夏の高校野球を支えるアマチュア審判員に密着。有給を使い活動する彼らが、甲子園を目指し懸けてきた球児の思いを全力で出し切らせたいと、一瞬の判定のために徹底した準備と公正なジャッジに挑む姿を追う。
■ 大会直前 準備重ねる審判員
夏の舞台で躍動する球児たち。その舞台の裏側には、試合を支えている存在がいる。
大会が始まる10日前、福島県郡山市のグラウンドには、福島県野球連盟に所属する審判員たちが集まっていた。
毎年変わるルールや、ひとつひとつの判定に関わる細かな動き。本番で迷いなくジャッジするために、審判員たちは準備を重ねる。
福島県野球連盟の審判部会育成担当・大滝忠明さんは「高校生最後の夏の大会なので、1つのジャッジで変わるということを意識している。すべてのプレーに対して想定・準備をしてしっかり取り組むと、それに尽きる」と語る。
■ほとんどが本業を持ちながら活動
連盟に所属する500人、そのほとんどが、本業を持ちながら活動するアマチュア審判員だ。
福島県野球連盟の塚本泰英会長は「自分たちの有給休暇を取って、審判をしているっていうのが現状。家族がある人は、家族の理解もないとできない。我々が行う審判業務はほとんどボランティアと一緒」だと話す。
■多忙な教員との二刀流
中学校教員の本間貴博さんは、この夏、高校野球の舞台で審判員を務める1人。
週に17コマの授業、そのための教材準備。クラスのこと、教務主任として学校行事や時間割の調整も。教員として多忙を極めている。
「週末は土曜日に部活やって、日曜日は審判でやらせてもらってだと、本当に休みはないって言ったらないですね」と話す。
かつては選手として、グラウンドに立っていた本間さん。今は審判としてグラウンドに立ち、生徒たちにその経験を還元している。
「自分自身やっぱり野球が好きっていうのは、すごく大きい。顧問の部活動で子どもたちに1つでも多く教えられることがあるといいなってところから始めた」と語る。
■ 一瞬の判定に宿る緊張感
夏の大会前、最後の練習試合は審判員にとっても最後の調整の場となる。
本間さんは「練習試合でも本番直前のジャッジになるので緊張感持ってやりたいと思います」と気を引き締める。
主審のマスクを被るのは本間さん。選手たちの試合の行方を左右する1つ1つの判定。それだけに一瞬のプレーを見逃さず最適な位置へ動き、正確で公平な判断を下すことが求められる。
本間さんは「後悔したことも正直ありました。申し訳ないなとか、できない自分が悔しいという思いもした」と語る。
■ 球児の夏に寄り添う覚悟
年間70試合に駆け付ける本間さんにとっても“夏”は特別な季節だ。
「審判で負けたって言わせたくないって思う。特に高校野球で言えば、夏の甲子園目指してやってきた、選手たちがそこに懸けてきた思いを、全力で出し切れる。そこに集中してもらえるように私たち審判員が、公正に判定していくってところを意識していきたいなって思います」
歓声を浴びるのは、選手たち。しかし、その裏側には数え切れない準備と、支える人たちの思いがある。
