「地魚の刺し身」に、「タイの酒蒸し」など日本食に舌鼓を打つ外国人たち。
ですが、観光だけが目的で来日したわけではありません。
日本の文化財を守るために名乗りをあげた人たちです。
存続が危ぶまれた貴重な文化財に新たな息吹を与え、未来へ継承していく取り組みを追いました。
日本最大の離島、新潟・佐渡島。
かつて順徳上皇や世阿弥などが流され、さまざまな文化が発展してきたこの島には、世界文化遺産に登録された「佐渡金山」を筆頭に貴重な文化財や建造物が数多く存在しています。
築350年の歴史を誇る「北條家住宅」は、代々漢方医として活躍してきた北條道益の一族が暮らした家で、母屋は国の重要文化財に指定されています。
ただ、味噌蔵や米蔵、家財蔵などは登録有形文化財となっていて、11代目当主の弟・北條規さんはその維持費用に長年、頭を悩ませてきました。
北條家11代目当主の弟・北條規さん:
登録有形文化財は100%所有者が維持管理費用を出さないといけないので途方にくれていたが、先祖から代々守り続けてきたものを失いたくない、何かいい方法はないかと。
そこで北條さんは「DAO」という組織を活用することを決めました。
「DAO」とは管理者などが存在せず、参加者が投票で意思決定を行う組織のこと。
北條家のプロジェクトでは出資者が共同のオーナーになり配当と議決権が、また地域住民にも議決権が与えられます。
集めた資金を使って建物を修繕し、米蔵と味噌蔵などを宿泊可能な文化交流施設へと生まれ変わらせる計画です。
このプロジェクトの出資を募ったところ、6割以上が海外からでした。
Planet Labs・西村環希代表:
日本の方々からするとお寺、古民家、日本家屋、そういったものは見慣れたもの。ただ海外からするとすごく珍しいということで、とても投資が集まった。
修繕が始まる前の北條家滞在イベントには、香港やシンガポール、台湾など国内外から出資者が集結しました。
現在一般には公開されていない住宅や蔵の内部をじっくり見て回ります。
年代物の家具や調度品、漆器などはもちろん、巻物を包んでいた新聞紙もありました。
あらゆる年代の暮らしの痕跡が北條家には今も残っているのです。
シンガポール出身の出資者は「ひとつの場所に多くの世代の生活が積み重なっているのを見るのはとても興味深いです」と話しました。
蔵の探索の後は敷地内の散策です。
代々、漢方医として続いてきた北條家では薬草や野草は治療に欠かせない必需品で、敷地内に自生している薬草のにおいをかいでみたり、食べてみたり、北條家ならではの体験も宿泊者に提供する予定です。
実際にどんな宿泊施設にしていくのか。
コンセプトやデザインについて熱い議論が飛び交いました。
シンガポール出身の出資者:
北條家とその物語のつながりが大きな差別化になっています。そうでないと京都で泊まれる普通のところと変わらない。岡山とか倉敷とか、どこでも見られるから。
香港出身の出資者:
私たちは北條家の生活に漬かるためにここに来るんです。
2026年の秋にも母屋のかやぶき屋根などの大規模な修繕を開始し、2027年の春に宿泊サービスの提供を始める予定です。
北條家11代目当主の弟・北條規さん:
そこに多くの人が訪れてこの地域が活気づいていく。ひいては佐渡全体が活力が生まれるというふうにつながっていけば。
