福島第一原子力発電所での処理水の海洋放出をめぐり、タンク群のひとつで警報が発生し、タンク内での循環・攪拌運転が止まっていた問題で、東京電力は7月11日、警報の原因と推定される弁を交換し、タンク内での循環・攪拌運転を再開したと公表した。
この問題による処理水の漏えいなどの異常は確認されていないという。
警報は7月10日午後4時17分、放出前の処理水をためているタンク群(10基を1群として配管でつないでいる)の1つで発生。放出前にトリチウムなどの濃度が基準を満たしているかを確認するための分析を行うにあたり、タンク内の水の循環・攪拌を行っているが、異常を知らせる警報の発生によりこれが自動停止していた。
3つあるタンク群のうち、現在処理水を放出しているものや、次に放出を控えているタンク群とは異なるため、放出停止などの影響はなく、今後のスケジュールにも変更はないとしている。
東京電力は警報の原因と推定される弁の交換作業を実施。止まっていた循環・攪拌運転を7月11日午後3時38分、約24時間ぶりに再開した。
この問題による処理水の漏えいなどの異常や周辺環境への影響は確認されていない。
福島第一原発では2026年度3回目(通算21回目)の放出を7月6日に開始。7月24日までの19日間で約7,800t(タンク約8基分)の処理水を海水で薄めて海に放出する計画となっている。
福島第一原発1号機から3号機の原子炉の中には、事故で溶け落ちた核燃料が固まった“燃料デブリ”が存在する。“処理水”はこの燃料デブリなどに地下水や雨水などが触れることで発生する“汚染水”から大部分の放射性物質を取り除いたもの。海洋放出は2023年8月に開始され、前回の放出終了時までに約15万7,000t(タンク約157基分)の処理水が放出された。
処理水の放出は、敷地を圧迫する1000基あまりのタンクを減らし、廃炉のためのスペースを開けることが大きな目的のひとつ。2026年6月25日の時点で、処理水等の貯蔵量は放出開始前から約7%減少している。貯蔵されている水の中には処理水放出の基準を満たす前の“処理途上水”も含まれている。
国と東京電力が掲げる第一原発の廃炉完了は2051年。
タンク内のトリチウムがゼロになるのも2051年とされている。
