宮崎県五ヶ瀬町が、日本最南端のスキー場として親しまれてきた「五ヶ瀬ハイランドスキー場」の廃止を正式に決定した。1990年のオープン以来、町民の夢を乗せて駆け抜けた35年の歴史。近年は暖冬や施設の老朽化による厳しい経営が続いており、町は苦渋の決断を下した。スキー場は、今後どのような姿へと生まれ変わるのだろうか。
苦渋の決断
7日は臨時町議会が開かれ、スキー場の今後のあり方に関する決議案が提出された。

五ヶ瀬町議会 甲斐義則議員:
これ以上の公費投入を止め、速やかに「廃止」の手続きを進めるべきである。
この決議案は全会一致で可決された。
閉会後には小迫町長が、「降雪量の減少」や「施設・設備の老朽化」など、スキー場を取り巻く厳しい現状を説明した。

五ヶ瀬町 小迫幸弘町長:
多額の投資と財政負担を継続しながら、スキー場営業を維持することは極めて困難であるとの判断に至りました。今後はスキー場としてではなく、向坂山森林公園一帯の活用を検討して参ります

オープン当時の町の広報誌には「五ヶ瀬町民の長年の夢」と表現されていた五ヶ瀬ハイランドスキー場。町営のスキー場として1990年にオープンした。

1993年度には年間10万人を超える入場者を記録したが、近年は暖冬による降雪量の減少や、施設の老朽化が深刻な課題となっていた。

さらに、2022年の台風による周辺道路の被害やコロナ禍が追い打ちをかけ、昨シーズンの入場者数は1万5345人にまで激減し、町が約7000万円の赤字を補填した。
厳しい経営状況が続いていたことから、小迫幸弘町長は、将来を見据えた現実的な判断であることを強調した。
今後は登山やトレッキングの拠点へ
スキー場としての営業は終了するが、町はスキー場が位置する向坂山森林公園一帯の新たな活用方法を模索している。

五ヶ瀬町 小迫幸弘町長:
長年親しまれたスキー場への愛着、たくさん大きくあると思いますが、将来に渡っての現実的な視点で考えることが、今回の判断ですので、十分町民にも理解いただけると思います。
「町民の長年の夢」として始まったスキー場としての役割は、惜しまれながら35年で終わった。しかし、小迫町長が語ったように、この決断は未来を見据えた「現実的な一歩」でもある。今後はリフトなどの設備撤去を検討しながら、向坂山一帯の豊かな自然を活かしたアウトドア拠点として、四季を通じて人々が訪れる新たな観光資源への転換が期待されている。南国のスキー場が紡いできた35年の記憶は、これからもこの地で別の形で受け継がれていくことだろう。
(テレビ宮崎)
