7月9日に開幕する夏の高校野球・新潟大会。第1シードの新潟明訓、2連覇を目指す中越、春のセンバツ甲子園に出場した帝京長岡・日本文理の4校が中心となる中、注目校と注目選手を紹介する。
第1シード・新潟明訓 悔しい敗戦から“フルモデルチェンジ”
10年ぶりに春の新潟県大会を制し、第1シードで夏の大会に挑む『新潟明訓』。
チームの大黒柱・今井巨主将は「夏の県大会はぶっちぎりで優勝したい」と意気込む一方で、去年秋の県大会では公立校の六日町に3回戦で敗退。
この敗戦をきっかけに這い上がってきたと今井主将は話す。
「フルモデルチェンジ。全てを変えないといけない。特にどんどんバット振り込んで振る力をつけようというテーマでやってきた」

鍛え上げた打撃力を春の県大会で発揮。全6試合で平均得点は10点を超え、5試合で2桁安打をマーク。
センバツに出場した帝京長岡などを下して3季ぶりの頂点をつかんだ。
「(秋は)野手陣の反省点が大きかった中で、冬から取り組んできたことが結果に出たのでよかった」と今井主将。
攻撃・守り 新潟明訓の注目選手
攻撃の中心は3人の3年生だ。
3番の今井主将は春の大会、全試合でヒットを放ち、打率は5割超え。
指名打者の5番・細貝侑生選手は2本塁打を放った。
そして、この強力打線で4番に座るのが村山蒼宙選手。
「誰よりも力がある。自分のフルスイングと長打を見てほしい」
こう話す村山選手だが、去年、右膝のじん帯を損傷し、プレーできない期間もあったが、リハビリを経てこの春、初めてのレギュラー入り。
4番に抜擢されると、中越を相手に公式戦初本塁打。大会打率は4割を超えた。
村山選手は「得点圏で打つことが大事なので、チームが苦しいときこそ自分がヒットを打って価値につながるように頑張りたい」と話す。
守りの中心は140キロに迫るストレートが武器の波多野龍冴投手だ。
「気迫のこもったピッチング。情熱だけは誰にも負けないので、自分の球を打ってみろという気持ちで投げ込みたい」と強気のピッチングで14年ぶりとなる夏の甲子園を目指す。
春のセンバツ甲子園出場 帝京長岡・日本文理
また、春のセンバツ甲子園では史上初めて一般枠で帝京長岡と日本文理の2校が出場した。
日本文理は1回戦で高知農業を相手につなぐ打線が光り、15年ぶりの勝利をつかんだ。
しかし、2回戦では埼玉県の花咲徳栄に0-17と大敗。1カ月後に行われた春の新潟県大会でもベスト8で敗れた。
この悔しさをバネに“打の文理”が夏に実力を発揮できるかが注目だ。
この日本文理と同様、甲子園春夏連続出場を目指すのが、秋の北信越王者・帝京長岡だ。
春夏通じて初めての甲子園は初戦で東北に2-5で敗れた。
エースの工藤壱朗投手は春の新潟県大会でベンチ入りせず、夏に照準を合わせてきた。
甲子園の借りを甲子園で返せるか…。
その帝京長岡が春の王者として挑んだ3年前、帝京長岡相手に大金星を上げた長岡高校。
両者は今大会では初戦で相まみえる。
長岡高校 キャプテンを務めるのは女子選手「ルール覆したい」
そんな長岡高校には特別な思いを持って最後の夏に挑む選手がいる。
3年生・楳田晴選手だ。チーム唯一の女子選手であり、部員50人を率いるキャプテンを務めている。
「自分のことをやりつつも、一番はチームを成長させることがキャプテンの仕事」と話す楳田主将は男性選手と同じ練習メニューをこなし、筋力トレーニングでも歯を食いしばり、体力の限界まで自分を追い込む。

心は熱く、頭は冷静に。
技術を磨きながらチームを牽引してきた楳田選手だが、日本高校野球連盟が定める規定により、女子選手は公式戦に出場することができない。

小学4年生のときに野球を始め、中学3年になると女子中学生野球の県選抜入り、1番ショートとしてチームの主軸を担った楳田主将。
選手として公式戦に出場するために女子野球部がある高校に進学する選択肢もあったが、「ルールをなんとかして覆したい思いがあったので、変えるには女子野球部じゃなくて男子と一緒にやって活躍しないと変えられないと思った」と楳田主将は話す。

それでも高校で出場できたのは練習試合のみ。懸命にグラウンドを駆け回ったが、その願いは叶わなかった。
「ルールが変わらなかったのは正直悔しいけど、自分が活動したことで色んな人に知ってもらえた」
“一日の意識”を大事にする楳田主将 気づいたことはメモ帳へ
この野球に向き合う真摯な姿勢が評価され、26年1月、主将に抜擢。
藤巻辰也監督は「チームへの思いが強い。チームがうまくいかないことが自分の悩みになる。そんな選手は多くいない中で楳田選手は気持ちがあったので指名した」と振り返る。
楳田主将は「言われたときは少し驚いたが、言われたからには自分が最後までキャプテンを貫こうと思った」と話す。
チーム力の向上へ最上級生になってから取り組み続けているのが、試合で気づいたことをメモしているメモ帳だ。
その中で特に大事にしていることは“一日の意識”だという。
「自分自身が練習と向き合えていなかったり、望まなかったりするとできることができないままで終わってしまう。選手で変えていくチームが本当に強いチームだと思ったので、言われたことをきっかけに自分も頑張らないとと思った」
楳田主将 記録員としてベンチ入りへ「声でしっかり引っ張っていく」
チームメイトからの信頼も絶大だ。
ゲームキャプテンを務める和田友樹選手は「指摘も的確で刺さる。一つ一つ強い言葉がけでやってくれているのでチームにとって非常に大きい存在」と話す。
最後の夏は記録員としてベンチ入り予定の楳田主将。甲子園出場を目指し、選手とともに戦う決意だ。
「みんなのことをアシストすることが役割なので、声でしっかりチームを引っ張っていく」

まもなく始まる球児たちの熱い夏。勝利を目指す先にどんなドラマが生まれるのか。
夏の高校野球新潟大会は7月9日に開幕、7月24日に決勝戦が行われる予定だ。

