デジタル化が進む中、そろばんが子どもの習い事として再び人気を集めている。計算力だけでなく、集中力や記憶力の向上が期待されるほか、大人になってから始める人や指導者になる人も増加。専門家は、脳を幅広く刺激し認知機能の維持にも役立つ「究極の脳トレ」だと注目している。

現代でも習い事に「そろばん」人気

デジタル時代に再び注目されているのが、昭和の習い事の定番「そろばん」だ。

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今年の子供の習い事ランキングでサッカーや体操教室を抑え、4位にランクインした。
なぜいま人気が再燃しているのか。

全国に320校を展開する「いしど式そろばん教室」を訪ねた。

珠をはじく子供たちのまなざしは、真剣そのものだ。

教室に通う生徒からは「おもしろい。計算力や学校の算数の授業が簡単になりました」「計算が得意になった」などの声が聞かれた。

送り迎えで来ていた70代の女性は、「(孫は)バイオリンも好きで習っているんですけれども、集中力それから記憶力が(上がって)バイオリンの長い曲を暗譜できますね」と話す。

集中力や記憶力といった“学びの土台”にもつながっているようだ。

大人も「そろばん」増加

こうしたそろばんの効果に期待するのは、子供たちだけではない。

半導体メーカーに勤める女性がそろばんを始めたのは、7年ほど前に会社にいた暗算が得意な人に「なぜそんなに暗算ができるのか」聞いたところ、子供の時にそろばんをやっていたという。

習い始めて「仕事のスピードが速くなったような気がします」「処理能力が上がったような気がします」と、変化を実感しているという。

さらに、子どもたちを教えていた教室長の髙橋美由紀さんは、そろばんは子供のころに習っていたものの、その後は必要なときに使う程度だったが、子育てが終わり、将来ずっと続けていける仕事を探していた。

そんな中、『そろばんの先生になりませんか?定年はありません』というチラシにひかれてパートとして始めたという。

こうした子育てを終えた女性やリタイア後に指導にあたる先生も増えているという。

全世代の脳を覚醒「究極の脳トレ」

そろばんは一度習得すると、時間が経ってもその能力が消えづらいと言われている。
実際に何十年も前にそろばんを習得したという高齢の方に見せてもらった。

今回、挑戦してもらったのは、答えが「1300円」になる、足し算だ。

小学校の教員をしていたという、70代男性は「頭の中で簡単な暗算できちゃうよね。そろばんやっていると」と早いペースで計算を終えた。

続いて70代と80代の女性たちも「50年はやっていないかもだから(何年たっても)結構できるっていうことよね。子供の時にやっていれば」と2人とも正解した。

続いて中学生のころ、そろばん部だった70代女性は問題文の「294」を「249」と見間違えてしまったものの、そろばんの計算自体はできていた。

なぜここまで指が覚えているのか。
元日本医科大学脳生理学の河野貴美子博士によると、そろばんは「数字」ではなく「形や動き」で覚えているためブランクがあっても記憶が残りやすい。
特に子どもの頃の経験は脳に強く定着するという。

そして、そろばんによる指の動きは脳に次のような影響があるというのだ。

指を使いイメージで計算することで年齢関係なく脳の視覚野や、手や指の運動をつかさどる運動野が連携して広く刺激され、脳全体のパフォーマンスが上がり認知症予防に非常にいいとされるという。

これは、囲碁、将棋、麻雀などをした際にも似た脳の活動が見受けられるそうだ。 

そろばんの専門家、全国珠算教育連盟の鈴木宗一理事は「そろばんというのは究極の脳トレ。大学の先生なんかからは、毎日自分のご両親にそろばんで1から10までの数字をしっかり足してもらう。それが頭のコンディションによって日によって違う。きれいに計算できる日と、ちょっとつまずいてしまう時と頭のコンディションがわかるらしい」 と話す。
(「イット!」7月13日放送より)