不要な情報が入り込んで学習ノイズになってしまうのを防ぐなど、人と運用の両面でガバナンスを徹底しています。
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※複数部署をまたぐ横断プロジェクトの全体を推進する齊藤 歩
最後に、「AI Readyプロジェクト」の先にある、最終的に見据えているゴールについて教えてください。
齊藤:ゆくゆくは、このAIエージェントをお客さまに「一緒に使いませんか」とご提案していきたいです。単に作業を代行する関係を卒業し、お客さまと私たちのチームが一体となって、共により高い成果(アウトカム)を生み出すことに集中できる環境を整えていきたいと考えています。
篠﨑:誰もがAIを使い、同じレベルのアウトプットを出せる時代になった時、最後に残る価値は「本質的にどれだけお客さまのことを深く考え、先回りして寄り添えているか」という顧客志向のスタンスに尽きます。
AIの発展によって、ベテランの「経験」や「業界歴」という武器は次第に通用しなくなっていくはずです。だからこそ、定型作業から解放された分、私たちはお客さまの課題にどこまでも深く向き合っていくべきです。
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※「現場の代表」として参画する篠﨑 正暉。運用の暗黙知をAIに落とし込む
永松:二人が言うように、AIは使い手の姿勢を映す鏡です。代替されるのを恐れるのではなく、人とAIが一緒になって新しい価値を作るマインドセットが重要です。
私たちが着目しているのは、どんなに素晴らしい戦略を描いても、実行の局面でボトルネックになるのは結局のところ「人と組織のケイパビリティ(実行力)」だという点です。人と組織を無視した変革は絶対に成功しません。
だからこそ、私たちは単にツールを提供して終わりではなく、お客さまの組織やプロセスのあり方を一緒に変えていきたい。AIを「強い人・組織へ転換する仕組み」として活用し、メンバーが変わってもナレッジが血肉となって蓄積され続ける持続可能な組織をつくる。単なる作業の効率化を超え、マーケティングを「高度化」させる変革パートナーとなることこそが、私たちが目指す本当のゴールです。
メンバーズについて
「顧客と共に社会変革をリードするデジタル実装パートナー」として、デジタル人材の伴走による企業へのDX現場支援事業を展開。高い専門スキルを持つデジタル人材が取引先企業のチームの一員として、DX現場の実装・運用フェーズにおける内製型のDX推進を伴走支援し、「あたかも社員® 」として成果向上を実現させます。1995年設立。東証プライム上場。
- Webサイト:https://www.members.co.jp/
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