富士山の夏山シーズン本格化 忘れてはならない「富士山=活動する火山」
富士山は7月1日に開通した2ルートに加え、10日、富士宮・御殿場ルートの通行止めが解除され、本格的な登山シーズンが始まります。決して忘れてはならないこと、外国人にもしっかり伝えるべきことは「富士山は火山である」。富士山で噴火の危険が高まる時の兆候や注意点を考えます。
危険度を示す噴火警戒レベル 富士山は異なる運用1⇒3
7月1日から始まった富士山の夏山シーズン。
2026年もさっそく国内外から大勢の人が詰めかけています。
忘れてはいけないのは、富士山は活動を続ける“火山”だということです。
登山者が巻き込まれた大惨事。
2014年、御嶽山で起きた水蒸気爆発は死者58人・行方不明者5人という事態になりました。
当時、危険度を示す「噴火警戒レベル」は1、その表現は「平常」でした。
安全だとイメージされかねないとして、その後、レベル1は「活火山であることに留意」に改められました。
いま、富士山の警戒レベルは「1」。
他の山と違うのは、火口が100個以上あり、レベルの運用が異なることです。
静岡大学 火山学・小山真人 名誉教授:
噴火警戒レベルは富士山にもある。3になったら入山規制。富士山の場合、上げていく時に2は使わない。火口の場所が分からないので2は使わない。1から3に上がるが、その前に火山の“解説情報”が出る。それを気にかけてもらう
気象庁が常時観測 「臨時」情報に注意を
“解説情報”とは何なのか?気象庁は51の活火山について、24時間・365日の常時観測をしています。
地下で起きる地震の回数や地殻変動、温度変化といったデータを取り、異常がないか“解説情報”として発信しています。
とくに気をつけるべきは、“臨時”で出される情報です。
静岡大学 火山学・小山真人 名誉教授:
“臨時”というラベルが付くと、登山者に下山指示が出る。観光客には(特定エリアの)富士山麓にいても帰宅指示が出る。気象庁からの情報に気を配ってください
噴石・火砕流・溶岩流・降灰 火山噴火のおそるべき脅威とは
火山が噴火した時、どのような危険があるのか。
これは、九州・阿蘇山で観測された噴石です。
富士山では大きな噴石が約2~4km程度、飛び交う可能性があります。
続いて火砕流。
数百度の岩石や破片が火山ガスと流れ下る現象です。
長崎・雲仙普賢岳では、多くの人の命や住まいを奪いました。
富士山では数kmに及び、山麓の市や町に到達するおそれがあります。
溶岩流は900~1200℃で山を下る可能性があります。
火山灰は県中部~首都圏まで広く降り積もり、交通機関や水道、農業など、社会生活に甚大な影響が予想されています。
富士山噴火 前兆の地震活動から数時間の可能性も
そんな富士山の噴火はどのような場合に危険が高まるのか?
6月26日、山梨県東部を震源とする震度6弱の地震が起きた際には…
気象庁地震火山部 海老田綾貴 地震津波監視課長:
すぐさま富士山が噴火とか、そういう心配はしていません
富士山は震源から約30km離れているような場所
気にかけるべきなのは富士山・直下の動きです。
静岡大学 火山学・小山真人 名誉教授:
考えやすいのは地下の低周波地震活動が高まって終わらず、さらにマグマが上昇してくると、浅い部分、地下数kmくらいで地震活動が起きてきて噴火に至るのが一番考えやすいシナリオ
富士山の地下深くで起こり、人が感じられない程度の“低周波地震”。
その地震活動が頻発し、社会に緊張が走ったことがあります。
2000年~2001年にかけてのことです。
低周波地震が噴火につながる兆候か調査が続けられるとともに、各市町村や住民への伝達、富士山を監視する訓練が行われました。
山梨県では被害・犠牲者が出た事態を想定し、実践的な対応も確認されました。
国・気象庁では、ハザードマップの策定も進められましたが、その後、事態は終息していきました。
今後、急激に危険度が高まる可能性は否定できません。
マグマに粘り気が少ないことが共通する他の火山の例を考えると、予兆が出て“短時間で噴火”という事態も考えられます。
静岡大学 火山学・小山真人 名誉教授:
三宅島・伊豆大島(マグマに)粘り気が少ない火山の例から考えると、前兆的な地震が起き始めて数時間以内に噴火はあり得る
9月まで続く夏山シーズンに例年20万人以上が訪れる富士山。
登山者はもちろん、それ以外の人も火山情報に注意しておく必要があります。
