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1ドル=162円台となっている円相場。
円安が私たちの生活に与える影響について、フジテレビ・智田裕一解説副委員長と見ていきます。

山崎夕貴キャスター:
約40年ぶりとなる歴史的な円安ドル高水準ということですが、ずばり今後どうなりますか?

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
市場関係者の間では円売り圧力が依然強いという中で、円安に歯止めがかかりにくくなっている見方が広がっているんですね。1ドル=170円、ここが視野に入る可能性を指摘する声も出ています。

安宅晃樹キャスター:
170円といってもイメージがなかなか湧かないんですけれども、このまま仮に円安が進むと、私たちの生活はどう変化するんでしょうか。まずは、過去40年の円相場のグラフを見ていきます。

前回、162円台を記録したのは今から40年前の1986年11月のことなんです。
当時のことを振り返ってみますと、当時はイギリスの皇太子だったチャールズ国王とともにダイアナ元妃が初来日したことで、日本中に「ダイアナ・フィーバー」が巻き起こった年でした。

また、新語・流行語大賞には「ファミコン」が選ばれるなど、ファミコンブーム、いわゆる「バブル景気」の始まりで、日本円が強くなる円高の局面だったということです。

改めてグラフを見ると、その後、2012年の1月に76円という円高になって以降は、徐々に円安に下降していっているわけです。
そして、2026年の6月30日に約40年ぶりの162円台を付けました。ただ、162円台といっても当時と状況が違うわけですよね。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
日本はこの間、失われた30年と呼ばれる長期低迷に陥って、成長軌道を描けないまま海外からモノやサービスを買う力が失われて、国際競争力が低下した状況になっているんですね。

遠藤玲子キャスター:
同じ162円といっても、当時と日本の経済の勢いが全く違うということですよね。

安宅晃樹キャスター:
ただ、その円安が今後も加速していく可能性があるんです。その2つの要因について智田さんに解説してもらいますが、ポイントが2つ。

まず1つ目の「日本の競争力低下」について見ていきたいと思います。
財務省によりますと、40年前の1986年は貿易収支で見ていくと13兆7000億円超えの貿易黒字でしたが、2025年は2兆6500億円の貿易赤字になっているわけです。

これだけではありません。さらに日本の競争力の低下を示すデータがあります。

株価の総額をもとにした世界のトップ企業を見比べてみますと、1989年の1位から5位は日本企業が独占していて、もっと幅を広げてトップ50で見てみても、日本企業が32社あったわけなんです。

ただ2026年はどうなったかというと、1位から5位はアメリカ企業が独占していて、日本企業はゼロに変わっているんです。

三宅正治キャスター:
よく「デジタル産業に乗り遅れた」という話も出ますけれども、日本の企業の存在感がなくなった理由って何かあるんですか?

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
自動車とか製造業は、円高の時に海外での現地生産を増やしたんですけれども、海外で稼いだドルが現地で再投資される構造が強まってしまったというのがありますと。
さらに、日本国内で勝ち筋の産業が経済成長を引っ張っていくという軌道がうまく描けずに、日本の実力低下がもたらされてきたという面が大きいですね。

三宅正治キャスター:
それを聞くと、現在の円安傾向を反転させるようなものはちょっと材料は見当たらないですね。

安宅晃樹キャスター:
一方で、円安を加速させるかもしれないポイントの2つ目が「“利上げ”が遅れる懸念」というところです。

円安が進んでいるその要因の1つというところで「日米の金利差」があるわけです。日本は今1%程度、6月も追加利上げしましたが、アメリカは3.5%前後になるわけなんです。
このように金利差が開いていると、より金利の高いドルを買ったほうが運用が有利だということで、円売りドル買いが進んで、結果的には円安が加速してしまうわけなんです。

そのうえで、今広がっているのが、日銀が利上げを進めにくくなるのではという懸念なんです。

政府の経済財政運営の指針である“骨太の方針”を巡って6月30日に示された原案には、強い経済の実現というものに向けて、適切な金融政策運営が行われることが非常に重要と記され、日銀が政府と緊密な連携を行うよう期待するとされたんです。

榎並大二郎キャスター:
政府の指針に記載されている細かい記述というのが、円安になるかどうかを左右する判断材料になってしまうと?

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
そうですね。適切に経済政策を運営してくださいと。しかも、政府と緊密に連携してくださいよということは、市場関係者の間ではこの表現について、高市政権が日銀の利上げをけん制しているのではないかという受け止めが広がったんですね。
日銀が政権からの圧力で利上げを進めにくくなれば、円売りがさらに進むことになるのではないかと、そういう見方も円安を進める材料になっていると。

榎並大二郎キャスター:
高市政権の方針が利上げのけん制というメッセージに捉えられてしまって、結果、円安を進めてしまう可能性があると。

安宅晃樹キャスター:
そしてこういった懸念に対し、城内実経済財政政策担当大臣は記者会見で、「政府が低金利誘導を促している事実はない」と、「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべき」と、このように述べたということですね。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
市場関係者からは、この発言は先ほどの骨太の表現での相場への懸念を巡って、火消しを図ったんじゃないかという見方が出ています。
現在、政府内では骨太の方針の日銀の政策運営に関わる一部の記述を修正することが分かっています。

安宅晃樹キャスター:
では、円安が進めば我々の生活に影響はどれぐらい出るのでしょうか。
みずほ総合研究所の試算によると、消費税の減税で食料品の消費税が1%になった場合、2人以上の世帯では家計の平均が大体5万5000円ほど減るそうなんですが、仮に円安が進んで160円台までなったとすると、負担が1万9311円増えるということで、消費税減税の効果が一部、打ち消されてしまう可能性があるというのです。

三宅正治キャスター:
170円台になればもっと、さらに圧迫することになると思いますが、円安のペースを緩めることは難しいんですかね。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
難しいです。ただ、利益を生んで賃金を上げられる国際競争力のある企業がどんどん出てきて、経済を上向かせられるかが大きいポイントだと思います。

榎並大二郎キャスター:
円安を止める特効薬はなくて、日本の成長しかないということですね。