生後2カ月頃、「絶壁かもしれない、上から見たらおにぎりみたいな形」と不安を感じた母親がいる。富山市に住む生後10カ月の琉夏くんは、医療用ヘルメットを使った治療を経て、先日無事に「卒業」を果たした。富山県内では赤ちゃんの頭の形に悩む保護者が増えており、専門の外来も整いつつある。頭の形の悩みは決して珍しいことではない。

「ドーナツ枕も試したけど効果がなかった」


琉夏くんの両親が頭の形を気にし始めたのは、生後2カ月の頃だった。後頭部の丸みが少なく平らで、上から見ると頭の幅が横に広がっているように見えた。ドーナツ枕を使ったり、頭をなでて治そうとしたりと、できることを試したが、効果は感じられなかった。

両親は富山大学附属病院の「あたまの形外来」を受診。琉夏くんは、位置的頭蓋変形症のひとつで後頭部が平らになる「短頭症」と診断され、程度は重症に近いレベルだった。お父さん自身も幼い頃に頭の形の特徴があったことから、両親はヘルメット治療を受けることを決断した。

「周りにやっている人もいなかったので、かわいそうという気持ちがあった」

治療開始にあたって、母親には抵抗感もあった。「周りにやっている人もいなかったので、そこまでする必要性があるのか、かわいそう。はじめは抵抗感があった」と振り返る。

それでも、首が座った生後4カ月から治療を開始した。ヘルメットの重さは約100グラムから160グラム。一般的なスマートフォンよりも軽く、頭や首への負担が少ないよう設計されている。装着時間はお風呂を除いた23時間が目標で、今では琉夏くんが嫌がることはまったくないという。
「帽子はカッコよくて大好きです」と母親。ポジティブな言葉に支えられながら治療を続け、2カ月ほど経つと後頭部の丸みに変化を実感できたという。両親が記録し続けた写真には、その変化がはっきりと映し出されていた。


約半年間の治療を終えた琉夏くんは、7日に無事ヘルメットを卒業した。「今思えばやってよかったとしか思わない」と母親。「大きくなったら、頭まるくしてくれてありがとうと言ってほしい」と笑顔で話した。

なぜ頭の形に悩む赤ちゃんが増えているのか
赤ちゃんの頭の骨はまだ柔らかく、同じ向きで寝る時間が長いと頭の形に偏りが出ることがある。日本では1990年代から、うつ伏せによる突然死を防ぐために仰向け寝が推奨されるようになった。その影響もあり、琉夏くんのように後頭部の変形に悩む保護者が増えているという。

富山大学附属病院は2022年から「あたまの形外来」を設けており、今年5月には県立中央病院にも同様の外来が開設された。県立中央病院小児科の藤田修平医師は「一定の声はあった。最近は治療ができるようになり、親が見聞きするようになって関心が高まったのではないか」と背景を説明する。

外来では、まず手術が必要な病気による変形でないかを確認した上で、頭の形を詳しく測定する。その結果をもとに、経過観察かヘルメット治療を行うかを検討していく。「心配ないと伝えることもできる。気軽に相談に来てもらいたい」と藤田医師は話す。
相談する場所がある、という安心感

治療中は月に1回程度、頭の成長に合わせて診察を受ける。なお、ヘルメット治療は保険適用外のため費用は全額自己負担となる。また、総合病院を受診する際には原則として紹介状が必要だ。

頭の形が気になる場合は、まずかかりつけの小児科などに相談することが第一歩だ。「相談できる場所がある」と知るだけで、不安を抱える保護者の心は大きく軽くなるはずだ。
(富山テレビ放送)

