熱戦続く夏の高校野球新潟大会は準決勝が終わり、決勝の対戦カードが決まった。14年ぶりの甲子園を目指し、第1シードで大会に臨んだ新潟明訓。チームを引っ張ったのは、背番号6の今井巨主将だった。準決勝で日本文理に敗れ、甲子園に届かなかったが、投打でチームを支え続けた主将の姿は、このチームの成長を象徴していた。

■名門復活を期待され…

夏の甲子園に7度出場し、2010年にはベスト8にも輝いた名門・新潟明訓。しかし、2012年を最後に甲子園から遠ざかっている。

この名門復活を託されたのが、今井巨主将だ。マウンドに上がれば球場の雰囲気が変わり、打席に立てば一打で空気を変える。投打の両面でチームに勢いをもたらす存在だ。

4回戦の開志学園戦では、逆転された直後にマウンドに上がり、相手の攻撃を断つと、8回には自ら逆転打を放ってチームを勝利に導いた。

準々決勝の加茂暁星戦では、3点ビハインドの中でマウンドに上がって試合の流れを変え、7回に再び自ら逆転打を放った。まさにチームの大黒柱の活躍を見せてきた。

ただ、準決勝の舞台はそう簡単にはいかなかった。昨秋の県大会を制し、春のセンバツ甲子園に出場した日本文理打線が初回から明訓を襲う。


■初回に5点ビハインド

先頭の土屋が右前打で出塁すると、4番吉田流太に適時打を許し、失策も絡んでいきなり5点を失った。

試合序盤とはいえ、あまりに大きい5点…それでも「最後まで自分たちがやってきたことを変えずに、「ありがとう」とか「いい顔で」と、ずっとベンチでもいい雰囲気作りをしながらやること、そういう声がけがしっかりできていた」と振り返る今井。

反撃のチャンスは3回に訪れた。1番山口が右前打で出塁し、その後2死2塁となり、打席に今井が入った。

「とりあえず来た球を打とうという意識で待っていたら、結果的に甘いスライダーが来たので、コンパクトにヒットを狙っていた」

これが適時打になり、またしても主将の一打でチームが息を吹き返す。しかし、昨秋の王者も黙っていない。この直後に6番大地の二塁打などで1点を返される。

明訓は6回に4番村山の三塁打などで1点を返して、2-6と再び4点差に縮める。ここでマウンドに背番号6の今井が上がった。

「なんとか流れをこっちに引き寄せたいなとずっと思っていたので、自分のピッチングでなんとかこっちに持ってこれるように、とにかく腕を振って、チームを鼓舞することをずっと意識してやっていた」

ランナーを出すも6回・7回を無失点に抑える力投を見せる今井。しかし、猛暑でフル回転してきた身体は正直だった。疲れが見え始めた8回、2死2・3塁のピンチで1番土屋の当たりはレフトへと抜ける2点適時打となり、8-2に。

■甲子園の目標はライバル・後輩へ

最終回、最後まで諦めない明訓打線は2安打を放ち、意地を見せたが、ホームは遠く…今井の夏は静かに幕を下ろした。

新チームの最初の公式戦となった昨秋は3回戦で公立校に敗れた。そこからチームは成長を重ね、今大会は優勝候補に挙げられるまでになった。その歩みを引っ張ってきたのは、言うまでもなく今井だった。

「秋に比べたら、1番成長したかなと思いますし、全員で甲子園を目指せる環境に持ってこれたのも、チーム全員のおかげだと思っています。最後は勝ちたかったんですけど、勝負の世界なので、勝ち負けはついて、負けてしまいました。最後は素直に力の差を感じました。ここから後輩たちに、自分たちがやってきたことと、この試合で学んだことをしっかり引き継いでもらって、来年は絶対優勝してほしいなと思います」

最後の整列で日本文理の渡部主将と握手をして自身の思いを託した。

「甲子園に絶対行けよ」

名門復活の重責を担い続けた今井の目に涙はなかった。

NST新潟総合テレビ
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