長野県安曇野市明科に新しい複合施設がオープンしました。空き家を改修した施設で、建物があるのは住宅街の「路地裏」。分かりづらいと思う場所になぜ出店したのか、その理由を探りました。
■路地裏に…満席のラーメン店
すっきりとした味わいのしょうゆラーメン。
このラーメンを求めて店内は満席です。
客:
「おいしいです」
店は6月にオープンした安曇野市明科の複合施設「あがたまちラビリンス」の中にあります。
同じ建物内には、ほかにも店が―。
ももんが香辛堂 店主・北山恵子さん:
「こちらはスパイスを並べている部屋」
いろいろなスパイスを扱った専門店に、女性や子どもをメインにした鍼灸院も入っています。
■まるで迷路 施設の名はラビリンス
施設の名前のラビリンスは英語で「迷宮」を意味しますが、その理由は「立地場所」にあります。
施設があるのは明科駅から徒歩5分ほどの場所。
住宅街の細い路地を進んでいく、いわゆる「路地裏」で、店に着くまではまるで迷路のようです。
なぜ、このような場所に施設をつくったのかー。
うずまき 代表・横内健人さん:
「路地裏って車が走っていないので、そういった意味では安全に歩けるような場所。この先に一体何があるんだろうというワクワク感がありますよね」
■空き家活用で「地域を元気に」
古い外観からわかる通り、空き家をリフォームした建物です。
1958年に建てられた木造2階建ての空き家を、アカマツなどの県産材を多く使って改修しました。
うずまき 代表・横内健人さん:
「(空き家は)新しい建物にはない歴史が積み上がっている。それをうまく生かしながら、さらに新しい使い方に合わせて改良していく。それがすごく楽しい」
うずまき 代表・横内健人さん:
「空き家はもう全国的な問題。人口がどんどん減少していく中で、それが目立ってきた。空き家の利活用をしながら明科地域を盛り上げていこうと」
手がけたのは市内の経営者や元役場職員らでつくる合同会社「うずまき」のメンバーです。
明科駅周辺の空き家や空き店舗を見学するイベントで出会い、空き家を活用して、地域の魅力を発信しようと、2020年に「うずまき」を設立。
これまでにも1軒、空き家物件を改修し、シェアスペースとして運営しています。
うずまき・山崎雅子さん:
「明科駅前に他にもいろいろある。そういうところがつながっていくと、明科の街が元気になるんじゃないかな」
うずまき 代表・横内健人さん:
「空き家が増えてしまうと、それだけで暗くなってしまう。1軒でも多く人が入って、ここに人がいる温もりとかが感じられる場所にしていきたい」
■「路地裏が面白い」出店を決意
路地裏にある空き家を改修した複合施設。
1階にはワークショップなどができるフリースペースのほか、2つの店が入ります。
6月24日にオープンしたスパイス専門店。
店にはスパイス約40種類が並び、量り売りで購入できます。
店主の北山恵子さんは、路地裏に店を構えることへの面白さを感じ、出店を決めたといいます。
ももんが香辛堂 店主・北山恵子さん:
「路地が面白いなと思った。プラプラと歩いて、こんなかわいい花が咲いているね、こんな店があるんだねと、そういう楽しみ方ができて、他の街といい意味で違うつくりだなと」
店では出窓をカウンターにしてテイクアウト商品の販売も。
店の特徴を生かし、スパイスを利かせた焼き菓子やドリンクを用意しています。
市内から来た客:
「すごくおいしいです。フルーティーですごく爽やかな感じで」
ももんが香辛堂 店主・北山恵子さん:
「皆さんに香辛料の楽しさを知っていただいて、スパイスワールドをここで展開していけたら」
■地元食材にこだわった一杯
施設の1階にはラーメン店もオープン。
店主は地元の有名店で修業。
ブランド豚「安曇野放牧豚」のチャーシューなど、地元の食材や調味料にこだわったラーメンです。
客:
「見た目もかわいくて、味もおいしかったです。近所の人うらやましいな」
「僕、結構、塩(味)好きなんですけど、おいしいです。隠れ家的な感じでいいと思います」
らぁ麺空条 店主・宮下友里さん:
「歩きながら、観光しながら来てくれる方は『すごくいい所にあるね』と言ってくださる。明科を感じながら(ラーメンを)食べていただければいい」
■2階には移住者が開業した鍼灸院
施設の2階にも店舗があります。
2026年4月から開業している鍼灸院です。
椿鍼灸院 院長・柳澤まな美さん:
「古民家はほっとするというか、いらっしゃるお客さまもすごくほっとするという声をいただいています」
院長の柳澤まな美さんは2025年5月に家族と明科に移住。
施設オープンの話を受けて出店を決めました。
施術は完全予約制です。
椿鍼灸院 院長・柳澤まな美さん:
「迷いながらたどり着くというのが本当に面白い発想だな。地域の交流の場にもなりますし、明科はこういう町なんだよともっと知ってほしい」
■目指すは「路地裏商店街」
店側は路地裏にあることをプラスに考えていますが、客はどう思うのかー。
客:
「空き家って放置されて、草木が生えて周りの人から嫌がられたりすることもあるので、そういうところを使ってラーメン屋さんが来てくれるのはうれしい」
2人組の客:
「近所の人も協力的で、『そこですよ』って教えてもらったよね」
「『右曲がってください』って」
客:
「(路地裏)面白いなとは思うけど、ちょっと分かりにくいのでもったいない。もっと分かりやすければ」
路地裏を生かして、店を見つける楽しさにつなげる取り組み。
立地上の不便さを逆手にとった街づくりとして注目されます。
うずまき 代表・横内健人さん:
「今、空き家になっている物件、すでに手掛けている物件を関連付けて、『路地裏商店街』のようにつないでいくというのが、この先もやっていきたいところ。『やっぱりいいよね』と思っていただける方たちがたくさん来ていただけるような、そんな形につながる取り組みをずっと続けていきたい」
