皿にきれいに盛り付けられた刺身や、鍋料理で有名なフグ。
フグといえば、“毒がある”“丸く膨らむ”というイメージがあるが、そんなイメージとは異なるフグがTwitterに投稿され、注目を集めている。
それがこちらだ。
いつも標本を頂く漁師さんから、深いところに住むフグ、ウチワフグを頂きました!
— 和歌山県立自然博物館 (@WMNH) November 5, 2020
このフグは膨らむのではなく、扇子のようにおなかの皮を広げます。
面白い魚!!
(かじ) pic.twitter.com/AwpAdq9MPI
いつも標本を頂く漁師さんから、深いところに住むフグ、ウチワフグを頂きました!
このフグは膨らむのではなく、扇子のようにおなかの皮を広げます。
面白い魚!!
このコメント共に、ウチワフグのおなかを扇子のようにひらく動画を投稿したのは、和歌山県の自然を紹介する和歌山県立自然博物館の公式Twitter(@WMNH)。見慣れているフグとは違い、おなか部分がビヨーンと大きく広がるのが分かるだろう。
フグなのに、膨らむのではなく、おなかの皮を広げる…。私たちが知っているフグとはどのような違いがあるのだろうか? そしてなぜおなかを広げるのか? 投稿した和歌山県立自然博物館に話を聞いた。

日本では三浦半島以南に生息
ーー寄贈した漁師はどこで見つけた?
底曳網を操業中、混獲されたそうです。
ーー最初に見た時の印象は?
標本以外で見たのは初めてだったので、とても感動しました。腹部の構造や触ってざらざらする感じなど、実物を見て初めて分かりました。
ーーどこに生息している?
日本では三浦半島以南、インド洋と西太平洋の主に熱帯の海洋に分布します。水深50m-377mで記録があります。
ーーウチワフグの生態を教えて
フグ目ウチワフグ科に属する魚です。腹部の膜を広げると団扇のように見えることから、ウチワフグと名付けられました。生態は不明なところが多いのですが、通常は腹部の膜はたたまれた状態で生活しております。大きさは約30センチです。

ーー特徴は?
腹部の膜の他には、歯が上あごに2枚、下あごに1枚あります。通常フグ科の魚は、上下に2枚ずつありますので、大きく異なります。
ーートラフグみたいに食べたら美味しいの?
一般的には食用として流通していないようです。
驚いた時などに広げる
ーーそもそもだが、なぜフグは膨らむの?
外敵に襲われた際、呑み込まれないようにしたり、威嚇したりするために膨らみます。

ーーウチワフグは膨らまない?
はい。
ーーウチワフグはどのような時におなかを広げる?
深海にすむ魚のため、よく分かっていませんが、驚いた時などに広げるようです。びっくりしたときに広げる動画はこれまでに撮影されていたと思います。
ーーおなかが広がる仕組みを教えて
広がる場所の前縁に腰骨(ようこつ)という骨があり、それを動かすことによって腹部を広げたり畳んだりします。

ーー日本ではどこで見ることができる?
美ら海水族館、下関海響館、沼津港深海水族館などで飼育実績はあるようですが、現在展示しているかは不明です。
ーー寄贈されたウチハフグはどうするの?
寄贈されたウチワフグは死亡していたため、生きている姿は見られません。現在は標本としてバックヤードで保存しており、今のところ展示の予定はありません。
深海に生息する魚のため、なかなか見ることはできないというウチワフグ 。多くはないようだが展示している水族館もあるようなので、訪れた際には注意深く水槽を見てみるのも面白そうだ。
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