奈良市の小学校でいじめを受けた女子児童(当時)が「わたしは死ねばいい」などと書いたノートに、担任が花丸をつけるなどした問題。
当時の学校の対応が不適切だったとして、女子児童と両親が奈良市を訴えた裁判で、きょう=16日、奈良地方裁判所は両親側の訴えを退けました。
裁判所は学校のいじめ対応について、管理職に即座に情報共有をしたとはいえないものの、聞き取り調査など、相応の調査は尽くしていることに加え、児童同士の仲直りの機会を持つなど具体的な配慮をしており、「いじめ発生の回避義務は尽くしていたと評価できる」としました。
さらに、「わたしは死ねばいい」といじめ被害を訴えるノートに担任教師が「花丸」をつけて「You can do it!!」などと書いたことについては、担任教師はノートを見た後に女子児童と対話し、「深刻な希死念慮まではないこと」を確認していた。
その後、女子児童をバカにしたとされる児童に謝罪をさせるなど、不安を解消するための具体的な行動を取っていた。
そのため、管理職や女子児童の両親に情報共有はしなかったことをもって「職務上の法的義務」に違反したとはいえない。
花丸などの記載は、女子児童の希死念慮を促進させる趣旨の記載と理解されるものではあるが、実際には女子児童に「深刻な希死念慮」があったとは判断されないことなどを踏まえ、女子児童の助けを求める行動を積極的に踏みにじった違法行為だとは認められないとしました。
■いじめ被害を相談するも調査されず「適応障害」に
訴状などによると、奈良市の女子児童(当時)は、2021年から約2年間にわたり、同級生から足を蹴られるなどのいじめを受けました。
両親は学校側に相談しましたが、相手児童が蹴ったことを否定したことなどから、詳しい調査は行われずにいじめは続き、女子児童は「適応障害」と診断されました。
【女子児童の保護者】「『学校は警察じゃない』と。調査もされずにいじめの認知もされずに、ずっとのらりくらりと不誠実な対応をされ続けてきた」
その後、学校側がいじめの重大事態として、調査を始めたのは約9カ月後でした。
■「わたしは死ねばいい」ノートに“花丸”「You can do it!!」
また、この問題では、女子児童が「わたしは死ねばいいのに」などといじめを訴える内容書いたノートを当時の担任に提出。
しかし担任教師は、このノートに“花丸”をつけたうえ、「You can do it!!」とコメントをつけて返却していました。
■市教委は「いじめ行為」認定 学校の対応は「不適切」と指摘
こうした事態を受け、2023年に奈良市教育委員会は、いじめの調査報告書を公表。
2021年から2022年にかけて、女子児童が受けた「同級生に足を蹴られる」「鉛筆で背中を突かれる」など、全12の事案について「いじめ行為」と認定。
花丸をつけたことや、文章の内容を保護者や校長などと共有しなかったことについて「不適切である」としたうえで、学校側の対応については「組織的な対応をすることができていなかったのは明らかである」と指摘しました。
■裁判で担任は「花丸を付けて欲しいと頼まれた」主張
これらを受け、両親と女子児童は、「奈良市の対応はいじめの早期発見や組織的な対応を行うことを定めた法律に則っていなかった」などとして、2024年、奈良市に約250万円の損害賠償を求め提訴しました。
裁判の中で、当時の担任教師は、女子児童に「花丸を付けて欲しいと頼まれた」と主張しましたが、女子児童はそれを否定しています。
■両親「『これ以上娘を苦しめないでほしい』と言う気持ちで…」
判決を前に両親は、関西テレビの取材にいまの思いを明かしました。
【女子児童の両親】「先生たちは、組織として自分たちの否を認めないために、色んなことをくり出してきて。もう不信感も増す一方でしたね。『娘が悪いんだとか、私たち両親が悪いんだ』ということをコテンパンに言ってこられている。
『これ以上娘を苦しめないでほしい』という気持ちで(訴えを)起こしたけども、もっと苦しめてしまってるんじゃないかと思います」
