「宇宙船の酸素が足りないので、酸素の購入費が必要だ」
突然、こんなメッセージが来たら、信じられますか?
「こんな馬鹿な話には騙されない」と、思われるかもしれませんが、実際に2026年4月、このメッセージを受け取った高齢の女性が100万円をだまし取られました。
なぜ騙されてしまうのか。背景には巧妙な騙しの手口がありました。
2026年4月、有人月探査ミッション「アルテミス2」で人類史上地球から最も遠い地点へ到達しました。宇宙への関心が高まる中、札幌市の80代の女性にある連絡が届きました。
「今、宇宙船で宇宙に来ているが、攻撃を受けていて酸素が足りない」
女性がSNSで知り合った「宇宙飛行士」を名乗る男からのSOSの連絡です。女性はその「宇宙飛行士」と1か月ほどやり取りを重ねていて、「酸素の購入費」として金銭を要求され、電子マネー100万円分をだまし取られました。宇宙関連の詐欺事件は他にもあります。
「NASAから退職金1億円が入る」
「税金対策のため夫婦になってほしい」
「1億円を送るのに送料150万円がかかる」
2026年4月、このメッセージを受け取ったオホーツク地方の60代女性は150万円を振り込んでしまいました。
このような突飛な連絡が来たら、街の人は……。
「信じないです。あり得ないって思うから」(札幌市民 20代女性)
「だまされないとは思っていますけどね。(息子に)確認しないとダメだと言われているから」(札幌市民 70代女性)
普通は「あり得ない」と思ってしまう話に騙されてしまうのは、ある巧妙な作戦があると言います。
「嘘が大きすぎると、かえって疑うのを忘れる」(明星大学心理学部心理学科 藤井靖教授)
普段から警戒しているオレオレ詐欺や未納料金詐欺のような詐欺なら警戒できても、現実離れした話を聞くと、警戒が薄れてしまうことがあると言います。
「日常の警戒チェックリストの枠の外過ぎて、疑うこと自体を忘れてしまうという、バグが起こりやすくなる」(藤井教授)
こうした心理的なスキを巧妙に突く詐欺はほかにもあります。
有名人の名前を騙る詐欺です。2026年4月末、北海道岩見沢市内の北洋銀行に、60代の女性が訪れました。
「私の方にスマホの画面を見せていただいて、ここの銀行に振り込みをしたいということで」(北洋銀行岩見沢中央支店 山口みゆきさん)
画面には70万円の振込依頼のメールが来ていました。個人名のネットバンキング宛てだと気づいた山口さんの説得で、女性は振り込みを中止しました。
女性がやり取りしていたのは、有名アイドルと同じ名前のLINEアカウントでした。1か月の交流で距離を縮められ、「海外から送った荷物が税関で引っかかった。受け取るために70万円が必要だ」と迫られていたのです。
さらに、現実のニュースとリンクするような話も。
「その日、カナダから帰ってきたとニュースでやっていた」(北洋銀行岩見沢中央支店 業務統括部長 大川正裕さん)
このアイドルは海外で長期撮影中で、一時帰国の様子が報道されていました。
「岩見沢の(女性の)自宅にスケジュールの合間を縫って会いに来ると信じていた」(北洋銀行岩見沢中央支店 大川さん)
空港から岩見沢までの細かなスケジュールが女性に共有されていたのです。
その後、大川さんが警察と連携し、見事水際で被害を食い止めました。
冷静であればだまされないはずの詐欺被害。被害者の心理を解説します。
実際、うそが大きすぎると、かえって疑うことを忘れてしまうという人間の心理を突いた詐欺。
なぜだまされてしまうか。明星大学の藤井教授によると、突飛な設定はだましやすい人を見つける手段。電話ならすぐ切ったり、SNSならブロックするなどの手段がとれるが、それをしない人、聞いてくれる人選別しているということ。
では、だまされないためにはどうしたらよいのでしょうか。
詐欺師は、1対1の関係を作りたい、周りの人のアドバイスなどを遮断したいということ。これに対抗するには、日頃からコミュニケーションを取ることが大切。変だなと思ったら、お金を振り込む前に必ず誰かに相談してください。
