皆さんにも『苦手なこと』があると思います。仙台市に住む小学6年生の男の子が、苦手なことに挑んだ理由や、その挑戦を通して感じたことをまとめた作文が、作家のリリー・フランキーさんなどが選考委員を務めるコンクールで賞を獲得しました。作文に込めた思いを聞きました。
夏休み前、最後の登校日を迎えた、仙台市青葉区の「聖ドミニコ学院小学校」。
この日は子供たちが考えた「お楽しみ会」も行われました。
小学6年生の小出大伍吉さんです。
小出大伍吉さん
Q.受賞した時はどんな気持ちでしたか?
「正直本当かなって、まず最初に思って、自分の作品が審査員に伝わってうれしかった」
小出さんは、作家のあさのあつこさんやリリー・フランキーさん、ノンフィクションライターの最相葉月さんが選考委員を務める「子どもノンフィクション文学賞」に、作文を出品。今年3月、全国から集まった239の作品から、「選考委員特別賞」を受賞しました。
Q.作文というイメージあります?大伍吉くんに
お友達「あんまりないですね…」
お友達「いつもにこにこしていて、居ると雰囲気があがる、めっちゃ面白い友達です」
作文のタイトルと書き出しはこうです。
『ぼくは野球がうまくない。ついでに言うと運動神経もあまりよくない』『そんなぼくがどうして野球を始めて今も野球を続けているのか思い出してみた』
小学2年生の時に野球を始めた小出さん。翌年にはレギュラーに選ばれましたが…
『きみは野球がうまくないから下の学年と練習しろとチームにたまに顔を出すえらいおじさんに言われたのだ。ぼくは一生けん命にがんばってきた自分の時間が役に立っていない、と言われているような気がして、くやしかったし、悲しかったし、切なくてたくさん泣いた』
小出さんは、この言葉に傷つきチームを移籍しました。
小出大伍吉さん
「ちょっと辛かったことも書いてふり返ってみようかなと思ったので書いてみました」
次のチームで厳しい練習をこなす中、驚くことを言われました。
『このチームはとてもきびしくて、初めて野球を辞めたいと思うほどだった。チームに入って五ケ月くらいたったある日、いきなりキャッチャーをやれ、と言われた』
小出大伍吉さん
「バッターが空ぶった時にとるのがとても怖かったり、変化球が落ちてきてとるのがとても難しかった」
小出さんは必死に練習しました。母の陽子さんも優しく支えました。
『お風呂あがりに保湿剤をぬってくれるお母さんに、「ここも、これも、こんなところもボールがぶつかったアザなの?」とおどろかれたけど、自分でもボールが当たっている事に気がつかないぐらい必死だった』
その後、キャッチャーとして全国大会出場を果たしますが、結果は2回戦敗退でした。
母・小出陽子さん
「大伍吉が普段ほとんど泣かない子なんですよね。涙を流したりっていうのもあんまり見たことがなくて。でも、その試合に負けた時にすごくもう嗚咽というか本当に声を出して泣いていて中々泣き止まなかった」
そんな姿を見て、陽子さんがある言葉をかけます。
「たくさん涙がでるのはたくさんがんばった証こだよ」
小出大伍吉さん
Q.お母さんの言葉で何か気づけたことってある?
「自分ではそんなに頑張っているイメージはなかったけど、涙流すくらい頑張っていたんだなってことに気づきました」
『ぼくをきずつけた“野球がうまくない”という言葉。今も野球はうまくないけれど、毎日少しずつがんばっていたら、ボールを取れない、投げれないというぼくがチームで一番ボールを取って、ホームから二るいに送球するキャッチャーになっていた』
小出大伍吉さん
Q.大伍吉くんにとって野球ってどんなものですか?
「自分にとって大事な何かを教えてくれるものだったり目標だったりしてとても先生みたいな存在」
小出さんは作文をこんな言葉で締めくくりました。
『ぼくは“うまくない”は“のびしろがある”と考えることにした。そう考えるともうきずつく事はない。ぼくは野球がうまくない。でも野球が好きだから、これからも自分の“のびしろ”を信じて少しずつでものびていきたい』
